一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

今日の日にさようなら

2015-10-06 16:44:36 | 雑記


      目の前にテーマがあるのだけれど
      さっさと片付けられる日ばかりで
      はない。
      むしろウジウジして、同じテーマ
      を抱えたまま何日も過ごしてしま   
      うことが多い。

      無為に過ごす日々。
      残された時間がどんどん少なくな
      っていくというのに、こんなこと
      でいいのだろうか。

      いいわけないじゃん!
      そう思って時間だけロスしてしまう。

      
      そんな時どうするか。
      何か素敵なことに出会いたくて、
      一つでも「発見」がしたくて、
      関係ない本などぱらぱらめくったり
      する。

      今日は「文学界」のバックナンバー
      (2015年1月号)
      を拾い読みしていた。
      そこからピックアップする。

      イラストレーターの横尾忠則は
      故・高倉健と親しかった。
      携帯電話で話したり、会って一緒に
      「珈琲」(酒ではない)を喫んだり、
      芝居に誘われたり……と親密度は
      濃かった。

      それが昨年の11月18日の早朝、
      高倉健の事務所から突然電話があ
      った。
      オヤ、健さんなら直接携帯で寄こす
      はずだが……不吉な思いは現実に
      変わった。
      健さんの訃報だったのである。

      昼間はマスコミの取材で右往左往し、
      夜になった。

      夜、ベッドに入ってから、ふと電話   
      をしたくなって健さんの携帯番号を
      回した。電話はつながった。
      が急に怖くなって、あわてて切った。

      二度目にかけたら、留守電に切り変
      わった。
      横尾は47年間の親交のお礼をいい、
      最後に「さようなら」と云った。
      声が震えていた。

      受話器を置いて、間もなく電話が
      鳴った。心臓が停まりそうだった。
      健さんが留守電を聞いて掛け直し
      たのではないか。
      電話は鳴りっぱなしである。
      勇気を出して受話器をとった。

      「もしもし横尾ちゃん?美輪です」
      「美輪さん、驚かさないでよ」
      その晩、美輪明宏と一時間半近く
      健さんのことを語りあった。


      バイバイでもない、グッバイでも
      ない「さようなら」。
      こんな別れ方もあるのか、と今日
      一日のの締めくくりとして心に
      残った。

      ※ 週末から来週にかけて九州
       方面に取材に出ます。
       ブログもしばらく「サヨウナラ」
       です。