一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

正の走流性

2011-05-22 17:09:01 | 雑記


    用が済んでの帰り路、鶴岡八幡宮前の若宮大
    路を歩いていたら花屋の店先でメダカを売っ
    ていたのでつい買ってしまった。
    蒸し暑くなると、食べ物もそうだが、観賞用に
    も清涼感があって水っぽいものが恋しくなる。
    
    でもそこはものぐさな私、一瞬迷ったが、次の
    瞬間にはメダカならさほど手もかからないだろ
    うと思ったこともたしか。
    写真は金魚鉢のような入れ物に入ったメダカ、
    ややオレンジがかったのが3匹いる。
    最初2匹と思っていたが、よく見ると3匹いた。

    家に帰ったら、なんと、家人も庭の池(?)
    用にメダカをペットショップで10匹も買って
    きた!
    池といっても大きな火鉢を池に見立てたもの。
    (まあメダカから見れば火鉢も大海のような
     ものであろう)
    春になったら飼おうと、水草だけを入れていた
    のだが、同じ日に集中するとは……。

    家人の話ーー
    「エサ用のメダカも1匹10円で売っていたが、
     その上の40円(1匹)のを買ってきた」
     (こちらは黒いやつ。種類は分からない)
    私ーー
    「エサ用のメダカ? 可哀そうに!」
    (完全にこの小さな生き物に感情移入している)

    もともと魚関係が好きな私だが、メダカを飼う
    のははじめて。
    子供の頃、それこそ小川でメダカが泳いでいた
    のを見ていた者としては、わざわざお金を出し
    て飼う人の気が知れないと思っていた。
    それに、観賞用か何か知らないが、ガラスの器
    なんかに入れて飼うという滑稽さ!
    不自然なことこの上ない。
    ちゃんちゃら可笑しくて、何だかメダカにバカ
    にされそうな気がしたものだ。

    それがどうだろう、嬉々として買う、この変貌!
    多分、こちらが老いたせいにちがいない。
    認めたくはないが。

    ところで、   
    メダカが流れに逆らって泳ぐのを<正の走流性
    (そうりゅうせい)>というのだそうだ。
    その反対が<負の走流性>。
    でも<正の走流性>は多くの魚類に共通の習性
    で、メダカ特有のものではないらしい。

    そもそも<走性>とは、
    生物がある刺激源に対して一定の方向性をもっ
    た行動をとることをいう。
    走光性、走熱性、走流性……という風に。
    さしずめ私なら、走睡性、走食性、走本性……
    といったところか。

    そういえば、
    「とかくメダカは群れたがる」といったのは
    平林たい子だったか。
    一方、井伏鱒二はこういった。
    「人間は大なり小なり群れをつくる習性をもっ
     ている」

    どっちにせよ、メダカはあんまりいい譬えには
    使われないようだ。