山形県では、県内の元気な企業を知事が訪問し、企業の技術や生産の状況を視察するとともに、現場の生の声を聞き、政策に反映させる狙いから「いきいき企業訪問」を実施している。今回は酒田市で、印刷業の老舗「小松写真印刷」と石炭灰のリサイクルに取り組む創立3年の「酒田FRC有限責任事業組合」の2社を訪問した。
小松写真印刷は、明治35年に「小松活版所」として現在の中町3丁目の酒田米穀取引所があった近くで創業している。以来110年あまりの変遷を成し遂げ、山形県でもトップクラスの印刷業へと成長している元気な企業である。日本初のデジタル製本システムやオフセットでもオンデマンドでもない第三の印刷機ジェットプレスなどの先端機器を取り入れている。高齢者雇用の準備も進めている。課題は県庁との馴染みが薄い所にある。
酒田FRC有限責任事業組合は2011年に設立した若い会社である。酒田共同火力から出る石炭灰は膨大である。敷地を埋め尽くしたその処理を担うことに心血を注ぎ、石炭灰の9割を占めるフライアッシュをリサイクル・コンクリートにして、FRC砕石とFRCドリームストーンの製品を生み出す事に成功した。FRC砕石は路盤材や構造物の基礎材として、国交省の新技術活用システムに登録され、お墨付きを頂いた。県の登録も済ませ、エコマーク認定商品となっている。特許も取得、能代にその技術移転を進めている。砕石前のブロックは海で使えば藻場の育成になる。今テスト中だ。
酒田の2企業を吉村知事は視察した。その意義は大きい。伸びようとする地場企業に行政の支援は欠かせない。官民一体となった元気な県土づくりこそ望むところだ。
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