蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ダンスウィズミー

2020年02月11日 | 映画の感想
ダンスウィズミー

ミュージカル映画が苦手、という人がよく上げる理由が
「突然、意味もなく登場人物が踊りだす必然性が理解できない」
というものではないだろうか。

本作は、その理由を逆手にとって、
催眠術にかけられた主人区(三吉彩花)はシチュエーションにかかわらず、音楽を耳にすると(自分の意思に反して)踊りだしてしまうという設定だ。

なかなかのナイスアイディアで、序盤に主人公が勤める商社?の会議室で踊りだしてしまうあたりまでは楽しかったのだが、その後、催眠術師を探してロードムービー風のストーリーになってからはメリハリが感じられず、肝心のダンス場面も今一つキレが不足しているような気がした(と偉そうなことを言えるほどミュージカル映画を見たわけではないが)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アメリカン・アニマルズ

2020年02月11日 | 映画の感想
アメリカン・アニマルズ

ケンタッキー州の大学生:ウォーレンとスペンサーは、なんでもない普通の学生だったが、大学図書館に所蔵のオーデュボン作の「アメリカの鳥類」(自家12億円)を盗み出そうと思いつく。秀才のエリックやスポーツマンのチャズの二人を言葉巧みに誘い込んで(本人たちにとっては)綿密な計画を練るが・・・という話。

本作は実話に基づくもので、何と現実に犯行に及んだ本人が4人とも登場して、当時の思い出?を語ってしまう。
いっそのこと、本人たちに演技させればよかったのに、と思ったが、その手はクリントイーストウッド監督に使われてしまったし、ヒーロー側を本人が演じたその作品と違って、犯人本人に犯罪を再現させるのは、何等かのコードに引っかかりそうな気もする。

本作を見て思ったのは、ごく普通の人にとって、モノを盗むとか、人を傷つけるといった「犯罪」に対する心理的抵抗は極めて強いものがある、ということだ。

主人公たちは彼らなりに調査をして完璧な計画をたてたつもりが、ちょっと司書のオバサンに抵抗されたり、思ったより本が嵩張って持て余したりしただけで、激しく動揺して、あっけなく計画は破綻してしまう。

そもそも計画段階でも司書のオバサンをスタンガンで気絶させる役を誰もやりたがらず、しぶしぶ主人公が引き受けるあたりでも、特に恨みもない他人に手を出すというのは、案外難しいことなんだなあ、と思わされた。
そういうことに何の抵抗もなく冷静に取り組める人がサイコパスなんて呼ばれたりするのだろうか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リチャード・ジュエル

2020年02月11日 | 映画の感想
リチャード・ジュエル

アトランタでオリンピックの会場周辺の警備をしていたリチャードは、基本動作を徹底して野外のベンチの下に仕掛けられた爆弾を発見する。
最初のうちはヒーロー扱いだったが、FBIが犯人として疑っているというリークがあって、一転、疑惑の人としてマスコミに追われることになってしまう・・・という話。
実話に基づくストーリーで、当時のCNNの映像が挿入されたりしている。

それにしてもトンデモなのが、新聞記者の枕営業?にあっさり陥落してリチャードが捜査線上にあがっていることをリークしてしまうFBI捜査官。
FBI(捜査官)ってもう少しちゃんとした人がなるもんだと思っていた。
さらにリークされてしまったからには、何が何でもリチャードを犯人にしなければと、メンツに拘ってFBIがあらゆる手段を繰り出すあたりも恐ろしい。
弁護士がそばにいたからこそ、何とかなったという面も多くて、そういう習慣や制度が根付いていない某国なんかでは、もっと危うい現実があるんだろうなあ、と思わざるを得ない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ペンギン・ハイウェイ

2020年02月08日 | 本の感想
ペンギン・ハイウェイ(森見登美彦 角川文庫)

主人公(アオヤマ)は、小学校4年生とは思えないほどませていて、いろいろな研究をしている。
彼の研究の一つは、近くのカフェで働くお姉さんの生態。彼女は缶コーラなどからペンギンや謎の生物を生み出す能力を持っていて、森の奥に浮かぶ水玉?状の「海」と密接な関係があるらしい。主人公は友人のウチダやハマモトと「海」の研究も進めるが・・・という話。

小説家と読者には相性というものがあって、例えば伊坂幸太郎さんの作品は(彼が代表的ベストセラー作家であっても)相当に好き嫌いが分かれるのではないかと思う。私は大好きなんだけど。
森見さんも、やはりベストセラー作家ですが、どうも私にはその作品が面白いとは思えないんですね。
ともにストーリーには無理があって、有体にいうと荒唐無稽です。しかし伊坂作品は、その小説世界の中ではそれなりに辻褄合わせ(それがまた「こんなんでいいのか?」みたいなものが多いけど)があって、なんというか、完結性みたいなものが感じられることが多いのだけど、森見さんの場合、世界が開放されすぎていて収束していかないようなイメージがあるんですよね。

本書でも、お姉さんのナゾは説明されることなく、アオヤマくんの研究成果は読者それぞれの想像に委ねられます。なので、ストーリー自体はやっぱり私の好みではなかったのですが、アオヤマくんの真摯な?研究生活や、老いた学究みたいな言葉遣いはとても楽しめました。
ファンタジー的な要素をなくして、アオヤマくんとお姉さんの純粋な?恋物語?だったら(私には)面白かったかも。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

犬猿

2020年02月05日 | 映画の感想
犬猿

印刷会社に勤める和成(窪田正孝)には、無鉄砲でケンカがやたらと強く地元の反社系の人たちから恐れられている兄:卓司(新井浩文)がいる。
和成にとって卓司は煙たい存在でしかないが、逆らうことはできず、ムショ帰りの卓司をアパートに居候させる。
和成の会社の下請工場の社長:由里亜(江上敬子)は、経営者としては優秀だが外見はイマイチ。和成に好意を寄せるが相手にされない。一方、由里亜の妹:真子(筧美和子)は優れた容姿で(工場の仕事の傍ら)芸能活動をしたりしている。
卓司は怪しいビジネスで金持ちになるが、やがて警察の手が迫り・・・という話。

キャスティングする時、通常は(外見的・役者の格的に)役柄に似合う人を探すものだと思う(例えば、イーサン・ハント=トム・クルーズ)。
一方で、役柄とは正反対の外見・経歴の人を選んで、意外性やイメージの刷新を狙うこともある(私見だが、ジャームス・ボンド=ダニエル・クレイグ)。

本作の場合、完全に前者で、
気弱で優柔不断な弟=窪田正孝
狂犬のようだが、騙されやすい兄=新井浩文
真面目で賢いがおぼこい姉=江上敬子
見栄えはいいが中味が・・・の妹=筧美和子
は、もう全員が見たまんまという感じ。

しかし、あまりにイメージそのままの人が演じているせいか、なんというか、その、ありきたりというか予定調和というか、どうも全体としてまとまりすぎていて、無難すぎるように思えた。

むしろ兄と弟、姉と妹の設定(あるいはキャスティング)を全く逆転させた方が面白かったんじゃないか、そんな気がした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする