蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

きみが見つける物語 ティーンエイジ・リボリューション

2011年01月20日 | 本の感想
きみが見つける物語 ティーンエイジ・リボリューション(あさのあつこ他 角川書店)

角川文庫の「きみが見つける物語」シリーズは、中高生が主人公とした物語のアンソロジーだけど、必ずしもジュニア小説ばかりではなく、私がかつて目にしたものは、おじさんが読んでも十分に面白いものだった。

本書は文庫ではなく、また比較的最近雑誌掲載されたものを集めているが、あさのあつこ、魚住直子、角田光代、笹生陽子、森絵都、椰月美智子という、人気作家が揃い踏みで、どの短編も面白かった。

「電話かかってこないかな」(笹生陽子)と「赤土を爆走」(魚住直子)は、ともに、学校でいじめられている、あまりきれいでない女子高生の話。

前者の主人公は、いじめられても明るくオタク道をつきすすんで今やコミケの人気者。自作同人誌を売って溜め込んだ金でかつての同級生のイケメン(こっちは中退してプータロー)を一日買収し、デートをしてホテルに連れ込む・・・というアクティブさ。

一方、後者の主人公がいじめに耐えるすべは、アフリカで貧しさや飢えに苦しむ子供の写真を見ること。「これに比べれば、まだまし」と思うことで辛い日常をごまかしているが、やがて破綻が訪れる。

同じテーマなのに、方向性や物語の明暗が正反対で、しかも本書での収録が連続しているので、さらにコントラストの違いが楽しめるようになっている。

人間として、あるいは生き方として、前者のやり方が望ましいのはもっともだけど、現実にはそうはうまくいかず、後者の方法をとる人も多いのではないだろうか。「人の不幸は蜜の味」という、いやらしいけれど的を射たことわざもあるくらいだから。


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アップルの創業者が病気療養。見かけからしてもいかにも・・・という感じだが、世界有数の時価総額を誇る会社がたった一人の人間に支えれているという構図がすごい。支えてる方にかかる圧力も相当なものだろうし。
松下さんや本田さんが似たような立場だったのだろうけど、それなりに高齢になってから引退されたのでまだ衝撃は少なかったのだろうか。

今日も寒かった。でも東京は晴天が続いている。

通勤に使っている電車は、6ドアの車両を連結していて、この車両では混雑緩和のため早朝は座席が収納されて座れなくなっている。しかし、時々通勤時間帯でも座席が収納されていないことがある。1週間に1回程度の頻度だが、たまに連続して座れるようになっていることもある。
収納するかしないか、何か基準があるのだろうか(夏休みのように通学客が少なくなる時に収納されていない日が多いような気がするので、混雑具合に応じて決めているのだろうか)?  それとも単なる気まぐれ?
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海炭市叙景

2011年01月19日 | 本の感想
海炭市叙景(佐藤泰志 小学館文庫)

函館市をモデルにした海炭市という架空の地域で暮らす人々の生活を描いた短編集。
著者は1990年に自殺しており、最近映画化されて注目され、文庫で再刊されたもの。

基本的に、貧乏くさくて暗い話が多いが、淡々とした描写のせいか、あまり抵抗なく読み進めることができた。

冒頭の「まだ若い廃墟」(これが一番印象深かった作品)をはじめとして、いくつかの短編で「待つ」ことが主題となっている。待っている人の焦燥感や不安や希望がうまく表現されていて、一種ミステリ的な興味(「待っている人は現れるのか?」「現れたらどうなるのか?」)がかきたてられる。

この作品が発表(雑誌連載)されたのは1989~90年ころで、バブル絶頂の頃。
デフレと失われた20年に苦しむ今の日本のムードにはぴったりとフィットする(だからこそ再注目されたのだろう)けれど、発表当時はさほど評判にならなかったというのも無理からぬところだろうか。


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センター試験の時期。
高校生時代(私が受験したころは「共通一次試験」と呼ばれていて、実施2回目だった)には、現代国語が好きな科目で、特に選択肢方式の試験は「簡単すぎるんじゃない」と思うほど得意だった。
文章読解などは余りにも出題者の狙いがミエミエなことが多く、一見して「これしかない」と判断できることが多かった。

ところが、理系の国語が苦手な人は、「選択肢の違いがわからない」「論理的に解答が導けない」などと嘆いている。その気持ちがどうしても理解できなかった。

一方で、私は数学がとても苦手。共通一次でも平均点を取るのがやっとだった。今度は同じ理系の人に「共通一次の数学なんてやさしすぎて差がつかない」なんて言われてしまう。「うーん、理系と文系の谷は深いなあ」と思った。

今でも新聞に掲載されたセンター試験の現代国語の問題をやってみたりする。パズル感覚でおもしろい。試験慣れしていないせいか、あるいは歳のせいか、特に文学系の文章読解は、昔みたいにスッパリ大根を切るような調子?で判断できなくなっている。


長男が右手のひじが痛いというので、医者にいったら、骨折寸前と言われる。思春期特有の症状だとか。添え木はあまりにもオーバーだが、人生初めての体験に、息子は妙にうれしそうだった。そういえば私は50年近く生きてきて添え木をしたことがないなあ、と思った。(2011.1.18(火))
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日本国内にあるお寺の数はコンビニより多い(らしい)

2011年01月17日 | Weblog
数日前の朝日新聞の記事によると、日本国内にあるお寺の数は、コンビニエンスストアの店舗数を超えているそうだ。

収益性でしのぎを削るコンビニは、ちょっとヘタを打つと赤字になりかねない事業らしいが、お寺は何十年どころか何百年も続いているところも多いはずで、不謹慎ながら「お坊さんってもうかるんだねえ」なんて思ってしまった。

なかには幼稚園とか駐車場などの収益事業を手がけるお寺もあるのだろうけど、大半のお寺の収入はお布施のはず。
葬式もしないで火葬してしまう(「直葬」というらしい)ケースも増えているので、事業としてみるとジリ貧のはずだけど・・・

しかし、私の実家のある田舎に帰ると、昔ながらの商店街はご多分にもれずシャッター通り化しているが、お寺は今でも昔通りにたくさんあって、むしろこぎれいに改装しちゃったりもしてる。
累代の蓄えで資金運用とかしちゃってるんでしょうか?
それとも、やっぱり清貧なお金のかからない暮らしをされているのでしょうか??
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2011.1.17.尼崎 GⅠ58周年 近松賞 優勝戦

2011年01月17日 | 競艇
2011.1.17.尼崎 GⅠ58周年 近松賞 優勝戦

1.原田 2.太田 3.中島 4.鎌田 5.星野 6.吉田(俊)

心情的には地元で記念初制覇を狙う鎌田に勝ってもらいたいところ。
今節は絶好調ながら準優で勝ちきれないところは実績のなさから来るものなのか。

と、いうことで調子イマイチながら2着なら・・・との狙いで3のヒモ流し。
結果1-6(逃げ)15.9

インからトップスタートで、2コースが凹むものの、まくりも差しも許さず、原田が圧勝。強い時のイメージそのまま。吉田は2周2マークで先行する星野をとらえた。鎌田は6着。
(敬称略)

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東海地方が大雪で東海道新幹線に遅れ。
それとは(多分)関係なく、JR東の制御システムが不調でJR東系の新幹線も一時ストップ。(多分)リブートしたら復旧したらしい。

まったくの素人考えだが、JR東日本って路線が長大で、ローカル線もあれば超過密ダイアの東京圏もあり新幹線もある、自動改札の数も半端じゃないし、予約システムも自前なら、スイカまである・・・ということで、相当にシステムが巨大化、複雑化しているのではなかろうか。(2011.1.17)
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インフォーマント!

2011年01月16日 | 映画の感想
インフォーマント!


アメリカの巨大食糧会社アーチャーダニエルズミッドランド(AMD)が世界中の同業他社と価格カルテルを結んでいることを内部告発したAMDの幹部をコメディタッチで描く。

コメディタッチと言っても、ほぼ実話に基づくものだそうで、社名は完全に実名で、「味の●」も頻繁に登場する。ストーリー自体はシリアスなのだが、主人公である内部告発者(マット・デイモン)の行動が、あまりにも異常で常識はずれで思わず笑ってしまうのと、BGMがヘンテコで深刻な場面でもおちゃらけた音楽がなるので、全体としてみると喜劇になっている。

私のマット・デイモンに対するイメージは、「まじめ、素朴、一生懸命」なので、映画内のキャラとものすごく落差があって、今一つ、笑うことができないのだった。
むしろ、告発を受けて捜査するFBIの生真面目な捜査官が、鳩に豆鉄砲的な表情するのを見ている方が圧倒的に笑えた。

製作者としては、イメージの落差ゆえにマット・デイモンをキャスティングしたのだろうけど、必ずしも成功したと言えないのではなかろうか。

結局、主人公は、カルテルとは関係ない自らの悪事(横領)をとがめられることになり、9年も投獄される。
でもって本作で一番驚いたのは、出獄したこの主人公が今では別の会社の幹部だということだ。アメリカらしいというべきなのだろうか?

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マンションの自治会の餅つき会があった。いちおう屋根と囲いのあるアトリウムで開催されるのだけれど、あまりにも寒くて長くはいつけなかった。

5年近く使っている食洗機の排水ポンプが不調。排水できずにセンサーが働いて止まってしまった。残った水をくみだして再起動したらもどったみたい。先日冷蔵庫の製氷機も壊れたし、家電が壊れる周期なのか?

今日の夕食は、ナポリタン風スパゲッティと、昨日の残りのゴボウサラダを入れたお好み焼と餃子(これは冷凍もの。冷凍ものでは味の●のがピカ一で他の追随を許さないと思う)。(2011.1.16(日))
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