蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

悩め医学生

2023年08月26日 | 本の感想

悩め医学生(中山祐次郎 幻冬舎文庫)
泣くな研修医シリーズ第5弾。過去にもどって雨野が鹿児島大学の医学部で過ごした日々を描く。

医師の国家試験は合格率が9割くらいあるしマークシート方式なので、ほぼ誰でも受かる試験だというイメージがあった。なので偏差値社会の頂点に君臨する国立大医学部生なんて(普通の大学生同様)あまり勉強しないんだろうなあ、と思っていた。

本書はおそらく著者(本職は外科医)の経験になぞって書かれていると思うので、医学生の実態に近いと思われる。

それによると、(上記のイメージとは全く異なり)国立大医学生は6年間相当に勉強しないと、国家試験以前に進級すら難しいらしい。
単元ごと(例えば肛門の医学)に試験があって2回不合格だと即留年、留年も1年まで、とか。
解剖実習ってお腹を切って内臓の位置を確かめるくらいなのかな、と思っていたら、小さな骨、神経や血管まで全身の器官の抽出まで行うとか。

医学部を出て医者にならない人は珍しいので、医学部では徹底した職業教育(座学に限らず、医者としての心得の伝授とか病院での実体験など含む)が行われているようだ。

すべての学部とまではいわないが、本来大学ってこうあるべきではないのか?と感じた。例えば法学部卒なら9割方が司法試験に合格するようなカリキュラムとかね。

大学進学が珍しかったような時代ならそれでもよかったのかもしれないが、望めば誰でも大学生になれる現代日本では無理なんだろうけど。難関人気校でも卒業が難しい大学は敬遠されがちらしいし。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ティファニーで朝食を(小説) | トップ | 教室を生きのびる政治学 »

コメントを投稿

本の感想」カテゴリの最新記事