蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

伊賀越仁義

2022年11月26日 | 本の感想
伊賀越仁義(井原忠政 双葉文庫)

三河雑兵心得シリーズ7。茂兵衛の通報により本能寺の変を知った家康は伊賀を横断して伊勢湾に抜けるルートでの逃亡を決める。茂兵衛は家康とは別のルートで後を追う・・・という話。
なのだが、伊賀越自体は割とあっさり(実際本書を読むと家康本隊には半蔵が手配した護衛が相応についていて、さほどの難路だったとも思えない)していて、後半の甲斐における北条勢との小競り合いの方が面白かった。

今や茂兵衛は徳川随一の鉄砲部隊の指揮官にまで成り上がっていて、「雑兵」とは言えない立場だ。しかし雑兵時代の話より、足軽大将になって以降の方の話の方が面白くて、どんどん次が読みたくなってきた。ま、シリーズものって読めば読むほど登場人物たちへの共感が深まるという面があるので、そのせいかもしれないのだが。

家康はシリーズ序盤では姿すら見せなかったが、茂兵衛の異数の出世のせい?かやたらと登場シーンが増えてきた。扱いが難しい家臣たちのバランスを取るのに苦悶する様が興味深くてどっちが主人公なのかわからなくなるくらいだ。

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