蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

夢からの手紙

2007年10月27日 | 本の感想
夢からの手紙(辻原登 新潮社)

主に江戸時代を舞台とした短編集。
ユーモラスなもの(「川に沈む夕日」「有馬」)
怖い話(「おとし穴」)
悲痛な結末のもの(「もん女とはずがたり」「菊人形異聞」)
幻想的なもの(表題作)
とバラエティに富んだストーリーの組み合わせで著者の才能の幅広さが伺える。

私が特に気に入ったのは「おとし穴」。
窮迫した武士の宴会に招かれた裕福な商人が、一見気の利いた、しかし、こざかしいとも言える知恵を働かせたために武士たちのブライドを(結果的には)傷つけてしまう、という話。
私がようやくした筋を見てもどこが怖いのか理解いただけないと思うが、微妙な心理の変遷が短い話の中にうまく納められていて結末に至ると背筋が寒くなるような感覚があった。


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