いきなりで恐縮ですが、今日は僕たちの結婚記念日です。
ちょっと恥ずかしいですけど、
昔のことを振り返ってみます。
20歳の時の70日間大阪⇔北海道自転車旅行の出発の日、
雨の中を見送ってくれた彼女と離れるのがつらかった。
彼女とは速記学校で知り合い、ま、今ふうに言えば、
「友だち以上、恋人未満」というような間柄だった。
旅を終え、大阪に帰ればまた彼女に会える…
そんなことを考えながらペダルを踏んでいた。
行く先々から、その日の出来事を手紙に書いて出した。
8月末に無事大阪に帰り着き、彼女と会った。
僕はその時、まだ大学3年生だった。
彼女の方は兄の病院で事務を執る社会人だった。
数日後2人で、僕の生まれ故郷の京都へ遊びに行った。
京都の知恩院のベンチに腰掛けて、
僕は彼女に、心の中を打ち明けた。
自転車旅行中に、すでに彼女と結婚したいと考えていた。
それを伝えたら、旅先からの僕の手紙の様子で、
そのことは何となく感じていた…と彼女は言った。
「じゃぁ…」と、僕はちょっと緊張して、
「1年半、待ってくれますか?」と言った。
大学卒業まで、あと1年半残っていた。
卒業したら結婚してください…という
いわゆるプロポーズである(あぁ、恥ずかし)。
彼女は微笑んで、うなづいてくれた。
それだけのやりとりだった。
あとは、知恩院のベンチに座ったまま、景色を眺めていた。
僕がまだ世間を知らない20歳の学生ということで、
当然、僕や彼女の両親・親戚らに反対されたけれど、
その反対も、それほど強いものでなかった。
そして1年半が経ち、卒業式の直前に結婚式を挙げた。
ただでさえ若く見られていたので、式場で、
新郎の控え室にいたら、係の女性が来て、
「まあ、可愛いらしい新郎さんですこと」
と言われたことを、今も思い出してしまう。
…そういうことで、「1年半待ってくれますか?」
という言葉が、僕たち夫婦の出発点となりました。
ところで、去年だったか、テレビのBSで、
「松本清張特別企画ドラマ」という再放送があって、
たまたま番組欄を見ていて目に付いたそのタイトルが…
「1年半待て」
というものだったのだ。
http://www.bs-tbs.co.jp/genre/detail/?mid=DRT1006100
いやまあ、これには驚いた。
松本清張は、大昔にそういう題の短編を書いていたのだ。
もちろん、録画をして、そのドラマを2人で見た。
卒業まで1年半待て…というストーリーではなかった。
(当たり前やがな)
でも、なかなか面白いドラマだった。
…さて、結婚してから今日で44年になります。
22歳で結婚したので、ちょうど人生の3分の2です。
知恩院で「1年半待ってくれますか?」
と言って待った1年半はとても長かったですが、
その後の44年間は、あっという間に過ぎました。
ファンキーノン気~ もよろしく!