羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

おひさしぶり……宮本輝作品の‘魂魄’に出会う

2009年07月24日 19時01分20秒 | Weblog
 宮本輝作『骸骨ビルの庭』を昨日から読み始めた。
 今日は、下巻を三分の一ほど読み進んだ。
 縁浅からぬ人にすすめられて『泥の河』『錦繍』を読み感動に涙したのは、かれこれ三十年ほど前のことだった。
 その後宮本氏ライフワークである『流転の海』を最後に、このところは作品から遠ざかっていた。

 作家は出世作を超えるのはなかなかに難しい、と思ってきた。
 創作活動を続けられれば、円熟させることは出来る。
 この『骸骨ビルの庭』は、これまでの作品に比べて、さすがに円熟期の代表作になるのではないかと思える出来栄えである、とここまで読んできて思っている。

 昭和二十年の終戦後の混乱期から三十年代、そして平成時代に大人になった孤児たちのきめ細かな思いを、自立の象徴としての太陽と土と堆肥と植物といった野菜づくりを縦軸、現代に失われつつある‘情’を横軸として、個々の人間の生き様を読ませてもらっている。

 半端だがこれ以上は今日は書かないでおきたい。
 ブログに時間がさけなかったのは、この本が一因している。
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2 コメント

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こんばんは! (ritsu)
2009-07-28 21:41:04
初めて書き込みします。
池袋の某大学で前期木曜4限にお世話になっていました。
最後の授業のあとブログにコメントすると言っていたのに、試験やら何やらに追われ、今頃になってしまいました。すみません。
今もマイペースに野口体操を続けています。
やっと夏休みに入り好きな小説などを読めるとわくわくしています。先生の記事、参考にさせていただきます。

何年か前に『錦繍』を舞台で見たことがあるのですが、当時の私には難解で、原作を読もうと思っていたのを思い出しました。さっそく図書館で借りようと思います。

ではでは。暑い日が続きますがお身体お大事になさってください。
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ritsuさん (羽鳥)
2009-07-30 14:10:08
書き込みありがとう。
宮本輝『骸骨ビルの庭』は、人間を見つめる素晴らしい作品だとおもいます。
市井の人々の日常のなかに隠された深い思い、人を育てることの難しさ、難しいゆえに生き甲斐となること、何よりも読み進むうちに登場人物が活き活きと生きてくること、そして料理と食べ物の話が魅力的なんです。
昭和二十四年生まれの私には‘戦後’が記憶の中に残っていて、この物語の「複式夢幻能」を思わせる構成の意味に、深く感じるところがありますの!
では、よい夏休みをお過ごしになって……。
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