羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

火の用心!

2005年12月24日 08時38分05秒 | Weblog
 朝、電話が鳴った。
「○○さんのお宅が、昨晩、焼けて、どなたかお一人が救急車ではこばれたようですよ」
「エッ、ほんとうですか。伺ってみます。ありがとうございます」

 自宅からそのお宅までは、直線距離は近いのに、乗り物の便は悪かった。
 そこで、徒歩で伺うことにした。

 細い住宅地をくねくねと、はやる心を抑えながら早足で西へ西へと歩くこと15分。
「電話も携帯もつながらない、そりゃそうだわ。入院されたのはお父様、それともお母様かしら」
 安否を気遣った。

 長い塀が視界を遮っている角を曲がると、焼け焦げた匂いが、鼻の先に漂ってきた。
 見ると蛍光色の筋が入ったカーキ色の作業服、同じ蛍光色の文字で「消防庁」の腕章をつけた消防隊の方が、その家の付近を見回っていた。

 見ると外観はそっくり残っている。
 窓ガラスはすべて割られているようだ。
「類焼は、幸いなことに、免れたようですよ」
 電話の主は、知り合いの元区議会議員さんだった。

 家には、黄色いロープが張られて入れないようになっていたが、外から覗くことができた。
 ちょうどそこに、お嬢さんが出てこられた。
 髪の一部にこげた後が残っていたが、それ以外に外傷はなさそうだった。
「母が、入院しました。でも、軽いやけどを負った程度で」
 彼女は、気丈だった。

 母上と彼女の部屋を中心に焼け、残ったところも水をかぶって使い物にならない。
「硝子もガンガン割られて、ものすごい放水。母は、この状況を知らないんです。救急車ではこばれたものですから」

 そうこうするうちに、ふらふらした足取りで、お父上が、裏庭から出ていらっしゃった。
 そこには妹さん家族の家がある。
昨晩はひとまず、孫の部屋で夜を明かしたという。
「まぁまぁ、年末に……」

 こういうときに、とっさに言葉はみつからない。
 お二人の手をとって、火事の経過の話を伺ってきた。
 コンセント付近から出火らしい。

 例年にない寒波の冬に、突然おそった出来事だった。

 何度か、電車に乗ってから、ストーブの火が消えていないのではないかと心配になって、私も家に戻ったことがある。ちょうどその火事があった日も、先生方とそんな会話をしていた矢先の出来事である。
「うちの主人も、洗面所にタバコの火を消さないで置きっぱなしで外出してしまったことに気付いて、空港について慌てて電話をいれたの。別棟に住んでいた母に、見にいってもらったの。そのときは、運良く火は消えていたので大事には至らなかったのだけれど。それがきっかけでタバコをやめたのよ」
 来年、定年を迎える先生が話されたことを思い出す。
 
 こうした経験は、一度や二度ではなく、誰にもありそうだ。
 火事と喧嘩は江戸の華、などといってはいられない。
「立ち去るときには、かならず、後ろを振り返るのよ」
 母の言葉が思い出された。

 湿度20%以下の日が続く。
 とにかく火の元確認。
 火の用心! 
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 野口体操との出会いー呼吸が... | トップ | 生き方は息方 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事