羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

野口最期のクリスマス演奏会……そして……

2014年10月28日 07時27分18秒 | Weblog
 昨晩、名器である通称「デンスケ」STEREO CASSETTE-CORDAER TC-D5M ソニー株式会社 MADE IN JAPAN で、バトルが歌うヘンデル『Ombra Mai Fu』ニッカ・イメージソングを聞いた。
 ソニーの不調が新聞の第一面トップで報道されたのは、今年の夏のことだったろうか?記憶が曖昧になっている。記事を目にした89歳の母が、「なんでソニーが??????」。ずっと問い続けていた。
 彼女の中で、ソニーのような優秀な会社が上手くいかなくなるとは、まったく信じられないし、信じたくないことだった。それから何日も同じ問いかけをしてきた。
 
 さて、デンスケの音はモニターで聞いてもそこそこ良き音だった。これが名器といわれる由縁である。
 すでにヘッドホーンやスピーカー接続端子が合わない。教室で皆さんにお聴かせすることはかないそうにない。
 いずれにしても隔世の感を、十二分に味わってしまった。

 それにつれて思い出されることがある。野口ノートである。
 1997年11月23日から始まって、98年2月28日まで書かれている最後のノートには、次のような記述がある。
《12/23(火)12/34(水)12/25日(木) CD 演奏用意、クリスマス 野口家演奏会》
 ご自宅の雨戸を閉め切って、大音量で『メサイア』『クリスマスキャロル』『ベートーベン第九交響曲』を聴いておられた。当然、バトルの歌も聴いておられた。
 テレビの音量も高くなっていた頃。目一杯ボリュームを上げて、指揮をしながらのコンサートに違いない。
 その4年前に先生から依頼されて、我が家出入りの大工さんと庭師を中心に、思い切ってご自宅の増改築の手配をし、皆さんにもお手伝いいただき、入院中に建て替えておいたことが功を奏した。
 晩年になって、お好きだった音楽を堪能していただけた。それもこれもわが両親の力添えがあって出来たことだったが、最後によいプレゼントができたような気がしてならない。
 
 その頃の先生は折に触れて『文明さん、お先にどうぞ』と、授業の中で何度も繰りかえしておられた。
 世の中の変化は、あまりにも急速に過ぎる。
 昨日も立ち寄った書店の一番目立つ棚に『永続 敗戦論ー戦後日本の核心』白井聡 こんな題名の本を見つけた。
 はたして、日本の優良会社・ソニーは、一体全体、何時何処で、間違ってしまったのだろう、と考えずにはいられない昨今の日本だ。
 先生が聴ていらしたレコーダーはソニー製だった。
 こうして、1997年12月25日は野口三千三最期のクリスマス演奏会となった。
 同じ日の野口ノートには、こう記されている。
《あらゆるもの・ことの変化において方向とは何か「方向を変える」とは何か……》
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