10日の土曜日の朝日カルチャーは、今年初めてのレッスンだった。
昨年末、江戸独楽作家・福島保さんが知らせてくださった日本橋三越で、「干支の羊独楽」と「蕪と大根の鳴り独楽」を手に入れてきた。
そこで「おもさに貞く」をテーマに、竹製の鳴り独楽四個、江戸独楽鳴り独楽2個、蕪と大根の鳴り独楽、合計七個を用意し持参した。
独楽の大きさは一番大きいものは高さ約20センチ・直径約15センチ、一番小さいものは高さ約6センチ・直径3センチほど。自宅で小さい順に並べて、重さを量ってみた。手で持って比べてみると、差がよくわからないものがあった。見た目の形に惑わされるのだ。そこで秤にのせてみた。やはり2グラムと4グラムの差は、形と色にごまかされてしまいやすいことに気付いた。
小さいものから、23g、54g、58g、84g、86g、123g、356gであった。
独楽は重いものほど回る命は長い。いちばん軽い23gの竹製鳴り独楽は、まわすのも一苦労だし、鳴っても本の数秒程度しか鳴りつづかない。で、これはタコ紐ではなく強い糸でまわす。
58gと84gが太さの境で、86gから123g・356gの独楽の紐は、タコ紐のうち太いものを使った方がまわしやすい。
また、床の堅さも問題であることを福島さんに教えられた。
54g「蕪と大根の鳴り独楽」は、白の木肌が美しいミズキでつくられていて、中をくりぬいてあるために全体に見た目より軽い。そこで薄く柔らかい紙を何枚か重ねた上で回さないと、飛んでしまうのだそうだ。実際に堅い床では回る時間が短くなる。
当然23gの小さな竹の鳴り独楽も、同じ紙の上の方が命が長くなる。
さて、レッスンが始まって間もなく、まず、私(羽鳥)が一通り鳴らしてみた。
ひとつずつ近くにいる方に、手渡した。
上手く回っていい音が鳴る人。思ったより難しく不発に終わる人。
はじめのうちは遠慮して回そうとしない人。
時間がたつにつれて、回せた人が手ほどきをはじめて、気後れしていた人もいつの間にか独楽の虜になっていく。
鳴り独楽は本当に軸がしっかり地球とつながらないと鳴ってくれないし、鳴り続ける時間も短くなる。
ひとしきり遊んだ時には、小一時間が過ぎてしまった。
活気の渦が巻く教室に、独楽の威力を改めて感じた。
この日の板書をここに載せておきます。
2015年1月10日(土)朝日カルチャー「野口体操講座」テーマ「おもさに貞く」
※『野口体操 おもさに貞く』春秋社より
*『人間が人間であることの基礎感覚は、地球の中心との「繋がり感覚」である。』
動くということは、常に今の平衡状態を崩し、次の新しい平衡状態をつくりだすということの絶えることのない連続である。平衡とは地球の中心との繋がりの在り方の問題である。→「重さの感覚」
*『卵子は存在の基本形であり、精子は動きの基本形である。』
*上下左右の概念の誕生」『重力からみる地球』藤本博巳 友田好文 東京大学出版会 より
「人は妊娠七週目ころから重力センサーができる。七週目は人間ができあがるまでに必要な三〇〇日の約六分の一の期間である。個体発生は系統発生を繰り返すものとして、生物の現状は三十億年の試行錯誤の結果とすると、その六分の一は約五億年である。だから今から二五億年前のときに海に浮遊していた生物が着底し、初めて重力を感じ、上下の概念が生まれたのではないかと推察できる。やがて口となる流れに向かった方向から前後の概念が生まれる。次に左右の概念が生まれる。とすると、重力は無生物から生物へと躍進するときの最初の概念を与えた力といえるだろう。」
*「独楽」は、まず上下方向・地球の中心方向に崩れない軸をつくるしたがって紐を引く方向は、鉛直に対して水平方向感覚が大事である。それから左右方向で上下のぶれが出ない在り方でスピードをつける。
*独楽本体の重さの違い。重い独楽の方が安定して平衡状態を保つことができる。重さで地球につながる安定感がある。重心が高い所に保たれていることが条件。「鳴り独楽」
※1月9日のブログ「羽鳥操の日々あれこれ」「俗と聖 あるいは 聖と俗 二つの刊行物」
*『Spectator』ボディトリップ「野口三千三の世界」エディトリアル・デパートメント 発売・幻冬舎
*『大学体育』2014年12月104 全国体育連合 平成26年度大学体育指導者全国研修会 報告
教養体育 体育必修時代から選択の時代へ
昨年末、江戸独楽作家・福島保さんが知らせてくださった日本橋三越で、「干支の羊独楽」と「蕪と大根の鳴り独楽」を手に入れてきた。
そこで「おもさに貞く」をテーマに、竹製の鳴り独楽四個、江戸独楽鳴り独楽2個、蕪と大根の鳴り独楽、合計七個を用意し持参した。
独楽の大きさは一番大きいものは高さ約20センチ・直径約15センチ、一番小さいものは高さ約6センチ・直径3センチほど。自宅で小さい順に並べて、重さを量ってみた。手で持って比べてみると、差がよくわからないものがあった。見た目の形に惑わされるのだ。そこで秤にのせてみた。やはり2グラムと4グラムの差は、形と色にごまかされてしまいやすいことに気付いた。
小さいものから、23g、54g、58g、84g、86g、123g、356gであった。
独楽は重いものほど回る命は長い。いちばん軽い23gの竹製鳴り独楽は、まわすのも一苦労だし、鳴っても本の数秒程度しか鳴りつづかない。で、これはタコ紐ではなく強い糸でまわす。
58gと84gが太さの境で、86gから123g・356gの独楽の紐は、タコ紐のうち太いものを使った方がまわしやすい。
また、床の堅さも問題であることを福島さんに教えられた。
54g「蕪と大根の鳴り独楽」は、白の木肌が美しいミズキでつくられていて、中をくりぬいてあるために全体に見た目より軽い。そこで薄く柔らかい紙を何枚か重ねた上で回さないと、飛んでしまうのだそうだ。実際に堅い床では回る時間が短くなる。
当然23gの小さな竹の鳴り独楽も、同じ紙の上の方が命が長くなる。
さて、レッスンが始まって間もなく、まず、私(羽鳥)が一通り鳴らしてみた。
ひとつずつ近くにいる方に、手渡した。
上手く回っていい音が鳴る人。思ったより難しく不発に終わる人。
はじめのうちは遠慮して回そうとしない人。
時間がたつにつれて、回せた人が手ほどきをはじめて、気後れしていた人もいつの間にか独楽の虜になっていく。
鳴り独楽は本当に軸がしっかり地球とつながらないと鳴ってくれないし、鳴り続ける時間も短くなる。
ひとしきり遊んだ時には、小一時間が過ぎてしまった。
活気の渦が巻く教室に、独楽の威力を改めて感じた。
この日の板書をここに載せておきます。
2015年1月10日(土)朝日カルチャー「野口体操講座」テーマ「おもさに貞く」
※『野口体操 おもさに貞く』春秋社より
*『人間が人間であることの基礎感覚は、地球の中心との「繋がり感覚」である。』
動くということは、常に今の平衡状態を崩し、次の新しい平衡状態をつくりだすということの絶えることのない連続である。平衡とは地球の中心との繋がりの在り方の問題である。→「重さの感覚」
*『卵子は存在の基本形であり、精子は動きの基本形である。』
*上下左右の概念の誕生」『重力からみる地球』藤本博巳 友田好文 東京大学出版会 より
「人は妊娠七週目ころから重力センサーができる。七週目は人間ができあがるまでに必要な三〇〇日の約六分の一の期間である。個体発生は系統発生を繰り返すものとして、生物の現状は三十億年の試行錯誤の結果とすると、その六分の一は約五億年である。だから今から二五億年前のときに海に浮遊していた生物が着底し、初めて重力を感じ、上下の概念が生まれたのではないかと推察できる。やがて口となる流れに向かった方向から前後の概念が生まれる。次に左右の概念が生まれる。とすると、重力は無生物から生物へと躍進するときの最初の概念を与えた力といえるだろう。」
*「独楽」は、まず上下方向・地球の中心方向に崩れない軸をつくるしたがって紐を引く方向は、鉛直に対して水平方向感覚が大事である。それから左右方向で上下のぶれが出ない在り方でスピードをつける。
*独楽本体の重さの違い。重い独楽の方が安定して平衡状態を保つことができる。重さで地球につながる安定感がある。重心が高い所に保たれていることが条件。「鳴り独楽」
※1月9日のブログ「羽鳥操の日々あれこれ」「俗と聖 あるいは 聖と俗 二つの刊行物」
*『Spectator』ボディトリップ「野口三千三の世界」エディトリアル・デパートメント 発売・幻冬舎
*『大学体育』2014年12月104 全国体育連合 平成26年度大学体育指導者全国研修会 報告
教養体育 体育必修時代から選択の時代へ
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