羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

たばこと塩の博物館「塩袋と伝統ギャッべ展」

2022年04月20日 16時50分21秒 | Weblog
本日、4月20日 日経新聞朝刊「文化」掲載の「塩袋に描く遊牧民の美」丸山繁を読んで、午後から墨田区横川にある博物館をさっそく訪ねた。

『イランを中心とした西アジアには家畜を飼い移動しながら生活を営む遊牧民が存在する。』
冒頭はこんな言葉から始まる。

その家畜を飼うための必需品が「塩」とそれを入れて運ぶ「塩袋」だという。
遊牧民は生きるために必要な塩を与えることで、家畜をつながなくとも逃げない状況を生み出している。ヤギや羊は人間と共に生きることで塩がもらえることを知っているからだ、という。

写真にもある塩袋は、匂いに引かれてくる羊やヤギの頭が勝手に入らないために上部を狭く作ってある。
展示会場にはいくつもの「塩袋」が展示されている。
どれも可愛らしくあたたかい。生活の中にある民具として逸品揃いなのだ!

そして圧巻なのは、「ギャッべ」と名付けられた100年〜数十年前に織られ使われた絨毯を中心とした遊牧民染色品たちである。
赤(茜の根、茜)、青(インディゴ)、茶(玉ねぎ)、鉱物(鉄鉱石他)自然染色の鮮やかな色は、時間が経過しても色褪せない美しさを保っている。

紋様は、花、動物、幾何学、波、水、生命の木、と現代美術家も真っ青になりそうな意匠ばかり。
雨乞い、生命讃歌、魔除け、幸福といったどの民族にとっても普遍的な祈りが、太い羊毛の糸で自在に織り込まれている。

素朴で、大胆、加えて繊細な緻密な織り込みもある。
厳しい自然環境の中で生きる遊牧の民の息遣いが、紋様と色からグングンと迫るように伝わってくる。
5月15日まで開催されている。

また「たばこと塩の博物館」の常設展示である「塩」と「たばこ」も見逃せない。

GWの穴場かもしれません。
おすすめでありまーす!


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