やまと言葉には濁音はないと言われている。
「そんなことはない」
そうおっしゃったのは、野口三千三先生だ。
確かに現代の和歌は別として、古典和歌では濁音はない。
しかし、人間の言葉、とりわけオノマトペに濁音がないはずはない。
このことが一つ。
次に鼻濁音について。
亡くなった木下順二さんは、鼻濁音にうるさかった。
がぎぐげご ざじずぜぞ だぢづでど ばびぶべぼ
これらの音は、みな鼻濁音でしなければならない。ドイツ語のウムラウトとフランス語の鼻音を混ぜ合わせたような音といっても、ちょっと違う。日本語の「鼻濁音」は、特殊だ。
俳優やアナウンサーやキャスターは、この訓練をしっかり受けることになる。
ここでも野口先生は異議申し立てをしておられた。
「僕が生まれた群馬では、鼻濁音なんてなかった。‘がぎぐげご’は角張った‘ガギグゲゴ’なんだ」
なぜ濁音・鼻濁音について書いているのかというと、「はなげや」と「うぶけや」のコメントだった。おそらくこれは、発音するときには「うぶげや」で、この場合の「げ」の音はもちろん鼻濁音である。「はなげ」も「はなけ」であるだろう。しかし、実際の発音の音は、「げ」は鼻濁音で「はなげ」だと思う。
つまり日本語で「清音」の表記であっても、自然に鼻濁音で発音される方が楽なことがある。たとえば私の苗字だが「羽鳥」は「はとり」だが、「はどり」と濁音になる方がおられる。栃木出身のピアノ先生は、「はどりさん」だった。その先生はものすごく早口だった。早口で「はとり、はとり、はとり、……」と繰り返すと、だんだん鼻濁音に近くなる。「はどり」の「ど」を鼻濁音で発音すると早口の時には言いやすい。
「産毛」も「うぶけ」というのは発音しにくい。つまり「うぶげ」で鼻濁音で発音する方がいいやすかった。
ということで実際の「うぶけや」さんは、私の場合「うぶげや」で「げ」は鼻濁音で発音していたことに気づいた。東京は鼻濁音がある地方。しかし、表記は清音で書く。ところがパソコンにローマ字うちをするときには、相当意識しないと間違うことになる。パソコンで文章を綴るときは、音声言語で打ってしまっていることに気づかされた。手書きの場合はまったく違う。これから気をつけよう。
読者の方はいかがだろうか。鼻濁音のある地方で育った方。ない地方で育った方。コメントいただけません?
それにしても一度「うぶけや」さんを訪ねてうかがってみたい。
撫明亭のご主人、しつこくてすいません。ご指摘、ありがとうございます。
ちなみにフランス人が、「Hatori」と文字を見ながら呼ぶとき「あとりさん」になってしまう。
ピアノのテクニックの本に「ハノン」がある。フランスではもちろん「アノン」なのだ。「H(アッシュ)」の音を隠してしまうから。
「うぶけや」さんのことで、思いがけず、野口先生の「清音」「濁音」「鼻濁音」、表記と実際の発音についての面倒な話を思い出した。
「そんなことはない」
そうおっしゃったのは、野口三千三先生だ。
確かに現代の和歌は別として、古典和歌では濁音はない。
しかし、人間の言葉、とりわけオノマトペに濁音がないはずはない。
このことが一つ。
次に鼻濁音について。
亡くなった木下順二さんは、鼻濁音にうるさかった。
がぎぐげご ざじずぜぞ だぢづでど ばびぶべぼ
これらの音は、みな鼻濁音でしなければならない。ドイツ語のウムラウトとフランス語の鼻音を混ぜ合わせたような音といっても、ちょっと違う。日本語の「鼻濁音」は、特殊だ。
俳優やアナウンサーやキャスターは、この訓練をしっかり受けることになる。
ここでも野口先生は異議申し立てをしておられた。
「僕が生まれた群馬では、鼻濁音なんてなかった。‘がぎぐげご’は角張った‘ガギグゲゴ’なんだ」
なぜ濁音・鼻濁音について書いているのかというと、「はなげや」と「うぶけや」のコメントだった。おそらくこれは、発音するときには「うぶげや」で、この場合の「げ」の音はもちろん鼻濁音である。「はなげ」も「はなけ」であるだろう。しかし、実際の発音の音は、「げ」は鼻濁音で「はなげ」だと思う。
つまり日本語で「清音」の表記であっても、自然に鼻濁音で発音される方が楽なことがある。たとえば私の苗字だが「羽鳥」は「はとり」だが、「はどり」と濁音になる方がおられる。栃木出身のピアノ先生は、「はどりさん」だった。その先生はものすごく早口だった。早口で「はとり、はとり、はとり、……」と繰り返すと、だんだん鼻濁音に近くなる。「はどり」の「ど」を鼻濁音で発音すると早口の時には言いやすい。
「産毛」も「うぶけ」というのは発音しにくい。つまり「うぶげ」で鼻濁音で発音する方がいいやすかった。
ということで実際の「うぶけや」さんは、私の場合「うぶげや」で「げ」は鼻濁音で発音していたことに気づいた。東京は鼻濁音がある地方。しかし、表記は清音で書く。ところがパソコンにローマ字うちをするときには、相当意識しないと間違うことになる。パソコンで文章を綴るときは、音声言語で打ってしまっていることに気づかされた。手書きの場合はまったく違う。これから気をつけよう。
読者の方はいかがだろうか。鼻濁音のある地方で育った方。ない地方で育った方。コメントいただけません?
それにしても一度「うぶけや」さんを訪ねてうかがってみたい。
撫明亭のご主人、しつこくてすいません。ご指摘、ありがとうございます。
ちなみにフランス人が、「Hatori」と文字を見ながら呼ぶとき「あとりさん」になってしまう。
ピアノのテクニックの本に「ハノン」がある。フランスではもちろん「アノン」なのだ。「H(アッシュ)」の音を隠してしまうから。
「うぶけや」さんのことで、思いがけず、野口先生の「清音」「濁音」「鼻濁音」、表記と実際の発音についての面倒な話を思い出した。
「hatori」とタイプしても漢字変換しますね。
高校で、友人が実演するまで、意識したことがありませんでした。
今でも、意識しなければ「GA GI GU GE GO」です。
野口先生は、「GA GI GU GE Go」でした。