羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

鴻上尚史『不死身の特攻兵』講談社現代新書2451

2017年12月07日 19時06分45秒 | Weblog
 副題は「軍神はなぜ上官に反抗したか」
 特攻に9回出撃して生きて帰ってきた佐々木友次を中心に、『冷静に「特攻」を考えられる時期が来た』と著者はあとがきに書いている。

 冷静に、というスタンスの取り方が非常に大事なのだ。煽るような書き方は一切ない。
 しかし、決して冷静に読めない激しい怒りと深い悲しみに、幾度も私は苛まれた。
 一滴の涙もこぼれない。
 しかし、血が逆流するのを感じながらページをめくった。
 そして、一気に読んだ。

 若者の命を消耗品として、特攻に向かわせた「命令する側の人間」に憤った。
 訓練も十分にしていない未熟な若いパイロットを、翼が布張りの「羽布張り」と呼ばれる練習機にのせて突っ込ませる愚かさは、狂気の沙汰などという言葉で表現してはならない。
 これは、自国民に対する上官たちがおかした戦争犯罪である。

 戦時中から敗戦直後の野口を重ねながら、この一冊を読み終えたこともあって、これ以上この本について書くことは、今できないそうにない。
 複雑な思いに絡めとられている。

 ぜひ本を手に取って、読んでいただきたい。
 
 この本を道標に戦争(特攻)を考えることは、そのまま現代を考えることになる。
 繰り返します。
 ぜひこの本を手にとって、読んでいただきたい。
 現代を、現代社会を、時代を見誤らないためにも、ぜひ読んでいただきたい。

 因みに、野口三千三の弟豊次は、インド・チンスキア上空(森林にて自爆)。
 帰らぬ人となった。
 1943(昭和18)年12月13日。(朝鮮第百十部隊長報告による)
 享年19歳であった。
 陸軍軍曹 勲七等 なんとも……。
コメント
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