羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

誤植、お詫びします

2016年01月04日 15時39分10秒 | Weblog
 一つ前に書いた「蚕」についての文章に、誤植が多く、先ほど訂正しました。
 大変失礼しました。


 http://blog.goo.ne.jp/ngc3003/e/2490e8c76fb64f8959fec43310db0a4d
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「蚕」にちなむ2冊の本、そして「はとり(羽鳥)」という姓について

2016年01月04日 13時54分43秒 | Weblog
 一冊目は、『蚕ー絹糸を吐く虫と日本人』畑中章宏著 晶文社刊 
 蚕が日本の文化を生み育て、近代にあっては世界に輸出された。外貨を稼ぎ明治維新を根底から支えた虫だった。蚕と日本人の深い関係を語っている良書。それが世界・日本の大恐慌とアメリカとの戦争、レーヨンといった化学繊維の出現で、一気に凋落の憂き目に会う。日本から養蚕農家が消失といってよい状況を生み出す恐さを読みました。
「お蚕様は人びとを豊かにし、国をも富ませた。」と帯にあった。

 二冊目は、『蚕の城ー明治近代産業の核』馬場明子著 未知谷刊 
 テレビ西日本のアナウンサーからディレクターだった女性の取材日記風の本。九州大学「遺伝子資源開発研究センター」で蚕の遺伝子に研究をしている話から始まり、歴史的な経緯を追いながら生ものとしての蚕について取材記録である。気が遠くなるような地道な保存研究が、失われた蚕業になるのだろうか。遺伝学に貢献する姿も記述されている。
「あとがき」にあった文章に涙す。
《目先の利に走らない姿勢は現代においてはとても難しい。国立大学では、来年度から成果が目に見える形で現れなければ、予算の獲得は難しくなった。しかし、声高な「成果主義」が世の中の基盤を取り崩す危険性を孕んでいることを、カイコを通して実感して頂ければ幸いである》2015年7月
 九州大学での100年に渡る蚕研究が、ここで立ち行かなくなるとしたら、非常に勿体ない。成果とは何ぞや? 今、役にたたなくても、役にたたないからといって切ってしまったらもう二度と戻らない大切なことがあることを忘れてはならない。
 この一冊が描き出す研究者の思いと行動と地道な研究は、蚕に限らない。

 偶然にも私の知り合いが、蚕の遺伝学を学んで、埼玉県の蚕糸試験所に勤務したこともあり、医薬に関わる研究を行っている。富岡製糸場とその遺産群が世界遺産に認定されたなかにある「田島弥平宅」の田島氏の親族のひとりである田島弥太郎は1935年に九州大学に貴重なカイコを抱えて入学したという。遺伝学にとって貴重なカイコだそうだ。その田島氏にも薫陶を受けた知人だった。82歳になった今、人生の最後にカイコの研究をまとめる仕事に入ったところだと、昨日の電話で伺ったばかりである。現在でも再生医療の研究で、医科歯科大学に週一回通っているという。ただ、ここでもすぐさま成果が上げられる研究ではなさそうで、研究費が底をつき、これから新たな研究費申請の手続きに奔走するとのことだった。

 この二冊に出会えたいきさつはこうだ。
 昨年末に新井英夫さんがFB上に紹介されていた一冊目の『蚕』という本飛びつき、一緒に『蚕の城」もAmazonで購入。注文したのは31日で、翌1月1日には、到着。近くのローソンに受け取りに行った。なんというか、年末年始に徹夜で働いている人がいることに、何とも複雑な思いを抱くが、片や歴史学・社会学・民俗学・女性史、近代産業(貿易)からの「蚕」についての本で、片や遺伝学を中心として生ものとしての「蚕」の地道な研究リポートであった。
 日本では失われた蚕業を、やはり掘り起こそうとしている人がいることに、かすかな望みを託したい。
 そして野口三千三が養蚕農家に生まれ育ったことの意味の深さ、それが野口体操の底流に流れていることの意義を、今まで以上に感じている。

 もう一つ、我が家の姓の「羽鳥」に関わっているのではないか、と思われる記述を『蚕』に発見した。「一ー蚕と日本社会 2-古代人と蚕」広隆寺境内の東に「大酒神社」の石標に次のような記述がある。
《「蠶(蚕)養機織管絃楽舞之祖神」「太秦明神 呉織加味漢織神》
《祭神として秦始皇帝、弓月王、秦酒公、別殿に呉織神*くれはとり(呉織女、兄媛命)、漢織神*あやはとり(漢織女、弟織命)を祀る》
 呉織神には“くれはとり”、漢織神には“あやはとり”、といったルビがついている。
 これは我が家の姓に違いない。もともと群馬県から埼玉県にやってきた養子が、大和という姓を「羽鳥(はとり)」と勝手にかえてしまったと聞いたことがあった。
 
 というわけで、縁が深くありそうな気配を感じつつ、なかなかに面白くなってきたところであります。
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