羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

当たり前に大事なこと

2011年10月27日 19時14分59秒 | Weblog
 外食に美味しいものをもとめるより、家庭で食べるなにげない食事が美味しいこと。家庭料理を美味しく作る。これって本当は至難の業だ。でもこのことが当たり前に大事なこと。

 各教科でよい点数を取らせることを教えることよりも、人間を育てる教育が本当は大事だ。しかし、これが難しい。人を育てる、と言うは易し、行うは難し。学生と接しながら、授業でつくづく思うこと。

 ストレスタンパクの話をした。「なぜ、運動することが大切なのか?」
 その答えは、「運動は生命への働きかけである」からだそうだ。
 そして遺伝子情報を読み間違えて作られたタンパク質を修正する「分子シャペロン」、つまりあらゆるタンパクの間に入り込んで間違いを修正(お世話する)キャンセルする“ストレス・タンパク”が順調に生成されるためにも運動は重要な働きをする。
 これって分子レベルのこととしての話だけでなく、日常生活の中でも、ちょっとしたほころびを繕うシャペロンが大事な働きをすることを思う。
 心のなかに嫌な出来事があったらそれをお世話係が修正するような「真心シャペロン」を持ちたいものだ。
 人間関係も同様で、何気ない気遣いをする「気遣いシャペロン」がいてくれたら暮らしやすいのに。一人の人ばかりが気遣うのではなく、それそれの人が少しずつ気遣いを見せる。そんなコミュニティーに生きられたらいいのになぁ~。でも、実際はとても難しい。
 年寄り夫婦の会話が往々にして刺々しくなるのは、身体の衰えが「真心シャペロン」「気遣いシャペロン」を失わせるところに一因がありはしないか。自分が息をするだけで精一杯なのである。新陳代謝力が衰えるからだね、きっと!

 当たり前のことが当たり前に通る自分でありたいし、そうした話の分かる人と、人生は過ごしたいものである、と齢六十路を歩くこのごろである。

 ちなみにシャペロンとは、フランス語で「舞踏会に出る婦人をお世話する婦人のことだそうだ」。
 若い生命体はこの分子シャペロンをしっかり生成し、間違いをキャンセルする働きを担わせているらしい。
「小さな親切大きなお世話」などということばをなくして、小さなお世話の大切さを日常に感じてみよう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする