夕方、授業を終えた学生で混雑している車中。
明大前で飛び乗ったドア付近に、そのまま立っていた。
実は、移動したくも移動できなかった。
電車が発車して少し落着くと、いっしょに飛び乗った3人の学生のうちひとりが口火をきった。
会話の様子から仲のよい友達同士であることがわかる。
「この前、吉祥寺で向かいのホームから人が落ちて、電車に轢かれるのをみちゃったのよ」
「自分で飛び降りたの?」
「わからない。ホームの階段に向かって歩いていたわけ。急ブレーキの音とギャーっという声で、向かいのホーム、思わず見ちゃった」
「間に合わなかったのか」
「そっ。でね、その人は僕の視界からは消えちゃった。もう、さぁ~、バフバフしちゃった」
話を聞いていた2人は、無言のまま、‘そうか’という表情を見せていた。
3人は、しばし沈黙。
電車はトンネルに差し掛かった。
「ねっ、傘だけ見ても性格の違いがわかるね」
ひとりの学生が、重苦しい雰囲気を変えるべく、話を向けた。
「おまえさ、もっと丁寧に巻けよ」
「えっ、確かにな」
だらしなく巻かれた傘を、留め具をはずさないで、巻きなおそうとしている。
「無理だよ。そんなことしたって」
「そうだな」
もうひとりの学生の傘は、開きっぱなし状態。
「他の人に滴がかかって、濡れるだろ」
そういわれてもなおす気配はない。
注意している学生は小うるさい感じは受けなかった。
言いたかったことは‘性格の違い’だったから。
一瞬、おかしかった。
二人の学生と私は、きれいに巻かれた学生の傘に視線をやった。
3本とも同じ白い透明なビニール傘だった。しかし、3人3様の巻き方に個性が滲み出ていたってわけだ。
その時、ドキッとして自分の傘に目をやった。
「見て、見て、しっかり巻けているいるでしょ」
ホッとして、言いたかったね。
3人ともジーンズにTシャツ、襟のついたシャツを寒さよけに羽織っていた。
とくに傘をしっかり巻いている学生の服装に目がいった。
赤と黒と白のチェックのシャツを着込んで、おしゃれっぽかった。
「そうか、そうか。なるほど。そうなんだ」
ひとり、ガッテン!
新宿駅に到着しておされながらホームに下りたときには、3人を見失ってしまった。
これからどこにくりだすのかなぁ~?
明大前で飛び乗ったドア付近に、そのまま立っていた。
実は、移動したくも移動できなかった。
電車が発車して少し落着くと、いっしょに飛び乗った3人の学生のうちひとりが口火をきった。
会話の様子から仲のよい友達同士であることがわかる。
「この前、吉祥寺で向かいのホームから人が落ちて、電車に轢かれるのをみちゃったのよ」
「自分で飛び降りたの?」
「わからない。ホームの階段に向かって歩いていたわけ。急ブレーキの音とギャーっという声で、向かいのホーム、思わず見ちゃった」
「間に合わなかったのか」
「そっ。でね、その人は僕の視界からは消えちゃった。もう、さぁ~、バフバフしちゃった」
話を聞いていた2人は、無言のまま、‘そうか’という表情を見せていた。
3人は、しばし沈黙。
電車はトンネルに差し掛かった。
「ねっ、傘だけ見ても性格の違いがわかるね」
ひとりの学生が、重苦しい雰囲気を変えるべく、話を向けた。
「おまえさ、もっと丁寧に巻けよ」
「えっ、確かにな」
だらしなく巻かれた傘を、留め具をはずさないで、巻きなおそうとしている。
「無理だよ。そんなことしたって」
「そうだな」
もうひとりの学生の傘は、開きっぱなし状態。
「他の人に滴がかかって、濡れるだろ」
そういわれてもなおす気配はない。
注意している学生は小うるさい感じは受けなかった。
言いたかったことは‘性格の違い’だったから。
一瞬、おかしかった。
二人の学生と私は、きれいに巻かれた学生の傘に視線をやった。
3本とも同じ白い透明なビニール傘だった。しかし、3人3様の巻き方に個性が滲み出ていたってわけだ。
その時、ドキッとして自分の傘に目をやった。
「見て、見て、しっかり巻けているいるでしょ」
ホッとして、言いたかったね。
3人ともジーンズにTシャツ、襟のついたシャツを寒さよけに羽織っていた。
とくに傘をしっかり巻いている学生の服装に目がいった。
赤と黒と白のチェックのシャツを着込んで、おしゃれっぽかった。
「そうか、そうか。なるほど。そうなんだ」
ひとり、ガッテン!
新宿駅に到着しておされながらホームに下りたときには、3人を見失ってしまった。
これからどこにくりだすのかなぁ~?