ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2023年1月19日。ウクライナ侵攻から331日目

2023-01-19 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年1月19日。
 今日は正教の祭日、神現祭です。聖水祭とも言われ、寒中水泳する日なのですが、暖冬が続いているので、あまり寒くないと報道されています。そう言われても寒中水泳するつもりは私はありませんが・・・。

 今日、予定通りロシアのラブロフ外相がミンスクで、ベラルーシ外相や大統領と会談を行いました。全外相が急死したため会談が延期になっていたのが、今日になったという状況です。

 昨日ロシア外相は、記者会見で、ウクライナとの停戦交渉をめぐり、
「ウクライナ大統領がロシアとの交渉を法律で禁じている以上、交渉はあり得ない。」
と述べ、停戦交渉は当分実現せず、それはウクライナのせいだと主張しました。
 また日露関係についても言及し、「日本が他の制裁参加国と一緒に接触を凍結した」とした上で、平和条約交渉については「全てはもう過去のことだ」と述べました。やっぱり日本のせいなんですね。
 去年11月から空席となっている駐日大使のポストについて、新たな大使が近く派遣される見通しを示しました。どんな人が選ばれるのか。

 今日のベラルーシでの会談でも、おそらくベラルーシ軍の参戦について話し合われたと思いますが、会談後の記者会見では、この件については言及されず、西側諸国からロシアとベラルーシへかけられている圧を、協力し合って対応していくことを決定したと述べるにとどまりました。

 またロシア人で、ライアンエアー緊急着陸事件で逮捕され、現在服役中のサペガ氏について、ロシア外相は言及しましたが、法的手続きに準ずることを強調。サペガ氏本人がロシア司法局に対して嘆願書を書けば、ロシアに移送される可能性が高いのですが、ロシア外相としては、外交問題に発展させたくないという姿勢を見せました。


 脱走とは違う脱営という言葉があるんですね。
 ロシアの西部飛び地であるカリーニングラードで暮らしていたクラブチェンコ下士ら8人は昨年9月24日ウクライナ特別軍事作戦のために動員されました。それから約1カ月後の11月12日、8人は戦闘投入準備などのためにウクライナ東部ルハンシク州地域にある軍事キャンプに送られましたた。
 当時、主に待避壕を作る作業を命じられた8人は自分たちが12月24日に戦闘一線に投入されるということを聞いて脱営を決心。
 戦闘投入前日、食糧と民間人服などをまとめた後、タクシー2台に分乗し、ロシア西部リペツク州へ。タクシーを利用できるんですね。民間人のふりをしたのか、そうすると現地のウクライナ人(ロシア系ウクライナ人という可能性も。)になりきってタクシーに乗り込み、ロシアまで国境を超えて移動したようです。タクシー運転手も大変ですね。日本ではありえないです。
 8人は翌日バスでモスクワ州ポドリスクに到着した後に警察に自首しました。自首したから脱営なんですね。昨日はやはりリペツク州当局が武装している脱走兵を射殺しているので、脱営した兵士は射殺されない模様です。身柄を拘禁されました。
 自首当時、彼らは民間人の服装をしており、旅行用トランクにカラシニコフ小銃4丁とカラシニコフ機関銃4丁を取り出して警察官に渡しました。
 クラブチェンコ下士の弁護人はコメルサントに「脱営兵の最終計画はカリーニングラードに戻ることだった」としています。やっぱり昨日の射殺された脱走兵のように家族に会いたかったのではないでしょうか。
「彼らが当初から脱営計画を立てていた訳ではなく、準備ができていない状態で戦闘に参加することを望んでいなかった」
とも弁護士は話していますが、おそらく起訴され罪に問われるでしょう。刑務所に入っているほうがまだましとおもったのかもしれません。判決が気になりますね。見せしめのように厳しい刑が科される可能性があります。


2023年1月18日。ウクライナ侵攻から330日目

2023-01-18 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年1月18日。
 一日中雨が降って、雪が溶けています。

 今朝キーウ近郊で、ウクライナ政府のヘリコプターが幼稚園の近くに墜落しました。
 この事故で、モナスティルスキー内相ら政府高官3人、2人の子どもを含む16人が死亡し、22人が病院に運ばれました。
 ヘリコプターは濃い霧の中、低い高度で飛行していたという目撃情報もあります。
 事故原因は調査中です。

 ロシア国営メディアは18日、ウクライナでの軍事作戦に加わっていた脱走兵をリペツク州政府当局が発見し、殺害したと伝えました。
 脱走兵は31歳で、13日にウクライナから逃げ、生まれ故郷に向かう可能性があると伝えていました。母親に会うために手榴弾と5つの弾倉を備えた機関銃を持ち部隊から脱走しました。これがよくありませんでしたね。母親と会うことができましたが、見つけられ射殺されました。見せしめもあったと思います。


 ロシアの人権団体「グラグ・ネット」はロシアの民間軍事会社「ワグネル」の元指揮官、アンドレイ・メドベージェフ氏がノルウェー入りし、亡命を申請していると発表しました。
 メドベージェフ氏は1月12日、ロシア北部ムルマンスク州から出国に成功。亡命が認められれば、ワグネルの創設者のプリゴジン氏が、数千人のウクライナ人とロシア人の殺害に関与したことを証言する準備があると話しています。
 亡命を認めてあげてください。ロシアへ戻れないし、暗殺される可能性もあります。


 ロシア空軍の軍用機Su-34がミンスクの空軍飛行場に到着。 両軍合同で飛行戦術訓練を行うためです。

 ロシア大統領は今日、サンクトペテルブルクの兵器工場を訪れ「勝利は確実だ。疑いない」と述べました。

2023年1月17日。ウクライナ侵攻から329日目

2023-01-17 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年1月17日。
 今日は雨が降っています。

 2026年から2032年までの期間でオリンピックがロシアとベラルーシでは放送されないことが決まりました。
 国際オリンピック委員会の決定によります。どちらにせよ、ロシアとベラルーシの選手はオリンピックに出場できないのですから、放映もしなくて当然という考えです。

 オーストラリアテニス協会は今日、同国駐在のウクライナ大使からの要請を受け全豪オープンテニスにおけるロシアとベラルーシの国旗掲出を禁止しました。旗は禁止ですが、ロシアとベラルーシの選手が中立選手として、同試合に出場しているため、16日に行われた試合ではウクライナとロシアの選手が対戦。その観客席にいた一部のファンがロシア国旗を掲げ、それをきっかけに、ウクライナのファンたちが警備員や警察を呼ぶよう求める事態になったそうです。
 選手自身もやりづらいでしょうね・・・。それとも、政治は政治、スポーツはスポーツと割り切れるものなのでしょうか。

 アルゼンチン駐在の元ベラルーシ大使が横領の罪などで起訴され、裁判が始まりましたが、もちろん当人は欠席しています。
 野党リーダー、チハノフスカヤ氏などの裁判もベラルーシで始まっていますが、欠席裁判です。裁判所はチハノフスカヤ氏に対して、裁判に来るよう求めていますが、もちろん帰国そのものをしません。

 ブリンケン米国務長官は今日、チハノフスカヤ氏らに対する公判が本人不在のまま同国で始まったことについて、ベラルーシ現政権による民主主義の抑圧だと非難する声明を発表しました。対抗措置として、同国議員を含む25人に対しビザ発給を制限するそうです。


 ロシア大統領がウクライナ戦争の総司令官に新たに任命されたゲラシモフ参謀総長に対し、3月までにドンバスを完全に占領するよう命じました。

 ロシアのショイグ国防相は、ロシア軍の兵士の数を150万人に増やすことを大統領から命じられたことを受け、ゲラシモフ参謀総長らと会議を行い、2026年までに兵士の数を現在の115万人から150万人に増やすことを発表しました。

 

2023年1月16日。ウクライナ侵攻から328日目

2023-01-16 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年1月16日。
 気温は0度前後にまで上がり、雪が溶けたり、その上に雨が降ったり雪が降ったりしています。
 やっぱりこの冬は暖冬だと思います。この気候がどれだけ戦局に影響を与えるのか・・・。

 こちらのニュースを見ていると、ロシア軍がウクライナ兵士を何人殺したとか、ウクライナ軍がロシア兵士を何人殺したとか相反する数字が飛び交っていて、どっちを信じたらいいのか分からないのですが、民間人死亡のニュースは正しい報道だと思います。

  国連人権高等弁務官事務所は今日、ロシアが侵攻した昨年2月以降、ウクライナで殺害された民間人は7000人以上に上ると発表しました。

 ドニプロで14日に起きたロシア軍によるミサイル攻撃で9階建ての集合住宅が破壊され、ウクライナ非常事態庁は今日、死者数が子供3人を含む40人に上ったと明らかにしました。
 子供14人を含む75人が負傷し、瓦礫の下の行方不明者の捜索が続いています。
 この攻撃についてロシア大統領報道官は今日、ウクライナの対空ミサイルによるものだと主張し、ロシア軍の関与を否定。これを信じるウクライナ人は少ないでしょう。
 ヘルソンでは昨日、ロシア軍の砲撃で7人が負傷し、赤十字社の施設が被弾しました。この報道も正しいでしょう。

 予定通りロシア軍とベラルーシ軍は今日から、ベラルーシ国内で航空部隊の合同軍事演習を開始しました。
 独立系メディアによると、ロシア軍のヘリコプター12機が8日に、戦闘機8機が15日にそれぞれベラルーシの軍用空港に到着。弾薬も運ばれたようです。
 国営ベルタ通信によれば、ベラルーシの安全保障会議第1副書記は昨日、合同演習が「防衛的」なものだと主張し、あくまで攻撃のためではないことを示唆しました。


 ベラルーシのニュースでは最近、麻薬をベラルーシへ密輸しようとして、逮捕されるケースが増えています。
 これも戦争が影響しているような気がします。

2023年1月15日。ウクライナ侵攻から327日目

2023-01-15 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年1月15日。

 ロシアのベルゴロド地域の旧文化会館の建物で弾薬が爆発した結果、3 人が死亡し、13 人が負傷したと、ロシア地域の緊急サービスが報告した。
 原因は弾薬の爆発だそうです。
 地元住民にけがはありませんでした・

 ウクライナ大統領はロシア国防省が「制圧した」と発表したドネツク州ソレダルで、ウクライナ軍が抗戦を続けていると強調しました

 一方、ソレダルでの戦闘で主力を担っているとされるロシア民間軍事会社ワグネル創設者のプリゴジン氏は13日、SNSで、戦況発表でワグネルに言及しなかったロシア国防省を「ワグネルから勝利を盗もうとする試みが常に起きる」と暗に批判しました。 
 民間の会社が自国の国防省を直批判ですよ。そして、「民間会社の我々のほうがよっぽど軍として優秀」と強調しているのをロシアの国防省はどんな思いで聞いているのでしょうか。
 ロシア国防省はこれを受けて13日夜、「ワグネルの志願兵らの行動により、成功した」と改めて発表しました。しかし、これは本位ではないでしょう。
 ワグネル側に何らかの目論見があるようですが、それをまたわざわざ表面化するのはなぜなのか。
 それはもちろんワグネルのトップが将来のことを考えて発言しているからだろうという予測が立つのですが、ただ単にロシアの軍事の世界で何やら揉めている(政治的にも。人間感情面においても)と思われても仕方がないですね。


 ベラルーシ国内では、ロシアとの共同軍事演習が明日から始まりますが、今年9月に旧ソ連諸国で構成する「集団安全保障条約機構(CSTO)」との三つの演習がベラルーシ領内で行われる計画だそうです。

2023年1月14日。ウクライナ侵攻から326日目

2023-01-14 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年1月14日。
 今日は正教のお正月です。

 今日の朝、キーウなどのウクライナの都市が、ミサイル攻撃を受けました。ハルキウなどの重要なインフラ施設がロシア軍のミサイル攻撃を受けたということです。また、ドニプロ市では集合住宅がミサイルで破壊され、5人が死亡、27人がけがをしているということです。
 ミサイルはイスカンデル型で、軍事基地のあるベラルーシのバラノヴィチ付近から飛来したと言われています。発射したのはロシア軍である可能性が高く、ロシアがイスカンデルを供与しているからです。


 ロシア外務省報道官は、英国のジェームズ・クレバリー外相がロシアの制裁リストに追加されたと述べました。

 イギリス首相官邸は今日、首相がウクライナ大統領との電話会談で、イギリスの主力戦車「チャレンジャー2」の提供を含め、ウクライナ支援を強化する意向を伝えたと明らかにしました。


 ロシア大統領府は2024年3月の大統領選に向け、プーチン大統領の陣営が5選の準備を始めたと報じました。
 再選に反対の国民の多くは国外に出国し、不在者投票にも行けるかどうか分からないので、国内の投票者だけに絞ると、プーチン支持の票は全体の多数を占めるのではないでしょうか。

 ロシアのビャチェスラフ・ウォロジン下院議長は昨日、国外に脱出してウクライナ侵攻を非難している国民の財産を接収すべきだと訴えました。
 ベラルーシでは、国公立の医療機関での医療費が一部を除いて無料なのですが、政府に反対したなどの理由で国外へ出国したベラルーシ人が、外国での高い治療費を避けるために、病気のときだけ帰国して無料の治療を受けているとして、政府が批判。外国に住んでいてもベラルーシの税金を支払うよう求めています。
 実際に反政府派で、しかもデモなどに参加し、その後逮捕されたというようなベラルーシ人は、外国へ出国した後、ちょっと病気になったからといってベラルーシへ帰国する人はとても少ないと思います。
 別に反政府派でもないけど、務めていた職場が外国へ移転したから、外国へ引っ越しせざるをえなかったという人が多いと思います。
 そういう人たちが引越し先の医療費が高いからと言っていちいち一時帰国するでしょうか。収入はいいほうだと思います。
 おそらく税収が減ったので、解決するためのいろんな方法を考えているような気がします。


 ロシア前大統領メドベージェフ氏は今日、自身のSNSで「核兵器を使用した唯一の国がアメリカであり、唯一の被爆国が日本である。岸田氏は大統領に謝罪させるべきだった」とし、「広島と長崎の被爆者を裏切った」と主張しました。そのうえで、岸田氏について「アメリカの使用人でそのような勇気はない」として、恥をそそぐには「閣議で切腹するしかない」と述べました。
 
 

 

2023年1月13日。ウクライナ侵攻から325日目

2023-01-13 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年1月13日。
 ミンスクは気温が10度上がって0度前後。雪が溶けたりまたそこへ雨が降ったり雪が降ったりしています。

 ロイター通信によるとウクライナ北西部のベラルーシとの国境付近では決壊した河川堤防、厚いぬかるみ、浸水した野原が数マイルにわたって見られ、国境を越えたロシアによる攻撃は今のところ考えにくい状況になっているそうです

 その現場を見たわけではないのですが、ミンスクで雪が溶けたり積もったりしているのを見ていると、実感できますね。


 ウクライナ東部ドネツク州の激戦地ソレダルをめぐり、ロシア国防省は今日、街を制圧したと宣言しました。
 このニュースはベラルーシでも速報が流れましたが、ウクライナ側は抵抗を継続していると主張している。

 ベラルーシの独立系メディアは衛星写真データを基に、ウクライナ国境に接する南東部ゴメリ州ジャブロフカの軍用飛行場にロシア製の防空システム「S300」や「パーンツィリ」、対空レーダーなどが新たに配備されたと報じました。


 ロシア外務省高官アレクセイ・ポリシュチュク氏は今日、ウクライナがロシアかベラルーシに侵攻すれば、ベラルーシはウクライナ戦争に参戦する可能性があるとの見解を示しました。
 国営タス通信のインタビューで、ロシアとベラルーシの共同訓練はエスカレートを防ぐためのものだそうです。
 どうでしょ?

 

2023年1月12日。ウクライナ侵攻から324日目

2023-01-12 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年1月12日。

 ロシア陸軍総司令官オレグ・サリュコフ率いるロシア軍代表団がベラルーシを訪問し、ベラルーシで訓練をしているロシア軍を視察しました。
 そんな中、ウクライナ防衛副大臣は、
「ロシアはベラルーシで訓練された動員兵をドネツクに活発に投入を開始した。軍備の欠乏のため歩兵による攻撃に頼っている。」
と発言しました。

 ラジオフリーヨーロッパのジャーナリスト、リカルド・ヨズウィアク氏のツイートによると、EUによる対ロシア制裁の最新パッケージに、今回ベラルーシが対象に含まれていないのはウクライナの求めに応じたものであるそうです。
 私たちが知らないだけで、ベラルーシとウクライナの間に水面下でさまざまな交渉が行われているのかもしれません。
 
 2020年のベラルーシ大統領選挙の立候補者の一人、アンドレイ・ドミトリエフ氏が昨日の夜、拘束されました。
 理由は明らかにされていません。ドミトリエフ氏は投票率が公式発表によるとわずか1%ほどだったのですが、選挙後、結果の無効を訴えており、また別件で身柄拘束、その後釈放されています。今年になって再び拘束されたのは、ロシアのウクライナ侵攻に関わっているのかもしれません。


 ロシアで拘束されていたアメリカ海軍退役軍人のテイラー ・ダドリー氏が釈放されたとCNN が報じています。


 ベラルーシ外務省によると、国連難民高等弁務官は、ウクライナからの避難民を支援したベラルーシに謝意を表しました。
 ベラルーシは2022年2月以降、75,000人以上のウクライナ避難民を受け入れ、住居や就職先などの支援を国手動で行いました。(ただし、就職がうまく行かず第三国に出国したウクライナ人もいます。)
 日本も国連から感謝されるときが来ますよ。

 ウクライナ当局は国内のロシアとベラルーシの資産を凍結し、その総額は11億2000 万ドルに達したとっはっぴょうしました。




2023年1月11日。ウクライナ侵攻から323日目

2023-01-11 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年1月11日。

 ベラビア航空は、CFMインターナショナルが製造したジェット機用エンジンを今月24日オークションにかけて売却する方針です。
 これって、ベラビア所有のジェット機をばらして、売れる部品は中古として売る(利益にする)ということですね。だれが(どこの国が)買うのでしょう。ロシアだとすると、ロシア保有のジェット機のためにベラルーシ保有のジェット機がバラされているような印象を受けます。

 ロシア大統領は今日、政府の会議にオンライン参加しました。そこでのマントゥロフ副首相兼産業商務相との会話。軍用機を早く調達せよと命令されて、
「作業は順調に進んでいます。」
と答えると、
「ふざけているのか。契約がないのは知っている。いつできるのか。」
「3カ月で完了します。」
「何の話だ。状況を理解していないのではないか。1カ月以内に終わらせてほしい。」
 ・・・相当焦っていますね。


 ラトビアはベラルーシとの協定で入国と出国、ビザ取得、滞在登録の手続きを相互に優遇する協定を今年9月21日に停止することを決定しました。ちなみに現時点ではラトビア人はベラルーシにノービザで入国できます。


 IAEA事務局長は、来週ウクライナを訪問する予定で、その後ロシアへ行きます。ロシアでは大統領に直接合いたいと希望しています。
「ウクライナの原発への攻撃は日常化しています。これは常軌を逸しています。私は国連安全保障理事会の会合で、彼ら(ロシア軍)は火遊びをしていると言いました。このままでは核の事故が起こってしまいます。事故は回避しなければなりません。」
とも発言しています。


 ロシア民間軍事会社ワグネルはウクライナ軍との激戦が続いてきたドネツク州の都市ソレダルを同社の部隊が制圧し、掃討戦を開始したと主張しました。ウクライナ軍はもちろん否定。ただ撤退の可能性は示唆しました。


 ロシア国防省は今日、ウクライナでの「特別軍事作戦」を統括する総司令官に、軍制服組トップのワレリー・ゲラシモフ参謀総長を任命したと発表しました。今度、戦果を上げなかったら、ロシア軍上層部はどうなることか。

2023年1月10日。ウクライナ侵攻から322日目

2023-01-10 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年1月10日。

 ベラルーシ大統領は今日、ベラルーシ人は自分たちの伝統を外国の伝統と区別し、母国語の純粋さを守らなければならないと語りました。
 ベラルーシ人は母国語を純粋に守らないといけない。そのために外国との伝統と区別しないといけないそうです。ベラルーシ語を守ろうということでしょうか。ロシアは外国のものとして区別されえるのでしょうか。

 ライアンエアー緊急着陸事件で、逮捕されたロシア人女性サペガ氏。現在、更生施設で6年間の服役中ですが、恩赦を出してもらうよう要請していました。しかし今日、要請が却下されました。
 この人に関してはロシア国籍を持っていることから、身柄をロシアに移送される可能性が除外されないとベラルーシ大統領が話しています。
 もしかするとロシアへの移送が決まっているので、ベラルーシ服役中は恩赦が出せないのかもしれません。

 現在ロシアで服役中のナワリヌイ氏はツイッターで刑務所の看守がインフルエンザにかかった受刑者をナワリヌイ氏の「独房」に送り込んできたと主張しています。また弁護士は、ナワリヌイ氏がインフルエンザの症状を発症して体調を崩したと報告しています。
 サペガ氏もロシアへ移送されず、ベラルーシの更生施設にいるほうがいいのかもしれません。

2023年1月9日。ウクライナ侵攻から321日目

2023-01-09 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年1月9日。
 気温がマイナス3度まで上がりましたが、風が強いです。

 ロシアの同盟国ベラルーシの国防省は8日、同国内で今月16日から2月1日まで、ベラルーシ空軍とロシア航空宇宙軍の合同軍事演習を実施すると発表しました。参戦はしないけれど、訓練はしておこうということですね。
 

 ロシアが8日、ウクライナ軍600人以上を死亡させたと主張した件について、ウクライナ側はこれを「プロパガンダ」だとして否定。死者は1人もいなかったと主張しています。
 とにかく数字などあまり意味がないんですよ。


 ベラルーシにとって「友好的でない」国々の映画、音楽、ソフトウェアの著作権侵害を合法化 する新しい法律にベラルーシ大統領は署名しました。
 海賊版を作って儲けても罪に問われなくなりました。しかし著作権侵害をしてもいいと言っているのはベラルーシだけで、国内に限定されます。ベラルーシはベルヌ条約に加盟しているんですけどねえ・・・


 ベラルーシはペット用の餌を国内で生産する方針を固めました。
 つまり、ベラルーシで今売られているペット用の餌の多くが外国からの輸入なのです。
 経済制裁の影響で餌が輸入されにくくなった、あるいは高価になってしまったので、とうとう国内生産に踏み切ります。
 日本人の感覚だと、ペット用の餌を製造している工場が国内にないから今から作り始める、というのに驚きますよね。
(もっとも日本だと、ペット用の餌の原材料の多くが輸入に頼っていますよね。)
 ともかく戦争が始まると、輸入品が減るので、いろんな物を国内で歩いていどの数は生産・製造できるのが戦争など緊急時に強い国ということだと思います。
 以上のような国の決定を聞くと、犬用の餌を急いで国内製造開始しようとしているなんてベラルーシという国は優しいなと思われるかもしれませんが、実際にはエサ代が高騰して、買えなくなり、仕方なく犬や猫を捨てる人が大勢出てくるのを防ぐためだと思います。これからベラルーシは野良犬が増えるんでしょうか。

 
 ベラルーシの人気ラッパー、セリョーガ(これは芸名で、本名はセルゲイ・パルホメンコ。ゴメリ出身)がミンスクのスヴォーロフ軍事学校を見学しました。もちろん生徒たちを激励。子供の頃、実はこの学校に入学したかったが、夢は叶わなかったと告白。軍人にはならずにラッパーになったということですね。
 このスヴォーロフ軍事学校は、日本でいうと中学生と高校生の年齢に当たる子どもが通っています。卒業後はベラルーシ共和国軍の職業軍人になれるし、また軍事大学にも入学しやすくなります。
 このようにティーンの年齢の子供が軍人になろうとして入学する学校に、若者に人気のラッパーを呼んできて、訓練を体験させたり、いっしょに写真を撮ったりして国防省は知恵を絞って工夫していることを感じました。
 ちなみにスヴォーロフとはロシア帝国時代の将軍の名前です。私がスヴォーロフという言葉を聞くと思い出すのがこの軍事学校とこの絵です。アルプス越えの絵ですが、この絵を思い出すと今度は源義経の鵯越を思い出してしまう・・・。
 ミンスク以外にもロシア各地にスヴォーロフ軍事学校があります。(キーウにもある。)スヴォーロフ軍事学校同士の交流もあります。

 
  
 

2023年1月8日。ウクライナ侵攻から320日目

2023-01-08 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年1月8日。
 今日は強い風が吹いていました。また天気が変わりそうです。

 昨年10月8日に走行中のトラックが爆破されることによって一部破壊されたクリミア大橋。12月までに必ず修復するとし、実際に12月5日に走行可能となって、ロシア大統領自ら車を運転して渡りましたが、明後日1月10日午前3時から再び完全閉鎖されます。
 午前4時から午後4時まで12時間だけですが、修復作業のためですが、去年の修復作業は突貫工事で、今新たに修繕し直さないと危険だということが分かったようです。リスクが会ってもクリスマスが終わってからにしようという意図が見えます。

 ロシア国防省は今日、ウクライナ東部ドネツク州クラマトルシクにあるウクライナ軍の建物2カ所をミサイルで攻撃し、ウクライナ軍600人以上を殺害したと発表しました。
 今回の攻撃について、ロシア国防省は先日の80人以上の死者を出したウクライナ軍によるドネツク州マキイウカのロシア軍の兵舎への攻撃に対する報復だとしています。
 このときウクライナ側は、ロシア軍兵士400人を殺害したとしていましたが、ロシア側は約90人だと否定していました。
 まあ、もう数の問題ではないんですけどね・・・。
 36時間のクリスマス停戦が終わった次の日にこれです。

 

2023年1月7日。ウクライナ侵攻から319日目

2023-01-07 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年1月9日。今日は正教のクリスマスです。
 気温はマイナス15度。

 ロシア大統領はクリスマス停戦を指示したのに、結局双方ともに攻撃を続けています。クリスマスは関係なし。
 ウクライナでは空襲警報が鳴ったそうです。
 ウクライナ東部ルガンスク州知事は6日、ロシアが一方的に設定した停戦期間中の3時間に、ロシア軍が同州を14回砲撃し、集落への突入も3回試みたと通信アプリに投稿しました。
 隣接するドネツク州でも、クリスマスイブにロシア側の砲撃があり、激戦地のバフムトと周辺で民間人2人が死亡しました。同州内の集合住宅や病院も被害を受けています。

 一方、ロシア国防省はウクライナ軍が砲撃を続けたと主張しています。
 セバストポリ市長は今日未明にウクライナ側からの無人機攻撃があり防空システムで迎撃したと通信アプリに投稿しました。
 クリスマス停戦を言い出したのはロシアで、ウクライナは同意していません。だからウクライナが攻撃をするのは当然ですよね。


 ロシア大統領は、モスクワ・クレムリンの大聖堂で行われたクリスマス礼拝に出席しました。公開された映像では、大統領がひとりで胸の前で十字を切る様子が映っていて、周りにほとんど人がいません。暗殺を恐れて人払いをしたのでしょうか。(クリぼっち・・・)

 ロシア正教のキリル総主教は、正教会が民主主義と自由というスローガンの下で、現在迫害されており、このような状況下で、ウクライナで正教を維持するためには犠牲を払わなければならないと確信しているとロシアの国営テレビのインタビューで答えました。
 さらにウクライナ人が西洋の価値観を受け入れれば、ウクライナは正教の聖地ではなくなるだろうとも強調しています。
 ウクライナの首都キーウは正教の聖地です。私の夫の祖母は歩いてキーウの教会まで行ったこともあるそうです。江戸時代のお伊勢参りみたいですね。


 ベラルーシ大統領はミンスクの聖エリザベータ修道院のクリスマス・ミサへ。
 そこで大統領は聖エリザベータ修道院が前年、寄付金などをロシア軍兵士のために集めたことを「正しい行いをしている。」と称賛しました。
 ロシアとベラルーシは兄弟なので、支持し続けていると主張、またウクライナとも兄弟であり、無視してはいけないと強調しました。
 昨年4万5000人のウクライナ避難民がベラルーシに入国しましたが、支援を行っていることを助け合っていることの証拠と話しています。
 多くのウクライナ人避難民がベラルーシの永住権を手にしました。
 ベラルーシ大統領は、助けを必要とするすべての人に手を差し伸べることが常に必要であると述べました。

 またベラルーシから出国したいわゆる反政権派のベラルーシ人に対しても、向かい合う時が来たと述べています。
 簡単にまとめると・・・ベラルーシの政治に反対して出国したベラルーシ人のうち、明らかに法律違反を犯した者はきちんと裁かれて、責任を追わなくてはいけない。しかし、出国した人の中には深く反省した人もいると大統領は信じている。(すでに有罪判決が出て、服役も終えた人はきっと反省しただろう。)その人達を放置したままでいるわけにはいかない。国として国民と向かい合いましょう。・・・ということです。
 慈悲深いですね。去年のイーベル平和賞受賞者の裁判が続いていますが、要するにベラルーシ大統領のスタンスとしては、厳しい判決が出る代わりに国民として深く悔改めよ、そうすれば、国は受け入れてあげるのです・・・という論理に基づいていると感じました。厳しい分、寛容の心も不快というこも言えるでしょう。
 もっとも、国外にいるベラルーシ野党のメンバーがこれを聞いてベラルーシにすぐ帰国するとは思えません。

2023年1月6日。ウクライナ侵攻から318日目

2023-01-06 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年1月6日。今日は正教のクリスマス・イブです。
 気温はマイナス11度に下がり、小雪がちらついています。

 今日の正午から36時間停戦するとロシア大統領が指示しました。であるにも関わらず、ウクライナ軍は、ロシア軍の駐留地と陣地に対して数回の砲撃を開始した、とロシア国防省の報道機関が報告しました。ウクライナ側は公式発表するでしょうか。

 ベラルーシ大統領が停戦中で安全と判断したのか、ベラルーシ領内のオブス・レスノフスキー訓練場に駐留しているロシア軍を訪問し、激励しました。Zマークのついたロシア軍車両も続々とベラルーシ側に集結しています。
 ベラルーシ大統領はベラルーシが開発した個別に兵士が携帯する救急セットをロシア軍で配りました。
「これはNATO軍が使っている救急セットより優れていると私の末っ子(三男)が太鼓判を押してくれた。」
と大統領は語りました。さらに末っ子がベラルーシ大学の生物学部の学生であり、ドクターの精神を持っているから、その子がNATO製よりベラルーシ製がいいと言ったから間違いないと説明しています。
 マスコミではあまり取りざたされていませんでしたが、去年の6月に大統領の三男が高校を卒業し(実際には高校に通学しておらず家で家庭教師についていたもよう)9月にはどこの大学に入学するのだろうと噂されていました。
 母親が医者なので、三男も医大に入学希望しているらしいと言われていたのですが、実際にはベラルーシ大学生物学部に入学しました。その前には生物学部のキャンパスで内装工事をしていたので、きっとここに入学するんだろうなあと知っている人は知っていたみたいです。
 私の娘の同級生で二人、ベラルーシ大学生物学部の学生がいるのですが、この人たちはもう4年生です。先日、話を聞いたら、
「私、大学で大統領の息子に会ったわ!」「私も見かけたわ!」「すっごく背が高い。すごく目立つ。」・・・だそうです。
 

 全豪オープンがウクライナ大使からの出場禁止要請を却下して、ロシア・ベラルーシ選手の受け入れを決定しました。 こんな感じでいつの間にか両国のスポーツ選手が国際試合に戻ってきそうですね。

 
 ニューズウイークが、5日に「ベラルーシが参戦か? 街の電光掲示板に恐怖のメッセージ」というびっくりするようなタイトルの記事を載せました。
 ベラルーシの地方都市ボリソフ市のバスターミナルの待合室の電光掲示板に、
「18歳から60歳までの全ての男性は、入隊事務所または地元の執行委員会で登録データを確認せよ」
というメッセージが流れたのを誰かがスマホで撮影した動画を他の人がツイッターに載せ、それをニューズウイークが記事にしています。
 この動画を見たときに、これ本当にボリソフ(ベラルーシ語表記だとバリサウ)のバスターミナルなのかはっきりしないなあと思いました。
 それでボリソフ出身の人に尋ねたら、たぶんこれはボリソフのバスターミナルで、この電光掲示板の呼びかけは去年の11月からあちこちで続いていること、さらにボリソフ以外の都市でも同じ掲示がされている・・・と大して驚いてもいませんでした。
 バスターミナルどころかボリソフ市内のバスの窓に同じ文言の紙が貼られていたこともあったそうです。
 ミンスクでは見たことないんですが・・・私が知らないだけかもしれません。
 ベラルーシ人からすると、これは動員のためではなく、ただ緊急時にどれぐらいの数の健康な成人男性が兵士として集められるかどうか試算のためのものだそうです。
 そもそもこんな呼びかけをしなくても、住民票を調べたら条件に合う男性の数なんかすぐ数えられえそうです。
 ニューズウイークはわざとセンセーショナルな題名をつけて、無駄に煽っているだけ・・・というのがベラルーシ人の感想でした。
 マスコミの言うことなんか話半分で聞いておいたほうがよさそうです。

 そして、これもニューズウイークなどの複数メディアの報道なのですが、ベラルーシのハッカーが、医療センターからベラルーシ大統領のPCR検査結果に関するデータを入手し、それによると、これまでロシア大統領と会談前にベラルーシが検査を受けていなかった可能性が高いと判明しました。
 またロシアへの訪問の際にはほぼ毎回三男を連れていたことも判明。その三男も検査を受けていなかったようです。

ベラルーシ人ジャーナリストによる壺井栄ロシア語訳作品集の感想

2023-01-05 |   壺井栄
 昨年、チロ基金が出版した壺井栄ロシア語訳作品集「二十四の瞳」の感想をベラルーシ人ジャーナリスト、エッラ・ドゥビンスカヤさんが寄せてくれました。
 オリジナル全文はベラルーシ人向けロシア語版ベラルーシの部屋ブログで公開しています。こちらです

 一部抜粋になりますが、日本語に訳しましたので、こちらのブログでご紹介します。

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 数十年にわたるベラルーシと日本の文化交流活動を続けて

 日本人の辰巳雅子さんは、ミンスクで27年暮らしています。ミンスク市ウルチエ地区のミンスク市立第5児童図書館日本文化情報センターの所長を務めています。同センターはミンスク市立中央児童図書館に移転しました。

 辰巳さんは、ボランティア団体チロ基金が行っている出版プロジェクトで、世代を問わずベラルーシ人に書籍が持つ遺産と読書の楽しみを紹介しています。 またベラルーシ語からヤンカ・クパーラヤクプ・コーラス、リホール・バラドゥーリンの作品を日本語に翻訳しました。2005年にはフランツィスク・スカルィナのシンボルのもと、音楽プロジェクト「月と日」を立ち上げ、日本人作詞家による歌詞がベラルーシ語に翻訳され、演奏されました。

お茶会、生け花展、日本語講座、子供向けの折り紙ワークショップ、ボロヴリャヌィ市にあるSOS子ども村での内部被曝検査とサプリメント支援、ベラルーシ共和国立小児外科センターへの内視鏡手術器具の購入と寄贈、これらのボランティア活動は全て、辰巳雅子さんとその家族、およびチロ基金の善意によって行われてきました。ここ数年、辰巳さんは日本の人気児童文学作家の本をベラルーシ語とロシア語に翻訳しています。2016年には新美南吉の作品集「ごんぎつね」のロシア語訳が出版され、さらに童話集「手袋を買いに」は、日本人の独創的な考え方や世界観をベラルーシ語で読者に伝えました。

2021年には新たな文学翻訳プロジェクト、壺井栄ロシア語訳作品集「二十四の瞳」が出版されました。収録された作品は懐かしい子ども時代と家族の世界、日本の伝統文化、日出ずる国の独自な自然と歴史が綴られています。日本とベラルーシを結ぶもう一つの新しい文化の架け橋となる本です。
岬の村に若い教師、大石久子が赴任してきます。 子どもたちは伝統的な着物を着ているだろうと想像していましたが、実際には洋服を着て高い教育を受けた若い教師が自転車に乗って颯爽とやって来ました。そしてすぐに生徒たちの人気を集めたので、偏見の目で見ていた村人たちも変わっていきます。若い小石先生が地平線に現れると、二十四の瞳がその姿を追いかけます。富士子、松江、小ツル、早苗、ミサ子、吉次...たちの瞳です。 
 
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 辰巳雅子さんに、ベラルーシ読者向けに出版された壺井栄の作品集についてお話を伺いました。

―作者の壺井栄は本当に日本で人気があるんですか?

「はい、とても有名です。 壺井栄は1899年8月5日、小豆島の坂手村で10人の子供を持つ樽職人、岩井藤吉の第5子として生まれました。 勉強がよくできたのですが、中学2年生までしか勉強を続けることができず、その後、父親の海運業を手伝って働いていました。16歳のとき郵便局長に書道の腕前を見せ、その筆跡の良さから郵便局に就職することができました。 その後、村役場で働いていた時期もあります。 26歳で詩人の壺井繁治と結婚し、東京に生活拠点を移しました。 1928年、短編小説を書き始め、文学コンクールに挑戦し、思いがけず賞を受賞しました。 壺井栄は遅咲きの作家ですが、38歳からは作家としての成功を収めてゆきました。壺井栄原作の映画が撮影され、ミュージカルが上演され、漫画化もされました。壺井栄は家族の物語、小豆島の美しさ、東京での生活について書き続けました。

―ロシア語訳作品集のロシア語訳を担当した人について教えてください。

「2007年以降、日本語文化愛好会メンバーが日本文化情報センター日本語教室で勉強しています。 まず当センターで日本語翻訳の実習を受けたミンスク言語学大学の学生3人が壺井栄のいくつかの短編を日本語からロシア語に翻訳しました。 その後、さらに日本語教室の生徒が22人加わり、計6作品を翻訳しました。 25人が本の翻訳に参加したことになります。
 『畳』はい草、『佃煮』は小魚の醤油煮、『豆腐』は豆乳から作ったチーズ、『着物』は伝統的な和服であるなど、ベラルーシ人の知らない日本語の単語や表現を用語集して巻末に加えました。 そして『先生』は教師に話しかけるときに使う呼び方です。」

―「二十四の瞳」の登場人物が学んでいた時代、日本にはどんな学校があったのでしょうか?

「20世紀初頭、日本には2種類の小学校がありました。 そのうちの一つでは、現代の日本の小学校のように6年間の義務教育で無償でした。 別のタイプの学校では、8年間教育で、うち6年は小学校で無償義務教育。その後2年間の中等教育が受けられました。これは有償で義務教育ではありませんでした。一般的な中学校の他、男子校と女子校があり、入学試験もありました。このような中等教育は5年間で、義務教育ではなく有償でした。 卒業証書があれば、高等教育機関への入学試験を受けることができます。」

―登場人物のモデルはいますか?

「登場人物の原型は、壺井栄の家族や親戚、親しい人々でした。 例えば、短編『まつりご』に出てくるおばあさんとお嫁さんは壺井栄の祖母と母がモデルとされています。壺井栄は子どもの心理と子沢山の家庭の人間関係をよく理解していました。 『まつりご』では、孤児のトシと仙吉が引き取られることがテーマになっています。壺井栄の両親が実際に孤児を養子にしていたことから、実話が作品の下敷きになっていると言えるでしょう。 また登場人物の多くは作品中で、子どもを育てるには心に無限の愛が必要だということを体現するように書かれています。」

―壺井栄の作家像とは。

「壺井栄は、家族愛、貧しい人々への優しさと同情、戦争への憎しみについて書きました。 彼女は文学が持つ言葉の力を信じ、それを通して自分の考えを表しました。自然や花、海の美しさ、夜に船から見る山上のともしびなどの描写が作品世界を彩っています。」

―壺井栄の作品は日本で映画化されたことがありますか?

「1954年、木下惠介監督が『二十四の瞳』を映画化しました。 この映画は大成功し、第12回ゴールデングローブ賞を受賞しました。 映画の大ヒットによって、原作がベストセラーとなり、多くの観光客が小豆島を訪れるようになりました。」

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 日本文化情報センターは、1999年にチロ基金創立者碓井博男氏をはじめとする日本人の支援により設立されました。
 そして「二十四の瞳」はすでにベラルーシ国立図書館に届き、蔵書の一冊となっています。 女性の読者にぜひ一読することをお勧めします。

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