日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「『安全』…夜遅く、会社帰りの女の人が歩いている…」

2013-04-19 08:22:39 | 日本語の授業
 五時頃にはまだ降っていなかったのに、5時半ごろふと外を見ると、バルコニーがすっかり雨に濡れていました。けれども直ぐに上がったようで、6時頃には、早朝のジョギングや散歩をしている人の姿もチラホラ見えていました。適度のお湿りですね。

 この数日ずっと暖かい日が続いていましたから(夏日になるのではないか、いや、実際にはなっていたのかもしれませんが)、今朝のように、ちょっと涼しくて、しかも湿度があるというのは、儲けもののような気がします。窓を開ければ、フンワリと纏い付くように雨の匂いがしてきますし。こういう、雨の感覚はこの季節だけのものなのかもしれません。のんびりとしたくなるのも、わかるような気がしてきます。

 とはいえ、喜んでばかりはいられません。昼過ぎからドンドン気温が下がりはじめ、夜には10度を切るというのですから。明日の朝はさぞかし冷えることでしょう。暖かい日が続いただけに、余計に寒さが応えることでしょう。…心の準備だけはしておかねば。

 さて、学校です。
 昨日、「安全」について、学生達と少し話をしました。彼らは、日本に来て早い者で一年、遅い者でも後二、三ヶ月ほどで、一年になるという学生達です。彼らはいつの間にか、女性が真夜中に一人で歩いていても、彼ら自身、アルバイト先から夜中の12時頃に自転車を飛ばして帰っていても、少しも不思議なこととは感じなくなっています。

 「では、みんなの国では?」と問いかけて初めて、「違います」という答えが返ってくるのです。「危ない、危ない」と、口々に言い始めます。

 日本人も、初めて国外に出た時に、この「『安全』というのが如何に得難いものであるか」に気づくのですが。日本にいる時には、「安全で当然。何かあったら、それこそ問題」と笑っていたのに、一歩国を出ると、「暗くなったら、女性どころか男性も一人で街を歩かない」が常識であることに嫌でも気づかされてしまいます。

 勿論、暗くならないうちに家路につけるのが一番なのですが、仕事で遅くなっても、電車に乗り、そして、駅からバスなり、歩いたりして、まるで当たり前のことのように、うちに帰るというのが、どこの国でもできるかと言うと、そんなものでもないのです。

 とはいえ、すっかり日本人化してしまっている学生達。こんな状態では、国に帰ってもやっていけるのでしょうか。

 そういえば、以前、こんな学生達がいました。主に女子学生なのですが。
「日本は安全。とてもいい」と言いながら、夜、アルバイトが終わってからジョギングを楽しんでいたインド人女子学生。

「国に帰ったら、本当に不自由。女の子は、一人で出歩いてはいけないと言われた。親や兄弟、親類の車に乗らないと外に出してもらえなかった」と、帰国後の不自由をかこっていたスリランカの女子学生。

「国に帰ったら、日が落ちてからが、とても怖くなった。雰囲気が日本とは違う。日本にいる時には、そんなこと感じたこともなかったのに」と言っていたペルーの女子学生。

 彼らだけではないのでしょうが。

 もっとも、私たち日本人も、私たちなりに、「安全」を考えています。日本社会の「安全ではない部分」を補いながら生活しているのです。これはなにも、日本だから「安全である」というわけでもなく、「安全さ」も、不断の努力あってのことなのです。

 ただ私たちが感じる「安全」と、外国の人が感じる「安全」とには、大きな差があって、私たちにとっては、「常識」であっても、彼らにとっては、事々しく、「安全」の範疇に入るようなことが少なくないようなのです。

 それが、日本に、一年居、二年居、三年居してくると、私たち日本人と同じような感覚になってしまうから、面白いですね。

日々是好日

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