日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「『渇水』で、『停電』を連想するベトナム人学生」。

2013-06-13 09:57:13 | 日本語の授業
 シトシトと、雨が途切れることなく降り続いています。台風は既に夜間に熱帯低気圧に変わったそうで、「今日、明日はもしかしたら大雨になって、ダイヤ(電車)が乱れるかもしれない」などと言っていたのが嘘のようです。 

 ここ(学校)にいて、静かにそぼ降る雨の音を聴いていますと、この雨の音に相応しいのは、うたた寝の姿ではなかろうかなどと思われてきます。そう、こういう日は皆、眠くなるのですよね。アルバイトで草臥れていても、ちゃんと学校に来ている学生達が、雨音を聞いているうちに、だんだん、頭(こうべ)が垂れてくるのも…わかります。 

 ところで、この「台風3号」が、まだ遙か彼方の海上にあった時のことです。「日照り」が「Aクラス」で、話題になった時、ベトナム人学生が、一様に、「停電」、「停電」と言い始めたのです。「(雨が降らなくて)……停電??」と、キョトンとしていますと、「ベトナムでは雨が降らないと、停電になります」。日本では、(ダムのある山間部に)雨が降らなくて、取水制限が取り沙汰されることはありますが…、そうか、ベトナム人は、「日照り」で「停電」を連想するのかァ…。 

 「日照り」一つでも、それから連想されるのが、彼我の間では違うのです。特に、講義や単純作業だけではなく、相手から何事かを導き出さねばならぬ「会話」の授業では、大変なことであると、思わず、考え込んでしまいました。勿論、外国人を相手にしての授業にも年ふっていれば、(そういうことが重なりますので)知っていることは、他の方よりも、少しはあるのですが。

 とは言いましても、毎年のように、ハッとさせられることが、幾度もあります。中国一つを例にとっても、国が大きければ、地方毎に違うということもありますし、政治体制が異なっていれば、一つ一つのことに対する連想も違ってきます。

 学校などであれば、その国からの学生が一人や二人だけであれば、目立たないことも、10人を超して来るようになりますと、彼らの「連想」を無視して授業を進めていくことはできなくなってきます。それよりずっと小さい国から来ているベトナム人学生であっても、(北部ベトナムから来ている人に)彼らの国の南部地方のことを聞いても、南の人とは文化も考え方も違うと言うくらいですし。

 それが、この学校では(小さいにもかかわらず)、多い時で15カ国ほど、少ない今でも9カ国からの留学生がいるのですから、文化や生活習慣での話を、少しでも、し始めると、途端に、あっという間に話が弾んで、時には話がどこかへ飛んで行ってしまうことさえあります。

 「私の国は違う」、あるいは「あなたの国でもそうなのか」というのが、彼らの話の進め方。それで話は、ドンドン、ドンドンと進んでいくのです。同じクラスに、たいてい、4カ国か5カ国、あるいは6カ国くらいの学生が同居しているのですから、話題は尽きません。特に、『初級』の間は言いたくても、「(日本語ができないので)話せない、話せない、話したいのに話せない」で、我慢していた分、中級くらいからは、(それが)ドドッと出てくるのでしょう。それはもう、「(自分の国に関することを)しゃべれるものなら、何でもしゃべりたい」になってくるようです。

 その上、国を出てから半年ほども経っていますと、「故郷恋し」が堰によって溜められていますから、故郷に関することなら何でもかんでも出したくなっているのです。

 これも、「日本にいたい」というのと、「国が恋しい」というのとは別物のようで、(1年ほども日本で頑張れた学生は)皆、「まだ、日本にいたい」と言います。

 「来たばかりのころは帰りたくてたまらなかった。けれども、今では(ここの生活が)楽しくなった」という学生もいれば、「(この学校にいる間に日本に関する知識も増したのでしょう)日本語を勉強している間はどこへも行けなかったけれども、(この学校では、課外活動で、毎年、4月には『千鳥ヶ淵』で花見、6月には『横浜』か『鎌倉』、8月には『富士山』か『日光』、11月には『明治神宮外苑』と『六義園』か『小石川公園』、12月には『ディズニーランド」か「ディズニーシー」へ連れて行っています。その他にも、一ヶ月か二ヶ月毎に、「東京」の庭園や博物館、動物園や水族館、神社や寺、それにコンピューターをやりたいという学生が多かった時には「メディア祭」にも行ったことがあるのですが)大学に入ったら、沖縄や北海道、京都へも行きたい」という学生もいます。

 結局、自分の国から離れて、(旅行ではなく)留学を選んだ若い人達は、その地での楽しみ方を見つけなければ続かないのです。大学や大学院へ行った学生も、そして専門学校へ行った学生も、皆そうでした。そうでなかったら、「日本と合わなかった」で、帰るしかないのですから。

 また日本人にとっても、これはいいことで、この日本を大切に思い、いいと言ってくれる人なら、誰がいてもいいのです。これはまた、どの国であっても同じでしょうけれども。

日々是好日

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