日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「どんよりとした眠気に襲われる…」。

2014-03-06 08:55:10 | 日本語の授業
 晴れ。

 昨日の雨が嘘のように、晴れ渡っています。雲一つないとはこのような日のこと。寒気団を運んできた、強い北北西の風が、追い散らしてしまったのでしょう、昨日の雨雲を。

 しかしながら、風は冷たくとも、やはり、春が近づいているのは感じられます。学校の「ジンチョウゲ(沈丁花)」、この小さな花の塊の、その塊の蕾の一つが、かすかに綻んでいるのを見つけましたから。ほんの「チョビット」ですけれども。

 けれども、一つが綻び始めたら、すぐに「花笑み」になるのかもしれません。「春は遅々として進まず」なんて言われていても、気がついたら、あっという間に「桜吹雪」が始まっていた…なんてこともありましたから。

 さて、学校です。

 いつもは、だいたい皆、元気に勉強をしているのですが(数人は眠そうでも)、時々、本当に稀なことなのですが、クラスのほぼ全員が、どんよりとした重い空気、「眠気」の勝った空気に、包まれていることがあるのです。

 昨日、「一月生」のクラスが、ちょうどそんな感じでした。教壇に立って授業を始めるなり、「んっ」となったのです。テンポよく流れていけませんもの。ちょうど重い鎖をひきずっているような感じでした。

 こういう時、私も、最初は、テンポよく授業を進めていくことに重点を置くより、「この空気を変えねば」という気持ちになって、大きい声を出せるような例文を作ったり、眠気を覚まさせるような話や動作などをしたりするのです。が、昨日は、それでも、20分ほどかかりました。

 その時のこと、どうも、一人のベトナム人学生(彼は日頃、教科書を見ながら、よくリピートしています)が、「動詞のて形」と「てはいけない」とが、うまく連結していないことに気がつきました。他の音が入ってしまうのです。

 実は、ベトナム人学生は、他の国から来ている学生達に比べ、ヒアリングが劣っている場合が多いのです。彼も、そういうところが少しあるように感じられましたので、気をつけていたのですが。

 昨日も、「動詞」プラス「てはいけない」を私が言って、すぐにリピートさせても、やはり必ず他の音(「で」を二回言ったりする)が入るのです。もちろん、繰り返しているうちに、言えるようにはなったのですが、それも、もしかしたら、他のベトナム人学生が、手助けして出した「音」が聞こえたので、言えただけのことなのかもしれません。日頃のも、音がうまく聞き取れないので、それでいつも教科書から目を放すことが出来なかったのかもしれません。これも、慣れるまで、何日か繰り返していくしかないのでしょうが、少々気の毒です。

 とはいえ、これは彼だけのことではなく、去年の「7月生」クラスでも、フィリピン人学生が、これに苦労していました(「今でも」、ですから「苦労しています」なのですが)。彼等の場合は、かなり話せるようになっていますから、「私達は、『この音』と『この音』が出ない」と訴えることができます。ただ、難儀なことに、もう「N3文法」の方に入っていますので、動詞の繋がりが「初級」のように単純ではないのです。それで舌を噛みそうになり、その都度、私に訴えるので、私の方でも、その都度「練習するしかない」と答えているのですが。

 実は、私も中国語を勉強していたときに、出ない音がかなりあり、勉強している間は、毎朝、いわゆる「b、,p」「j、q」「zh、ch」「eng、ong、ang」を繰り返すことを日課にしていました。

 日本語の場合は、「置いといてくれなきゃ」などと、「置く」「ておく」「くれる」「なければ」「いけない」が、「並べ替え」でなく、姿を変えて続いていくわけですから、そりゃあ、舌も噛みそうになるでしょうし、恨み言も言いたくなるでしょう。

 けれども、文句を言っても無駄。口頭での、いわゆる「言う」練習を繰り返すしかないのです。慣れてくれば、言えるものです。一度や二度やったくらいで、スラスラと言えるようになるはずとは、考える方が愚かです。特別な人たちを除いて、そんなことなんてありっこありませんから。

 『初級』の場合は、学校で嫌になるくらい繰り返します。ですから、うちでそれほど勉強しなくとも、「非漢字圏」の人たちは、知らぬ間に言えるようになっているのです。が、『初級』が終わると、それに伴って、単語だけでなく、文法事項も増えてきますから、『初級』の頃のように、学校で丸抱え(前日に予習めいたことをし、必要事項の復習は、大半が覚えるまで、毎日のように繰り返す)は出来なくなるのです。

 つまり、ある程度は、家でも勉強しなければならなくなるのです。また、それが出来る人たちが、『中級』に進め、そして、もっと出来る人たちが『上級』に進めるのでしょう。

 ただ、その、「家で勉強する」という習慣が、母国で全くついていない人が多いのです。…これが困る。

 アルバイトで忙しくて、「時間がない」という人でも、母国で、きちんと家でやる習慣さえついていれば、学校から戻ったり、アルバイトから帰ったりした時に、机について、復習しようという気になることはあるでしょう。それが、たとえ、10分でも20分でも、いいのですが(それがないので、そのままなのです)。それさえ、毎日出来ていれば、ここは日本ですから、かなりどうにかなる部分はあるのです。本当に、この積み重ねは大きいのです。

 見ていると、「N3文法」のクラスの学生でも、それが出来ていない人が数人いるようです。しようがないので、学校でも20分ほどを使って、復習はするようにしているのですが、「ああ(ああ、そうだっった)」が、毎日、決まった人から出てくると(もちろん、ここまで行っていない人も数人います。だれにでも、それなりに、言語を学ぶ上で、壁があるようです)、私から見れば、これは、『中級』で終わりかなという気にもなって来るのですが。

日々是好日
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