日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「ベトナムでの『ハノイフェア』」。

2013-05-28 09:46:24 | 日本語の授業
 曇り。日本の気候の涼しさに緊張も解けたようです…で、急に疲れが出てきました。

 5月24日の夕方の便で、ハノイへ行ってきました。翌日は、7月生(既に出してあります。30日に結果がわかります)と10月生(志願者)とに会い、それから、学生(ベトナム人学生を日本から一人連れて行ったのです)に連れられて、彼が通っていた大学や彼が行っていたという本屋(古本屋へよく行き、新刊書を扱う本屋へはあまり行かないそうです)へ行き、市場を見(ここは入口で退散しました。かつての中国のようでした)、喫茶店へ行き、コーヒーを飲み…で、1日は終わりました。

 帰りはスコールに歓迎されましたけれども。あっという間に黒雲が広がり、雨が街を叩き付けるように降ってきたのです。皆、慣れているのですね、少しも動じません。オートバイに乗っている人は、やおら、レインコートを取り出し、身に付け、平然と水しぶきを上げながら走って行きます。…こんな雨の中でも走れるんだ…。

 そして26日がメインの「ベトナムフェア」。私たちはホーチミンの方へは行かず、ハノイだけにしたのですが、ハノイだけにしたのは、正解でした(フェアはホーチミンとハノイの2箇所で行われました)。何でも、ホーチミンへ行き、それから一緒に、ハノイへ来た人の話によると…「疲れた、参った。ハノイの暑さなんて何でもない。向こうはもっと暑かった…」らしく、ハノイの暑さに、辟易していた私たちは驚き、同時に、ホッと胸をなで下ろし…よかった…。

 ハノイの会場は、誰でもフラリと立ち寄れるような場所にありました。各ブースには、机が二つ、椅子が六つほど準備されてありました。それぞれが、その三面に、趣向を凝らした絵やら写真やらを貼っていくのです。私たちも到着すると直ぐに、写真貼りです。ここは学生が大活躍。

 大きいのから貼り、そして小さいのへと移ります。学校行事と授業風景に分けて貼っていくわけですが、「そこは階段のように段をつけて貼っていった方がいい」とか、「こっちへは、これは、貼らない方がいい」とか、「見に来る人は学費などを見たいのだから、貼っておいた方がいい」とか、学生がいろいろと案を出してくれます。

 そのうちに、人がドンドン入ってきます。写真に目を留め、足を止めた人に、椅子を勧め話を聞いてもらいます。(学生も)最初は通訳の形で入ってもらっていたのですが、何度かしているうちにコツを掴んだらしく、自分から話していき、必要だった時だけ、私たちに聞くような形になっていきます。それはそうですね。入ってきた人はまだ大学生であったり、卒業後一年目であったりしているわけですから、日本語はあまり話せません。直接、今、日本で学んでいる人から、ベトナム語で話を聞けたほうがいいでしょう。

 来てくれた人の中には、前日、偶然本屋で話しかけられた人もいました。実は、古本屋ではなく、普通の本屋へ行きたいと私たちが行った時、彼が連れて行ってくれた本屋で会ったのです。この、「普通の本屋」というのは、ある大学の出口に陣取っているものでした。そこで、ベトナム語の「N2」と「N1」に対応した文法書とベトナム語の世界地図を捜していた時、「それなら、この本がいい」と教えてくれたのが、この人だったのです。

 いろいろ話しているうちに、彼の妹さんが日本への留学を考えていることがわかり、フェアがあることを話しますと、…知らなかった…。彼のように日系企業で働き、独学で日本語を学んでいる人には、こういう情報は伝わりにくかったのかもしれません。それで(夫婦で)来てくれたのですが、主導権を握っていたのは、奥さんの方。で、結局彼をほったらかしにして、彼の妹さんのことを、二人で、話しました。

 彼女の話では、「今年の8月頃から、派遣で(夫婦で)日本へ行き、仕事をすることになっている。自分達が日本へ行くから、それなら、日本へ行きたいという妹も連れて行こう」となったのだそうです。ただ、日本で準備されている住所が埼玉県という話なので、埼玉から通うのは大変だということ、それから、もう10月生はむずかしいから、一月生として出した方がいいということなどを伝えておきました。

 会場に来ていた人の感じでは女性の方が積極的だし、目的意識がはっきりしているようでした。男性は、自分が留学したいという人よりも、仲介企業として話を聞きたいと言う人が多く、ちょっと(この学校の方針とは)合わないなという人も少なくありませんでした。

 日本へ留学したいから、フェアへ来たという女性は、だいたいしっかりしていました。そういう女性はまず、大卒か、大学生でしたから、当然なのかもしれませんが。

「1年コースはないのか」。
「1年で帰ろうと、2年いようと、それは自由である。ビザの問題だけである」。

こういう人の目的は「大学院でさらに研究を深めたい」ということなのですから、彼らの目的に合わせた方法を私たちも考えます。ただビザの問題がありますから、この学校で勉強すると言って、もらっている間は、きちんと学校へ来て勉強してもらいたいということなのです。

「大学院へ行きたい。どうしたらいいか」
「既に、『N2』をとっているのであれば、この学校で『N1』を目標にして学びながら、同時に大学院の先生と連絡し(実際に会いに行った方がいいのです。大学院では担当教官を選ぶということが何よりも大切なことですから)、自分に合った先生を、自分で(多分、向こうは向こうで選びますから)捜したほうがいいだろう」

 勿論、これは東京の大学院を目指しているならばの話です。なぜなら、ここ、行徳(この学校があるところ)は、東京駅まで地下鉄で30分ほどで行ける所にあり、東京の大学へ行ってみるにはとても便利なのです。地下鉄の近くであれば(本数が多いので)、先生と連絡をして、その時間に行くのも便利、運賃も安くして行けます。しかも都心であれば物価が高いのですが、ここはそれほど高くはない。つまり住みやすいのです。地方の日本語学校から、東京にある大学院を目指すとしたら、交通費だけでもたいそうかかります。以前、東京の大学院を目指したいと、地方の日本語学校を1年でやめにして来た学生がいましたが、やはり最初から教えていないとむずかしかったのです。

 私たちの学校では、それぞれの学生にあわせた指導を心がけています。この学校に来た時からが勝負なのです。他の学校から来ると、当然知っていなければならなかったことがわかっていなかったりして、互いに意思の疎通をはかるのがむずかしいと感じさせられることが少なくないのです。もちろん、毎日来てきちんと勉強していなければ、どこにいても同じだと思いますが。

 「京都か奈良で、大学院へ進みたい」
「それなら、ここには奈良や京都の大学も来ているから、そちらへも行って、詳しいことを聞いたほうがいい。直接、大学の方と連絡をつけてみるのも一つの方法だが、1年ほど京都か奈良にある日本語学校で学びながら、落ち着いて捜してみるのも方法だろう。その方が自分に合った専門や先生と出会える確率が高いだろうから」

 意義深い「ハノイフェア」でした。

日々是好日
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