日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

卒業生が報告に来てくれました。というか、大変だったようですねえ。

2016-07-19 11:51:03 | 日本語学校
晴れ。

九州や東海地方では梅雨が明けたようですが、ここ関東地方はまだ梅雨明け宣言が出されていません。でも、カンカン照りです。朝のうちは曇り(予報では)…のはずなのに、カンカン照りなのです。「セミ(蝉)」の声もミ~ンミ~ンと喧しい。「セミ」の声を聞くと、虫取り網を抱えた子供たちの姿が目に浮かびます。これは、もう夏休みです…。ああ、暑い。

さて、先週の金曜日、卒業生がやって来ました。1、2週間前にも連絡があったそうですが、そのときは、折悪しく、(私の方で)用事があり、気を利かした教員がその旨を伝えますと、では、またの日に…ということになっていたらしい。

で、今回は不意にやって来ました。…で、私はうっかりと別の用事を忘れて、彼に付き合ってしまいました…。

彼は簡単に「報告しますね」と言いながら…だったのですが、彼が話してくれた、(卒業後の)ここ数ヶ月のことは、そんな一言ですむようなことではありませんでした。

ニコニコ笑いながら、やりたいこと(勉強したいこと)だったから、頑張れた…そうでなかったら、(こんなに辛いこと)頑張れなかったと思う…。

一時は本当にあきらめようと思ったくらい大変だったらしい。(彼は)日常会話には別に困らぬし、合格はまだでも「(日本語能力試験の『N2』」レベルの力は十分にある。けれども、それで、理工系の大学で日本人と伍してやっていけるかというと…そういうものではない…。確かにそうですよね。それはわかる。

「最初は一生懸命聞いていても、ふっと眠ってしまうんです。みんな(日本人です)と違って私は一つ一つ聞いたものを、英語に訳して、それからあるものは母語に訳して、聞いていますから。作業が大変で(それと気づかぬうちに)疲れてしまうのです…。」

「アルバイトは週に一回か二回にしました。予習だけで2時間ほどもかかってしまうのです」

「いくら予習しても、聞いたときにはその言葉がストレートに入っていかない。で、わからない。国で物理を習っていても、そのときのやり方と同じではないから、また大変です」

「国では物理の式にそのまま入れて答えを出せばよかった。けれども、日本ではその前に、微分の式でその式を導き、それから答えを出すというやり方をしなければならないと言われました。その微分の式を解いていくためには、その都度、日本語で説明を加えていかなければなりません。このときに日本語を間違えてしまうのです。答えははっきり(物理の式に放り込めば)出ているのに、その途中段階で躓いてしまって、いい点が取れないのです」

「元素記号でもそう。元素は見ればわかります。でも呼び方が違うのです。『N』を『窒素』と先生は授業の時、言います。だから化学式も大変です。『塩化ナトリウム』と言われても、何のことかわかりません。『Nacl』と、見ればすぐにわかるのに…」
あまりに辛いときには、オーストラリアに留学した方が楽だったとか、今からでも遅くない。向こうに行ってやり直そうかとか、いろいろ考えたそうです。けれども、ここまで頑張ったのだ。自分にはもうこの道しかないと思って、やっとここまで頑張れた…のだそうです。

試験が再来週(来週になっているでしょう)あるとか。とにかく落とさないようにしたいとだけ言っていました。「本当に、落としたくないのです。今はいい点を取ろうとか、そんなことは何も考えていません。ただ落としたくないだけです」

ニコニコと笑いながら、というより、やっと笑えるようになったと言うところなのでしょう。
 
聞くと、仲良しの日本人の友達が、もう三人もできて、クラスは違うけれども、いつも一緒に学食で昼ご飯を食べているのだとか。早く終わった者が席を確保しておくのだと言います。

一年生の今期(前期)は取らなければならない単位も多くて大変だけれども、来期は少し楽になりそうだとも言っていました。クラブにも入りたい。そして先輩と知り合って、話を聞きたい。大学でどう過ごしたらいいのか、どういうことができるのかなどを聞きたいとも言っていました。

この学校にいたときには、細くって、風が吹けばヒョロヒョロと、どこかへ飛んでいってしまいそうな、そんな感じがしていたのですが、心身共に一回り大きくなったような印象を受けました。

大学に合格してから、学費のために、アルバイトに追われ (この学校にいた)最後の数ヶ月は、それほど日本語の学習に集中できなかった彼。学校にいるときに「N2」に合格できていれば、よかったと思っているでしょうね。

でも、終わったことは終わったこと。今は前進あるのみ。それを一番感じているのも彼なのでしょう。

日々是好日
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