日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

クラス毎に授業のやり方、味付けを変えているのですが、「Dクラス」でも、だいたい決まってきました。

2024-07-30 08:18:23 | 日本語学校

晴れ。

暑さでグタッとなっている私たちをよそ目に、学生達は元気です。…若いなあ。

学校に来て楽しくなければ、だれも来ようなどとは思わないでしょう。私だってそうです。友達あり。友達がいれば、おしゃべりは進みますし、教員がいれば、少なくとも一つ二つは学べることがある。学べることがあれば、昨日より少しでも進歩したことになる。それが積み重なれば、日本での生活の中で、いつか「おやっ。私って上手じゃん」ということにも繋がる。これは試験とは関係ないと言ってもいいでしょう。「試験用」の日本語ができるというのと、「生活」で使える日本語ができるというのとは、どうも別物のようですから。

しかしながら、この暑さにもバテない、この活力は一体どこから来るのでしょうね。少なくとも、だれも「ここに自分はいてもいいのか」とか、あるいは、「なぜ、自分はここにいるんだろう」などとは考えていないようです。一度、考え出したら、戻るのは難しい。できれば、この学校にいる間は考えさせたくないことです。「(学校へ)来たね、さあ、勉強しよう」で、迷わせないようにするのが一番です。

昨日は、集中的に「Dクラス」に活を入れました。日本での授業が始まってから、まだ一ヶ月とは経っていませんから、判らないであろうことを判った上で、どんどん話していきます。もちろん、簡単な言葉を使いますし、どうしても判らせたいところでは、「初級の教科書」の単語を調べさせながらですが。

授業前、15分ほどから一人、二人と学生達がやってきます。来ている学生、一人一人に、「国で、日本語をどこまでやったか」を確認していきます。スリランカ勢は二人ほど怪しいですね。座っていただけでしょう。注意しなければならないのは、ネパール勢。ここ数回教えた感じで言うと二人は信じられる。一人は「17課」まで、もう一人は「20課」だったかな。今、まだ五課くらいのものだから、きちんと言えている。…他のネパール勢は信じられない…これも座ってた組でしょう。

で、他の人に「座っていただけだろう。君は『ひらがな』も読めない。単語はどこまで覚えている」などと、日本語がわかる相手には決して遣えないような言葉も遣っていきます。なぜなら、遠慮がちな日本語では何も通じないからです。まだ判らないだろうし…と遠慮して言わないでいれば、その方が罪作り。鉄は熱いうちに打ては本当です。

一人一人、しっかりと目を見て聞いていきます。大変ですね…向こうが。ただこの締め上げは聞きました。授業中(90分)はもちましたもの。

一人一人に聞いていけば、意味はわからなくとも、雰囲気は伝わります。「向こうで△△が責められている、こっちでも○○が責められている。次は自分か」みたいな感じで。他の学生が通訳に走らなくとも、こういうことは(ネパール勢)にも一人一人確認していきましたから、数をこなしていけば、判るものです。

ネパール勢では、二人以外は、腑に落ちませんでした。できる風でいても、できないわけですから、ごまかしてどうにかなるはずもなく、それが判らなければ、ここにいる一年九ヶ月をごまかしで過ごしていくことになります。前に、「まだ、『3課』だぜ。それがどうして言えない」と、言ったことがありましたから、その繰り返しで、「ああ、あれだな」くらいの勘は働いていたようです。

それと、「この学校を卒業してから何を学びたいか」も聞いておきました(全員ではありません)。その実現には、「日本語のレベル」が関係しているということも言っておきます。

こういうのは、全員が、言ったときに判ったという必要はないのです。こちらも何度も繰り返しますから。最初のころは、やや頻繁に(言い方を変え、中身も脚色を加え)言い、だいたい三分の二ほどに浸透したなと思った頃に、そういう話は止めにします。お互いに飽きるのです。言う方も飽きるし、聞く方も(判りますから)諄いと思う。それに、『みんなの日本語(Ⅰ)』が終わる頃には、具体的な話に変えていかねばなりませんから。

で、「Dクラス」です。

現在、皆と卒業(再来年)を共にする「Cクラス」では、今、『みんなの日本語(Ⅱ)』の35課に入っているし、可能性のある学生には、「Cクラス(多分、休み前に『N5漢字』は終わるでしょう」の漢字勉強とは別に、(三人ほどは余力があり、頑張れそうなので)、「N4漢字」も朝、30分ほど早く来させて教えているということ(中国人学生は別待遇です。先に漢字の本を渡し、どんどん先にやらせていっています。今は「N3漢字」です)それに比べれば、皆は、「ひらがな・カタカナ」に時間を取られて、何もできないでいる。そういうことを、壁に貼ってある、「N5漢字」「N4漢字」一覧を見せながらですが、話していきます。

こういう話は「Cクラス」では、もう無駄です。判る人には耳タコでしょうし、通じない人には「またか」ですから。

しかし、この「Dクラス」では、そういう話をしたことがありませんでしたから(入学式の時に、通訳を入れて話はしてあります)、多少は響いたようで、一人30分で集中が切れる学生がいるのですが、彼以外は、まあ、みなずっとこちらから目が離れませんでした。

やれば、できるじゃん。まだ「6課」ですから。それでも、一回目は揃いません。では、文を区切って言わせていきます。で二回目、三回目、できなければ、四回と繰り返していきます。最後には、「本を見ないで」…まあ、それでも言えない人はいましたが、声がかなり揃っていました。声の大きさもいつもとは違います。目をつけていた学生を睨め回すように見てやると、しっかりとこちらを見ていましたし。

できると思い、3回言うのに飽きている学生には、個別で「言って見ろ」と言わせてやります。言えないことが判らねば…判ってもだめというのは、もう少し後で判断していきます。

こういうことをやってやるのは、おそらく二ヶ月ほどでしょうか。どこまでやれるか、頑張れるかという相手の了見が判った時点で止めます。子供ではないのですから、それ以後は、やる人はやりますし、無理な人はそれなりの勉強の仕方でやらせていくしかありません。

ただ、うれしいことに、今の「A・Bクラス」にせよ、学校は楽しいようですね。もちろん、一番は学べることでしょう。上手になっていくのが判れば、それはそれで楽しい。それから友達でしょうね。教室内でのやりとりも面白いらしい。

同じクラスであってかなりレベルが違っていても(同じ学年は二クラスしかないので)、誰も相手を貶める人はいません。それなりの、自分の立ち「位置」があるからでしょう。毎日学校に来ていれば、互いに判ることも増えてきます。一年以上共にいるわけなのですから、時々、こちらの知らない話なども出てきます。それも面白い。早速、導入の終わった「文型」などに使ってやれば、理解も深まるでしょうし、今度は自分も使ってやろうという気にもなるでしょう。

日々是好日

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