日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「マンション工事の現場から」。「『普段通りの生活を続ける』ことの大切さ」。

2011-03-17 08:27:24 | 日本語の授業
 今日も快晴です。

 遠くの煙突から、煙も立ち上ってはいません。学校の三階から、スカイツリーが見えます。いいお天気です。ただ、これも、お向かいに七階建てのマンションができれば見えなくなるのでしょうけれども。

 「東北関東大地震」に続く「大津波」で、ここずっと慌ただしい日々が続いていました。みんながやって来るまでの、朝のこの時間だけが、ある意味では、学校で自分を取り戻せる時なのです。

 とはいえ、今日も、お向かいの工事は始まっています。朝七時には、いつも、現場の前の道は、作業をする人達の車で一杯になっています。大体、朝礼は八時頃でしょうか、しかしながら、その前に、皆で手分けして、夜のうちに(皆が帰ってから)現場に何か起こっていないかを調べて回っています。

 液状化現象などが起こらないように地固めをし、水を抜き、下の固い岩盤まで深く杭を差し込みなどという作業は、彼らの前の前の会社でしょうか、やっていたのは。そのときは学校も大揺れに揺れ、何事かと驚いた時もあったものでしたが、今となってみれば、あれほどの基礎工事をせぬ限りは、住民が安心して暮らしていけぬのだと納得ができます。もっとも、「今日はテストの日。ヒアリングもありますから、静かにしていてください」と、院長が言いにいく度に、ごっついおじさんたちが「はい、はい」と言いながら、静かにしてくれていましたっけ。

 今、日本語を勉強しに通ってきているタイ人女性のご主人は、消防士の方だそうで、地震後はいつ帰って来るか分からないという状態が続いているのだそうです。「もちろん、心配だよ。でも、頑張っているからね。私も頑張るよ」と先日言っていましたっけ。ご主人の仕事を誇りに思っているのが、よく分かりました。

 学校の近くにも消防署があり、時々その周りを猛スピードで走っていたり、ビルの屋上で訓練をしている姿などを見かけることがあります。見ているだけで、大変な仕事なのだということがわかります。ああいう訓練を常時続けていないと、まさかの時に役に立たないのでしょう。いえ、役に立たないどころか、命にもかかわってくるのでしょう。

 見ているだけで、頭が下がります。こういう方たちに守られて、私たちの日常はあるのですから。が、最近は若い人達が、こういう職業を希望しなくなったので、自分の夫のような年寄りまでが頑張らなければならないのだとも言っていました。

 といっても、(私はお会いしたことがあるのですが)、がっしりした体型で、一瞬強面かなと思われたのですが、奥さんとのやりとりを聞いているうちに、思わずにやりとしてしまいました。主導権は完全にあっちにありました。けれども、まだまだ頑張ってもらわなくてはなりません。

 今日は寒く、被災地の辺りでは雪が降っているようです。風も強く、(お向かいの)現場を囲っている重い金属製の板が、軋みながら、大きく揺れています。

 今、何よりの(被災地への)支援は、日本国内どこであろうと、普通の生活を続けていくということなのかもしれません。地震や津波が起こる前の生活をいつも通り保持していくことなのでしょう。食べ物も「なくなったら買いに行けばいい」くらいの感覚で、国は信じられなくとも、日本人なら、お互いを信じることができるはずです。

 そうやって、慌てふためくことなく、それぞれが普段通りの仕事をし、生活をしていく。こうして、腰を据えて、ゆったりと構えていることこそが、日本復興への第一のステップなのかもしれません。もちろん、外国の方に、それを望むのは詮無いことですが。

日々是好日
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