日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「『ひな祭り』にて」。

2011-03-04 08:56:13 | 日本語の授業
 今日も快晴です。しかも、空の青が、昨日よりも少し青みが勝って見えます。

 さて、昨日は「ひな祭り」でした。「ひな祭り」の説明と「ひな祭り」の歌を歌った後は、みんなで「お内裏様」と「おひな様」を色紙で作っていきます。

 これが例年ですと、すっとぼけた学生が何人かいて、まだ(作業が)終わっていないのに、あちらの机、こちらの机と徘徊し始めます。その都度、追い返して(作品を)完成させたりと、教員の口や手が必要になってくるのですが、今年はそういうこともなく、いたって静かに時が過ぎていきました。

 どうも、今年の「一年生組」は、「コツコツ型」が多いようです。特別優れたというわけでもないのですが、一生懸命に作業に取り組んでいました。午後の教室も午前の教室も、しーんと静まりかえっています。途中、覗きに来た教員が、「静かですね」と戸惑うほどなのです。いつもの、わいわいがやがや、それに合間合間の大笑いがないのです。それでも、「おひな様作り」はそれなりに進んでいくのですが。

 とはいえ、静かで、作業に集中している分、速くさっさとやってしまえるかというと、それがそうでもないのです。小中学校で「図画工作」、「美術」の授業なるものを、正規に受けたことのない人が何人かいるようにも見えて、どうも、「こういうことをする」ということ自体にどこかしら途方に暮れているようなのです。

 たしかに、一昔も二昔も前の日本がそうでした。大学受験に関係のない教科は、それを専攻したいという学生以外にとっては、「邪魔っけ」なものと見なされ、情操教育が軽んじられた時代もありました。もっとも、美術系の大学や教育系の大学で美術を専攻した先生はいましたが。

 ところが、彼らを見ていると、実態(まともに勉強したことがない)は五十歩百歩なのですが、もしかしたら、きちんと教育を受けた「美術系の先生が、いなかったからではないかしらん」とも思われてくるのです。

 幼稚園における「お絵かき」や「お遊び」から始まるこういう情操教育は、ただの「暗記」や「目の前の損得」に引きずられがちなヒトを、情感ある大人に育てていく働きがあると思われるので、とても大切な教育の一部分だと思われるのですが。

 というわけで、「おひな様の顔書き」から、情操教育の一歩が始まったという人もいたようです。

日々是好日
コメント
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