さて、昨日、久しぶりに学校へ行きますと、初っぱなからいろいろなことが起こります。8時半前後に、一人、ウッカリ屋のお嬢さんが、電話をかけてきました。
「先生、学校はいつからですか」
「いつでも大丈夫ですよ。今日来ますか」
で、
「へへへへへ…。明日…ね」
9時少し前に、もう一人、元気よく、
「おはようございます。明けましておめでとうございます」
と、やって来ました。
「ん?!」
と、辺りを見回して、
「先生、まだだれもいないの」
「授業は明日からです」
「えー!今日からだって、○○さんが言ったあ。」
らしいのですが、肝心要の○○さんは、来ていません。一人で、ぶつぶつ言っているので、
「どうしますか。帰りますか。学校で勉強しますか」
と聞くと、途端に、ニコニコ顔で、
「学校で勉強して、帰ります」
というわけで、12時過ぎに、わざわざご飯を外へ買いに出、また戻ってきて、学校でゆっくり食べてから、
「じゃあ、明日また」
と帰っていきました。ご苦労なことです。学校で勉強していたので、「はい、気分転換」とばかりに雑用もさせられていましたし。
新入生が、私が留守をしていた間に、(一人を除いて)皆来ているようです。6日までに、事務的なことはだいたい終わり(入寮に伴うことも)、後は今日の入学式を待つばかりです。
ただ、ガーナから来ている学生は、「ひらがな」が入っていないということで、若い先生が事前指導。その先生曰く、
「どうも、時間の観念が少し違うようだ。昨日(一昨日)は、9時半と(私が)言ったのに、9時に来て、今日(昨日)は、9時と言ったのに、9時15分に来た。これからのこともあるから、注意しとかなきゃ」
「これからのこと」というのは、「課外活動」のことです。だいたい月に一度、忙しいとき(「留学生試験」や「日本語能力試験」のある月)でも、二月に一度は、学校の外へ行きますから、「時間厳守」というのが本当に大切なことになります。
ただ、この学生の場合は、日本で働いている叔父さんが、「祖国で必要とされる、農業を日本の大学で勉強させたい」といって呼んでいるので、それほど心配していません。この叔父さんというのは、自分で会社を作って成功したのではなく(つまり、日本にいても、「自分たちの文化圏の中でお金を儲けた」というのではなく)、日本の会社で日本人と一緒に仕事をして、ある程度の収入を得ているのです。日本人の習慣などが判らなければ、これはなかなかできることではありません。こういう人の紹介でしたら、安心です。日本人のことが判っているでしょうから。
昨年は、ペルーの学生、その前はスリランカの学生、そのまた前は中国の学生と、みんなを待たせても「平気」の人が少なからずいました。だいたい、日本語がきちんと習得出来ている人は(各レベルのクラスにおいて)、日本人が時間を守る習慣があるということを、理解できているので、まず、遅れません。
授業の時も、教師が「しなさい」ということをして、(日本語力が)伸びてきているので、教師が言う通りにしていれば、(日本では)間違いがないだろう、自分のためになるだろうと予測できるわけです。
「1分遅れようが、20分遅れようが、関係ないじゃないか」などと言うことなかれ。これは、日本で生活していく上での、「適応力」とも、日本人との「協調性」とも関係してくるので、なおざりにはできないことなのです。
誰にとっても、時間は大切です。学校での活動だけではありません。仕事をする場合でも同じです。1分遅れても、20分遅れても、遅刻は、遅刻です。「あれは時間を守ることのできない奴」という評価がすぐに下されます。
毎日を慌ただしく生活している学生にしてみれば、「今日は学校へ行かなくてもいいのか」と、もしかしたら、どこにも行かずにゆっくりと部屋で寝ていたいでしょう。けれども、そういう学生達にも、「やはり、行ってよかった。きれいなものも見られたし、知識も増えた。友達と自由に話せて楽しかった」と言ってもらえるよう、教師の方でも計画を練っているわけですから、遅れてもらうと困るのです。
「富士山」や「日光」へ行くときには、最初の10分か20分遅れたために、計画が大きくずれ込むということにもなりかねません。10分か20分、遅れたせいで、ラッシュに巻き込まれたら、一時間か、悪くすると二時間ほども(到着が)遅れてしまうということさえあるのです。近場の都内見学でも、同じです。一人が10分遅れれば、時間通りに来た人達は、その間、イライラしながらずっと立ったまま待っていなければなりませんし、本来ならば、三つほども楽しめるところを、(時間が足らなくて)一つか二つ、端折らなければならなくなる場合さえ、あるのです。
のんびりした国から来た学生達も、こういう「約束事」を守っていくことを通して、少しずつ日本に「適応」していきます。「うるさいな。10分や20分遅れたぐらいで、文句を言うな」と、これすら守れないという人は、日本では、だんだん孤立していくしかないでしょう。多分、大方の日本人は「時間を守らない人に寛容ではない」でしょうから。
この学校に来た学生達が、この後も日本でうまく生活していくためにも、特に時間に関しては、「鉄は熱いうちに打て」を実行していくしかありません。結局は学生達のためなのですから。
日々是好日
「先生、学校はいつからですか」
「いつでも大丈夫ですよ。今日来ますか」
で、
「へへへへへ…。明日…ね」
9時少し前に、もう一人、元気よく、
「おはようございます。明けましておめでとうございます」
と、やって来ました。
「ん?!」
と、辺りを見回して、
「先生、まだだれもいないの」
「授業は明日からです」
「えー!今日からだって、○○さんが言ったあ。」
らしいのですが、肝心要の○○さんは、来ていません。一人で、ぶつぶつ言っているので、
「どうしますか。帰りますか。学校で勉強しますか」
と聞くと、途端に、ニコニコ顔で、
「学校で勉強して、帰ります」
というわけで、12時過ぎに、わざわざご飯を外へ買いに出、また戻ってきて、学校でゆっくり食べてから、
「じゃあ、明日また」
と帰っていきました。ご苦労なことです。学校で勉強していたので、「はい、気分転換」とばかりに雑用もさせられていましたし。
新入生が、私が留守をしていた間に、(一人を除いて)皆来ているようです。6日までに、事務的なことはだいたい終わり(入寮に伴うことも)、後は今日の入学式を待つばかりです。
ただ、ガーナから来ている学生は、「ひらがな」が入っていないということで、若い先生が事前指導。その先生曰く、
「どうも、時間の観念が少し違うようだ。昨日(一昨日)は、9時半と(私が)言ったのに、9時に来て、今日(昨日)は、9時と言ったのに、9時15分に来た。これからのこともあるから、注意しとかなきゃ」
「これからのこと」というのは、「課外活動」のことです。だいたい月に一度、忙しいとき(「留学生試験」や「日本語能力試験」のある月)でも、二月に一度は、学校の外へ行きますから、「時間厳守」というのが本当に大切なことになります。
ただ、この学生の場合は、日本で働いている叔父さんが、「祖国で必要とされる、農業を日本の大学で勉強させたい」といって呼んでいるので、それほど心配していません。この叔父さんというのは、自分で会社を作って成功したのではなく(つまり、日本にいても、「自分たちの文化圏の中でお金を儲けた」というのではなく)、日本の会社で日本人と一緒に仕事をして、ある程度の収入を得ているのです。日本人の習慣などが判らなければ、これはなかなかできることではありません。こういう人の紹介でしたら、安心です。日本人のことが判っているでしょうから。
昨年は、ペルーの学生、その前はスリランカの学生、そのまた前は中国の学生と、みんなを待たせても「平気」の人が少なからずいました。だいたい、日本語がきちんと習得出来ている人は(各レベルのクラスにおいて)、日本人が時間を守る習慣があるということを、理解できているので、まず、遅れません。
授業の時も、教師が「しなさい」ということをして、(日本語力が)伸びてきているので、教師が言う通りにしていれば、(日本では)間違いがないだろう、自分のためになるだろうと予測できるわけです。
「1分遅れようが、20分遅れようが、関係ないじゃないか」などと言うことなかれ。これは、日本で生活していく上での、「適応力」とも、日本人との「協調性」とも関係してくるので、なおざりにはできないことなのです。
誰にとっても、時間は大切です。学校での活動だけではありません。仕事をする場合でも同じです。1分遅れても、20分遅れても、遅刻は、遅刻です。「あれは時間を守ることのできない奴」という評価がすぐに下されます。
毎日を慌ただしく生活している学生にしてみれば、「今日は学校へ行かなくてもいいのか」と、もしかしたら、どこにも行かずにゆっくりと部屋で寝ていたいでしょう。けれども、そういう学生達にも、「やはり、行ってよかった。きれいなものも見られたし、知識も増えた。友達と自由に話せて楽しかった」と言ってもらえるよう、教師の方でも計画を練っているわけですから、遅れてもらうと困るのです。
「富士山」や「日光」へ行くときには、最初の10分か20分遅れたために、計画が大きくずれ込むということにもなりかねません。10分か20分、遅れたせいで、ラッシュに巻き込まれたら、一時間か、悪くすると二時間ほども(到着が)遅れてしまうということさえあるのです。近場の都内見学でも、同じです。一人が10分遅れれば、時間通りに来た人達は、その間、イライラしながらずっと立ったまま待っていなければなりませんし、本来ならば、三つほども楽しめるところを、(時間が足らなくて)一つか二つ、端折らなければならなくなる場合さえ、あるのです。
のんびりした国から来た学生達も、こういう「約束事」を守っていくことを通して、少しずつ日本に「適応」していきます。「うるさいな。10分や20分遅れたぐらいで、文句を言うな」と、これすら守れないという人は、日本では、だんだん孤立していくしかないでしょう。多分、大方の日本人は「時間を守らない人に寛容ではない」でしょうから。
この学校に来た学生達が、この後も日本でうまく生活していくためにも、特に時間に関しては、「鉄は熱いうちに打て」を実行していくしかありません。結局は学生達のためなのですから。
日々是好日