ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

ラシーヌを・・・

2017年07月24日 18時58分47秒 | 本の中から
ラシーヌを読んでいる。
もどかしく読んでいる。
きっとフランス語だったらこのすばらしい詩が、この素晴らしい戯曲がわかるんだろうな~
なんて思いながら読んでいる。

でもね素晴らしい詩人が、作家が、素晴らしい人?
いえいえそれは、まったく違う!

美しい詩を作る詩人の心の中が美しい?
美しい音楽を作った人の心が美しい?
美しい小説を書いた人の心が美しい?
それはまったく違う!!
喜劇作家は楽しい人間?
いえいえまったく違う。
それどころか偏屈な人間、しばしば卑しい人間、

ワーグナー、あの壮大な楽劇を創ったワーグナー、
でもその人物はというとまるで悪魔!
こんな人間とは付き合いたくない。
あの壮大な交響曲を書いたブルックナー、
その内面は小市民。
やたらと世評を気にする小市民。
勲章をもらって大喜びし、
世評を気にしてやたらと改作した。
あの楽しい小説を書いたゴーゴリ
伝記を読んでがっかりした。
お友達にはなりたくないなぁ~と思った。

ラシーヌも同じ。
戯曲の序文を読むとほかの作家の悪口三昧。
まったく受けなかった最初の戯曲、
モリエールは好意で十数回も講演したのに、
受けなかったのはモリエール劇団の演技が下手だったと、モリエール劇団を非難する。
こんな人間とはあまりお友達にはなりたくない。
中庸の人モリエール。
妬み嫉みやっかみはあったけど、人間性については誰も非難しなかった。
喜劇の序文には非難されてることに対しての反論はあるけど、ユーモアを交えた反論だった。
ところがラシーヌは牙をむきだす。
そこにモリエールとラシーヌの人間性の違い、
それは育ちの違いだけのことではないかもしれない。
裕福な家庭に育ったモリエール。
生まれすぐに孤児になり修道院生活を送ったラシーヌ。
この環境の違いは大きいけど、でもそれだけではない。
同じく貧しい家庭に生まれたルソーともまったく違う。
そこにはもって生まれたものがあるのだろう。

しかしそんなことはどうでもいい。
残された作品だけを見ればいい。
ラシーヌの悲劇、とってもしっかりした作品だ。
(喜劇は評価しない)

コメント
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