そろそろ梅雨入りが近い。おそらく明日には近畿地方も梅雨入りかというのでやり残してしまっていることを集中的にやらねばならない羽目に陥ってしまった。
今日の最大のミッションは小船の船底塗装だ。
手動のウインチを使うようになってからは大潮の直前の中潮くらいの日に作業をすると潮位的にいちばんよいというのが経験的に少しずつわかってきたのだが、今日は大潮の真っ只中だ。急いで作業を終えなければ潮が引きすぎて船を進水できない。大きい障害物として上架用の船台が乗っていたレールの残骸が残っているのだ。昔はここにも船を上架するための設備が整っていたのだ。
だから今日は家を午前5時半に出て港に向かった。満潮時刻は午前4時28分。ほぼ満潮時刻に港に到着したので、案の定スロープはほぼ海面下に沈んでいる。それでも船体の半分は引き上げられるであろうと思い準備にとりかかる。
この季節の特徴なのだろうか、今日のタイドグラフを見てみると、お昼前の干満差がかなり大きい。
確かにそのとおりで、コロやブロックを運んだりウインチの固定をしている間でもちょっと大げさかもしれないが目に見えて潮が引いてゆくのがわかる。
今日は風もないのですべてを人力でやり通そうと係留場所からスロープまでの移動もオールを使ったのだが、その間にも潮は引き続け、船体を引き揚げるころには艫がわずかに水没するくらいにまでになっていた。
完全に露出するまではコロの上に乗せたままフジツボを掻き落とすのだが、今年は一体どうなっているのだろうかと思うほど船底には何も付着していない。側面にわずかにフジツボの子供が付着している程度だ。
この船には「水和分解型」という塗料を使っている。成分で貝類や海藻を寄せ付けないのではなく、付着したそれらを塗料自らが剥離してゆくことによって落としてゆくというものだが、剥離しているような部分は見当たらず、見た目ではその塗面はきれいなままだ。なにもせずに海に戻してもいいのではないかと思うほどである。大きい方の船もそうであったが、船底を見ている限りでは今年はまったくの「沈黙の春」なのだ。
貝を掻き落とす手間ははぶけるのだが、結局は残った塗料を少しでも剥がさねば抵抗になる。これが、貝がいっぱい付いていると貝と一緒に個体として剥がれていってくれるのだが、塗料だけだとドロドロしたものになる。これはこのタイプの塗料の特徴なので仕方がないが、体が汚れそうで気持ちが悪い。
潮が引いてきたので船をコンクリートブロックの上に乗せる作業もしながら約1時間で掻き落とす作業が終わったのだが、この時間では太陽が出ていないのと意外と気温が低ことで、なかなか船底が乾かない。どんどん潮が引いていくので焦りはあるが仕方がない。その間に何度もトライをしている生け簀の水漏れ補修にとりかかる。しかし、今回も失敗したようだ。進水と同時に水が漏れてきた。これは諦めるしかないのだろうか・・。
まだ生乾きの部分はあるけれども急がねばと思い塗装を開始。20分ほどでこれも終わり、午前8時半にはすべての作業を終えてしまった。
あとは塗料が乾くのを待つために時間潰しに円卓会議に出席。午前9時半ごろに港に戻りコロの上に乗せる作業。
しかし、この時点で例のレールは完全に露出してしまっていてそのまま船を降ろしてゆくと完全にこれにぶち当たる。これは困った。潮が満ちてくるのを待つと夕方になってしまう。
3000年前のエジプト人も直線方向だけで石を運んでいたわけではあるまい。いくらかは方向を変えなければピラミッドを造ることはできなかっただろう。何か方法はあるはずだと無い知恵を絞りだしていると、ふと、コロの向きを変えてやると船も方向を変えるのではないかと思いついた。これでダメなら夕方まで待つのは仕方がないと早速トライをしてみた。
そうすると、何ということでしょう、船は平行移動しながらレールの軸線上から離れていくではありませんか!!
やったぞ、これは火事場の馬鹿力ならぬ、とっさのバカ知恵だ。
少しずつワイヤーを延ばし、デコボコの上に乗って止まってしまうところは手で押しながら約8メートルの距離をゆっくり移動させてゆく。水際のところはコンクリートがさらにボコボコになっているのでコロが通過するたびにジャッキで船体を持ち上げ位置を変える。
ワイヤーを延ばしきる直前になんとか船体の3分の1までを海に入れることができた。
あとは力任せに一気に進水させる。
この間約40分。時速に直すと約12メートル。スペースシャトルが発射台へ向かう速度の133分の1という遅い速度である。
進水してからはまたオールの力で係留場所まで移動して今日の最大のミッションは終了。
家に帰って最後に1本残った植木の剪定。これも雨の季節までに終わっておかないと庭が鬱蒼としてくる。もともと面倒だし、剪定をしたからといって何の益にもならない。ただ、元に戻るだけだ。最初に松を刈ってからふた月ほどかけてやっとすべてを終えた。
そして最後に物干し台の改造。これも母親から何とかしろというお達しを先延ばしにしていたが雨が降って来る前にやっておかないと真夏になってしまう。
人間というのは歳を取ってくると高いところに手が届かなくなってくるらしい。物干し台もそれに合わせて背を低くしろというのである。
これも、グラインダーの軸のボルトが緩まなくてカップワイヤーからカッターへの換装に難儀したのだが、ふと、そのヘッドの反対側を見ると、小さなポッチが付いていて、それを押すと軸がロックされてカップワイヤーが簡単に外れた。もう、20年近く使っているが、こんな機能が付属されていたというのを始めて知ったのであった。いままではプライヤーをねじ込んで何度も失敗をしながらヘッドを交換していたのだが、あの苦労は一体何だったのかと思えてしまう。
無知というものは悲しく、バカ知恵というのは頼りになるというのが今日の教訓であった。
今日の最大のミッションは小船の船底塗装だ。
手動のウインチを使うようになってからは大潮の直前の中潮くらいの日に作業をすると潮位的にいちばんよいというのが経験的に少しずつわかってきたのだが、今日は大潮の真っ只中だ。急いで作業を終えなければ潮が引きすぎて船を進水できない。大きい障害物として上架用の船台が乗っていたレールの残骸が残っているのだ。昔はここにも船を上架するための設備が整っていたのだ。
だから今日は家を午前5時半に出て港に向かった。満潮時刻は午前4時28分。ほぼ満潮時刻に港に到着したので、案の定スロープはほぼ海面下に沈んでいる。それでも船体の半分は引き上げられるであろうと思い準備にとりかかる。
この季節の特徴なのだろうか、今日のタイドグラフを見てみると、お昼前の干満差がかなり大きい。
確かにそのとおりで、コロやブロックを運んだりウインチの固定をしている間でもちょっと大げさかもしれないが目に見えて潮が引いてゆくのがわかる。
今日は風もないのですべてを人力でやり通そうと係留場所からスロープまでの移動もオールを使ったのだが、その間にも潮は引き続け、船体を引き揚げるころには艫がわずかに水没するくらいにまでになっていた。
完全に露出するまではコロの上に乗せたままフジツボを掻き落とすのだが、今年は一体どうなっているのだろうかと思うほど船底には何も付着していない。側面にわずかにフジツボの子供が付着している程度だ。
この船には「水和分解型」という塗料を使っている。成分で貝類や海藻を寄せ付けないのではなく、付着したそれらを塗料自らが剥離してゆくことによって落としてゆくというものだが、剥離しているような部分は見当たらず、見た目ではその塗面はきれいなままだ。なにもせずに海に戻してもいいのではないかと思うほどである。大きい方の船もそうであったが、船底を見ている限りでは今年はまったくの「沈黙の春」なのだ。
貝を掻き落とす手間ははぶけるのだが、結局は残った塗料を少しでも剥がさねば抵抗になる。これが、貝がいっぱい付いていると貝と一緒に個体として剥がれていってくれるのだが、塗料だけだとドロドロしたものになる。これはこのタイプの塗料の特徴なので仕方がないが、体が汚れそうで気持ちが悪い。
潮が引いてきたので船をコンクリートブロックの上に乗せる作業もしながら約1時間で掻き落とす作業が終わったのだが、この時間では太陽が出ていないのと意外と気温が低ことで、なかなか船底が乾かない。どんどん潮が引いていくので焦りはあるが仕方がない。その間に何度もトライをしている生け簀の水漏れ補修にとりかかる。しかし、今回も失敗したようだ。進水と同時に水が漏れてきた。これは諦めるしかないのだろうか・・。
まだ生乾きの部分はあるけれども急がねばと思い塗装を開始。20分ほどでこれも終わり、午前8時半にはすべての作業を終えてしまった。
あとは塗料が乾くのを待つために時間潰しに円卓会議に出席。午前9時半ごろに港に戻りコロの上に乗せる作業。
しかし、この時点で例のレールは完全に露出してしまっていてそのまま船を降ろしてゆくと完全にこれにぶち当たる。これは困った。潮が満ちてくるのを待つと夕方になってしまう。
3000年前のエジプト人も直線方向だけで石を運んでいたわけではあるまい。いくらかは方向を変えなければピラミッドを造ることはできなかっただろう。何か方法はあるはずだと無い知恵を絞りだしていると、ふと、コロの向きを変えてやると船も方向を変えるのではないかと思いついた。これでダメなら夕方まで待つのは仕方がないと早速トライをしてみた。
そうすると、何ということでしょう、船は平行移動しながらレールの軸線上から離れていくではありませんか!!
やったぞ、これは火事場の馬鹿力ならぬ、とっさのバカ知恵だ。
少しずつワイヤーを延ばし、デコボコの上に乗って止まってしまうところは手で押しながら約8メートルの距離をゆっくり移動させてゆく。水際のところはコンクリートがさらにボコボコになっているのでコロが通過するたびにジャッキで船体を持ち上げ位置を変える。
ワイヤーを延ばしきる直前になんとか船体の3分の1までを海に入れることができた。
あとは力任せに一気に進水させる。
この間約40分。時速に直すと約12メートル。スペースシャトルが発射台へ向かう速度の133分の1という遅い速度である。
進水してからはまたオールの力で係留場所まで移動して今日の最大のミッションは終了。
家に帰って最後に1本残った植木の剪定。これも雨の季節までに終わっておかないと庭が鬱蒼としてくる。もともと面倒だし、剪定をしたからといって何の益にもならない。ただ、元に戻るだけだ。最初に松を刈ってからふた月ほどかけてやっとすべてを終えた。
そして最後に物干し台の改造。これも母親から何とかしろというお達しを先延ばしにしていたが雨が降って来る前にやっておかないと真夏になってしまう。
人間というのは歳を取ってくると高いところに手が届かなくなってくるらしい。物干し台もそれに合わせて背を低くしろというのである。
これも、グラインダーの軸のボルトが緩まなくてカップワイヤーからカッターへの換装に難儀したのだが、ふと、そのヘッドの反対側を見ると、小さなポッチが付いていて、それを押すと軸がロックされてカップワイヤーが簡単に外れた。もう、20年近く使っているが、こんな機能が付属されていたというのを始めて知ったのであった。いままではプライヤーをねじ込んで何度も失敗をしながらヘッドを交換していたのだが、あの苦労は一体何だったのかと思えてしまう。
無知というものは悲しく、バカ知恵というのは頼りになるというのが今日の教訓であった。