鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

悪魔はどこにでもいる

2006-02-18 | Weblog
 滋賀県長浜市で幼稚園児の母親が他の園児2人を刺殺した、とんでもない事件が起きた。近所の4家族が交代で送り迎えすることがなっており、朝、車で、幼稚園へ送り届ける途中、我が子のいる前で友達の園児2人を包丁で刺し殺し、自動車から放り投げてしまった、という。最近、幼い園児、学童が通園・通学の途中でさらわれ、殺されてしまう事件が相次ぎ、全国的に通学・通園の際には保護者が交代でついていく、ことを励行している矢先にどうにも防ぎようのない事件が起きてしまったわけで、今度は父兄・保護者にも厳しい目を向けなければならなくなった。
 犯人はもともと中国人で7年前に來日し、日本人と結婚し、配偶者登録している。娘との3人暮らしで、以前から娘が通う幼稚園の父兄と馴染めず、悩むようなことがあったようだ。「大変なことをした」と反省しているようだが、謝罪の言葉は聞かれない、という。犯行は事件を起こした朝に決断し、包丁を車に持ち込んだ、ともいう。動機についてはまだ明らかになっていなが、いわゆる公園デビューに溶け込むことが出来なくて、日々恨みがかさんでいったとしか、考えられない。それにしても親への恨みが当の親でなく、その子供に及び、なおかつ刺し傷20カ所にもなる、というのだからどんなやり取りの末なのか、若干の興味がないわけではない。それと、もうひとつ気になるのは犯行時に犯人の娘が自動車の助手席に座って母親の犯行をじっと見ていたことだ。普通、自分の子供の前でその友達を殺すことなんて出来ない、子供がどう思うか、と思うと犯行を思いとどまる。それだけ冷静さがなくなっていた、としか思えない。まあ、普通じゃない、のは確かだ。
 最近、立て続けに幼い子に対する融解。虐待事件が多発しており、栃木の事件は未だに犯人が見つかっていない。広島の事件はペルー人だったし、今回は中国人で、どうも外国人というのがキーワードのようだ。日本、および日本語に馴染めない外国人が豊な日本へ来て、孤立してしまっているのではなかろうか。少子化の時代で、労働力を海外からの移民、もしくは移住に頼らざるを得ないのなら、そうしたが外国人に対するケアをもっと強化することを考えなければならないだろう。各市町村には兼任でもいいから日本への移住者の相談窓口を設けることが必要だろう。それと、単一の民族のなかでしか生活したことのない日本人には世界各国の人々と暮らす時代になったことを改めて考えてもらうことも必要だろう。
 それにしても、まず隣人を疑ってかkれ、というおっかない時代になってきた。こうなると、幼稚園にしろ、小学校にしろ、先生にも、父兄にも、園児・生徒にも、周りの街の人にもどこにでも悪魔は潜んでいる、とでも考えざるを得ない。近頃は警察官にも怪しいのはいっぱいいる。自分の身は自分で守るしかない、ということか。
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幻のスクープ記事

2006-02-17 | Weblog
 毎日新聞が16日付け朝刊一面トップで「イラク陸上自衛隊来月撤退」と特報した。最初に見た時には評判ガタ落ちの小泉首相がなんとか支持率を上げようと画策したのかな、それにしても小泉首相に批判的な毎日新聞が珍しいことがあるものだ、と思った。ところが、案の定、昨日の夕刊ではどこもこれについては報道しなかった。WEBでも毎日新聞がニュースを提供しているMSNが同じ内容を載せているだけで、完全に無視された。昨日は衆院予算委員会で、民主党の永田議員が「ホリエモンが武部幹事長の次男に3000万円送金指示」の爆弾発言をし、毎日新聞のスクープ記事はふっとばされた感もある。
 記事は見出しではすぐにでも撤退しそうな断定調ではあるが、よく読むと3月中に撤退を開始し、5月末までに撤退を完了することで米英など関係国と調整に入った、としており、しかも200人いる航空自衛隊は残るというから、なんとも歯切れの悪いスクープである。どうせ、小泉首相の取り巻きが最近とみに旗色の悪い小泉首相の点数を上げよう、と考え、関係先にサウンドした程度のことだろう。それとも、ここでイラク自衛隊で人身事故でも起きたら、小泉首相の命取りになり兼ねない、と憂慮しての予防策を画策しよう、とでもしたのだろう。
 ちょっと考えれば、このスクープがおかしいとすぐにわかる。最大の難関は米国の了解を得ることで、BSE牛肉の輸入再再開で、日米関係がギクシャクしているのにイラク自衛隊撤退なんて、米国べったりの小泉首相が言い出せるわけがない。外交オンチのゴマすり議員が考えそうなことだ。それにやすやすと乗ってしまう毎日新聞の記者も編集局も情けない。
 そうでなくても昨日は永田議員の発言で自民党は対応に大わらわだったのだから、イラクどころの話ではない。ホリエモンは闇の金融筋とも関係がある、と言われているし、その金が政界にも流れているとしたら、もうホリエモンは一生浮かび上がれないだろう。本人はことここに至っても「知らぬ、存ぜぬ」で逃げ切ろう、として、保釈要求まで出してきているようだが、全くもって最後の最後まで世の中を舐めきっている、おめでたい人物である。 
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人間この欲深なるもの

2006-02-16 | Weblog
 景気が少しよくなってきたせいか、このところ詐欺事件が多発している。ホリエモンのライブドアもいってみれば、政財界を巻き込んだ大規模な詐欺事件であるが、つい最近発覚したアース製薬の未公開時の株式販売にからむ詐欺は実際に新規上場されても言われた通り上がらなかったというもので、株式市場がやや上昇気味だったところに目をつけた知能犯的な面もあり、いかにもありそうな話で、気をつけるにこしたことはない。
 「アース製薬」株は昨年11月30日に公開価格2000円で新規上場され、最高4100円までつけたが、最近は3000円前後で推移している。それを名古屋の「ワールドネットインベストメント」など30数社が「必ず上がるから」と最高一株2万5千円で販売していた。詐欺罪が立証されるかどうかは微妙なところだが、いずれの会社も証券取引法で定める社名に証券の文字がないことと、株式がそれら業者に渡った経緯で法律に違反する取引があったのは事実。アース製薬という現実にある有名企業であることと、新規上場で値が上がる、といわれれば素人にはなかなか判断がつかないところがある。
 もうひとつ、昨日は米国の100万ドル紙幣なるものの詐欺事件が発覚した。聞けば、随分前に台湾で100万ドル紙幣が発行されたことがあり、それが安く手に入り、換金すればたっぷり儲かる、という眉唾の話で、沖縄の数人が総額1億5千万円詐欺に遭った、という。米国ではこれまで10万ドル紙幣は印刷されたことはあるが、100万ドル紙幣は発行されたことがない、という。これなんか、ちょっと調べるか、専門家に聞けば、すぐ嘘だ、とばれるのに、と思ってしまう。
 オレオレ詐欺の時も感じたが、どうしてこうも簡単に詐欺にひっかかってしまうのだろう。ちょっと考えるか、ちょっと電話で確かめれば、おかしい、とわかりそうなものなのに相手のいいなりになってしまって、50万円なり、100万円を振り込んでしまう。冷静になって考える間を与えずに追い込んでしまう、詐欺集団の手口といえばそれまでだが、人間の業というか、弱みにつけこんだやり方だ。 
 アース製薬の新規上場株と100万ドル紙幣事件はもうひとつ、人間の欲につけ込んだもので、欲を掻いた方にも一半の責もある。それにこの低金利時代で、日本全体で1400兆円を超える個人資産が眠っている、少し頭のいい詐欺集団にとっては格好の舞台でもあろう。世に盗人の種は尽きまじ、というが、詐欺の種も尽きまじ、ともいえよう。
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アカデミー賞もの演技フライトプラン

2006-02-15 | Weblog
ジョディ・フォスター主演の映画「フライトプラン」を観賞した。休日の朝一番だったにもかかわらず、400人の座席がほぼうまる程の盛況ぶりで、改めてジョディ・フォスターの人気を裏付けた。公開前に確か毎日新聞に載った記事ではラストの結末が平凡と酷評していたが、あにはからんや、大変面白かた。新聞の批評など信用するな、ということだ。
「フライト・プラン」は不慮の事故で亡くなった夫の遺体安置室にジョディ・フォスターが入ってくるシーンから始まる。そして、故郷の米国へ帰るため、悲しみにくれる娘を抱いて空港へ向かう。飛行機に乗り込み、座席に座り傷心の娘が落ち着いたところで、ひと寝入りし起きたら、娘がいなくなっていた。必死で行方を探しまわるが、杳としてつかめない。機内を隈無く探すが、どこにもいない。乗客全員に助けを求めるものの、冷たい視線が帰ってくるだけ。最初は協力的だった機長もなかなか見つからないことから、母親の妄想だ、と思い出す。乗組員もそんな女の子は見なかったし、搭乗記録にもない、とい
いはる。挙げ句の果てに母親はたまたま乗りあわせた航空監察官の監視下に置かれてしまう。
 座席にもどされた母親は窓に娘が書いたハートマークを見て、娘が誘拐されたことを確信する。トイレに行くふりをして、機械室に忍び込み、機内の気圧を下げたり、照明をおとしたりして混乱におとしいれる。おどろいた機長は緊急着陸を決め、FBIに出動要請する。ここまできて、ようやく真犯人が登場し、はは親の名をかたって機内に爆弾を仕掛けたとし、乗客全員を降ろし、なおかつお金を要求する。乗客の最後に降りようとして、犯人と機長のやりとりから、事情を察知した主人公の母親は犯人がドアを閉めた隙に消化器でなぐりかかり、手錠をはずし、娘を再度探しに出る。
で、最後は無事に娘を見つけだし、犯人も爆破し、めでたし、めでたし、となるが、途中まで一体どうなることやら、と手に汗にぎる展開で娯楽作品としてはよくできている。主人公が航空エンジニアという設定も無理がない。
何よりも主演のジョディ・フォスターがいい。先日見た「スタンドアップ」のシャリーズ・セロンとアカデミー賞主演女優賞を競うことだろう。まあ、新聞の映画批評など信用せずに自分の目で真贋を見分けることだ。
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王者ライオンを破った早稲田

2006-02-14 | Weblog
 早稲田大学が43回ラグビ^日本選手権で夜会人トップリーグ4位のトヨタ自動車を28対24で破った。大学チームが社会人ラグビーの上位チームを破ったのは実に18年ぶりのこと。しかも相手が世界の冠たるトヨタ自動車だけに価値があるというか、溜飲が下がる。日本一の高収益企業であり、会長が経団連会長を務め、日本の産業界を牛耳っているトヨタ自動車の鼻をあかしたのだから、面白い。トヨタ自動車の難波キャプテンは「言い訳なしの完敗」と語っていたようだが、心中は煮えくり返っているに違いない。会社に戻れば、冷たい目でみられ、監督辞任にすらなりかねないことだろう。
 テレビで観戦した試合は最初から早稲田が主導権を握る展開で、トヨタ自動車は反則を繰り返し、早稲田は立て続けにペナルティゴールを決めて、常にリードを保っていた。圧巻は前半中盤のトヨタ陣営にモールで押し込んでそのままトライとなった場面。戦前には善戦はするだろうが、ここまで圧倒するとは思わなかった。いつもなら、社会人チームがするようなことをやってのけたのだから、早稲田の清宮監督は凄い。
 それでもトヨタ自動車は巨漢の外人選手がボールを持って走ってトライした時は早稲田の選手は戦車に蹴散らされる兵隊のように彼我の差を見せつけられた。そんな場面が二回ほどあり、トヨタ側はまだまだ余裕を持って、選手はいつでも逆転できる、と思っているなと感じさせた。確か去年もこの同じ対戦で後半の半ば過ぎまで、互角に試合を進めたが、最後は28対9と圧倒的に差をつけられた。大柄な外人選手がトライするシーンを見て、昨年のことが頭をよぎった。
 ところが、今年は違った。前半のトヨタ自動車がスロースターターなのを見越して、多着々と得点を重ねたことが効を奏した。怒涛のように攻めてくるトヨタ自動車の押しを必死で守り、遂に4点の僅差で早稲田が逃げ切ったのだ。4点と1トライ以内の差とはいえ、勝ちは勝ち。
 トヨタ自動車の社内でラグビーがどのような位置ずけにあるのかわからないが、単に社会人リーグで優勝できず4位に終わったことと、今回の敗戦は全然違う。経済界に君臨するトヨタ自動車がたかがラグビーとはいえ、大学チームに破れるなんて恥ずかしい、との声が必ずや出てくることだろう。どうせトヨタ自動車のことだから、まずは監督の首をすげ替えて新しい監督に来年こそは日本一をめざせ、との指令が飛ばすだろう。
 そんな場面がすぐに思い浮かぶだけに今回の早稲田の勝利は痛快だ。近年はあまりにも社会人チームと学生チームの試合が一方的なので、日本選手権をやめてしまおう、との声が出ていたが、これでそうした声も出なくなることだろう。
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トリノオリンピック三態

2006-02-13 | Weblog
・トリノオリンピックが11日(日本時間)開幕した。注目の開会式でイタリアの誇る大女優、ソフィア・ローレンが出演しているのを見て、フィギアスケートの安藤美姫がソフィア・ローレンに似ていることに思い至った。前から誰かに似ていると思っていて、それが、誰だか思い至らなかった。ということは22日に競技が行われる女子フィギアスケートで安藤美姫が現地で強烈な声援を受けることになるのではなかろうか。やや太り過ぎとか、オリンピック終了後はプロ転向との声が聞かれる安藤美姫、思わぬ現地での声援にびっくりして舞い上がってしまうことがなければいいのだが。NHKが東京の街で「だれがトリノオリンピックでメタルを取るか」100人に聞くアンケートをしていたが、実に25人が安藤美姫をあげ、圧倒的に第1位であった。ソフィア・ローレン似の容貌が吉となることを願いたい。
・開幕早々の競技、女子フリースタイルモーグルエアーで日本期待の上村愛子選手は第2エアーで得意の3Dを決めたものの、着地後身体が前に流れ、思ったよりタイムが出ず、演技を終わった時点で2位につけ、残る4人に次から次へと抜かれ、結局5位に終わった。改めてビデオを見ると、最初の第1エアーでは動きが固く、全くスピードが出ていなくて、まるで攻めの気持ちが出ていなかった。これでは最初から負けている。第2エアーで3Dをやることだけに頭がいっていたのではなかろうか。それでも前々回の7位、前回の6位から順位を上げてきているので、上村愛子は「次のバンクーバーをめざす」ようなことを言っているが、肉体的にもう限界に近いのではなかろうか。前々回金メタル、前回銅メタルの割には不祥事を起こしたことでまるで人気のない里谷多英がやはりというか、15位に終わり、涙を流していたのをテレビがあっさりと報道していたのは当然のことか。
・もうひとつ序盤期待のスキーノーマルヒルジャンプ予選でとんでもないことが起きた。お騒がせ男の原田雅彦が予選トップ級のジャンプを見せたものの、競技終了後の検査で規定以上のスキー板を使用していたとの理由で失格となってしまったのだ。原田選手は身長174センチで、身長の143%以下のスキー板しか使えず、なおかつ体重によってさrに短い板を使うことが決められている。原田選手が使った板は253センチの板で、それには体重が61kgないといけないのに60.8kgしかなくて、失格となった。わずか200gの差、と本人はあっけらかんと言うが、プロとしてあるまじきことである。しかも原田選手は過去4回もオリンピックに出場している大ベテラン。まるで自己管理ができていない。過去に肝心のところで大ミスをしたりして、いつも何か緊張感の足りない競技をしている印象があって、マスコミが取り上げていても好きになれない選手であった。こんな選手を大事な国費を使って派遣するなんて税金の無駄遣いで、使った国費を返せ、といいたいくらいだ。おかげでか、日の丸飛行隊は大失速し、伊東大貴の18位が最高という不出来に終わった。
 開催前にどこか海外の機関が日本のメタル獲得数は3個と予想していたが、どうやら当たりそうな感じとなってきた。となると、本当に税金の無駄遣い、との声が出てきそうだ。
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日米の差

2006-02-12 | Weblog
 毎日新聞によると、ニューヨークのブルームバーグ市長は勤務時間中にパソコンでトランプゲームをしていた男性職員を解雇した。日本ならそんな職員は全国どこの役所でもざらにいそうだが、これまで解雇され例は寡聞にして聞いたことがない。それだけ米国の社会の公務員を見る眼が厳しいのか、はたまた終身雇用でなく一年単位の契約で雇用関係が成り立っているので、簡単にクビを切り易い環境にあるのか。いずれにしろ、サラリーマンの世界も安閑として過ごせない状況になってきたようで、世のぐうたら亭主には格好の警鐘となりそうだ。
 毎日新聞によると、先月4日、ニューヨーク州オールバニにある市の行政機関を視察したブルームバーグ市長は事務職員のパソコンにゲームの画面が映っているのを発見した。その場ではなにも言わなかったが、あとで側近に指示し、解雇した、という。間近にニューヨーク市長の選挙でも予定されていて、ブルームバーグ市長が大向こう受けをならってのパーフォーマンスかもしれないが、それにしてもビックリである。件の職員の日頃の勤務状況についての報道がないので、なんとも言えないが、恐らく問題職員だったのだろう。どこの役所、企業でも就業規則なるものがあり、それには上司の許可を得ずに、勤務中に仕事に関係ないことをするのは違反であり、組織に迷惑、もしくは損害を与えた場合は解雇されても仕方がない、との項目がある。きっちり適用すれば、市長に目撃されただけで十分に解雇に値しよう。なによりも契約が優先する米国ではなおさらだ。
 翻って、日本で同じようなことがあった場合を考えると、なかなかこうはいかない。米国の単年契約で雇用契約を結ぶのと違って、終身雇用制を採っていることもあるが、勤務態度が不良だかrといって解雇するのはおいそれとはいかない。裁判で争っても多くの証拠、証言を揃えないと会社側はまず勝てない。かつて週刊誌がよく「お役人天国」とタイトルをつけて、全国各地の役所の職員がいかに仕事をしないか、を写真特集していたが、
米国の例に倣えば、即刻に解雇に値するケースがざらにあったように記憶している。
 昔、地方の県政記者クラブに詰めていた時に、新たに就任した県警本部長が挨拶に訪れ、記者クラブの扉を開けたところ、目の前で記者連中が賭けマージャンをしていて、卓の上に賭けの現金が散乱していて、まさに現行犯逮捕の瞬間であったことがある。件の県警本部長は平然と新任の挨拶を述べていたが、一瞬、お付きの職員や居並ぶ記者連中は驚愕の表情を浮かべ、どうなることやら、と不安げだった。しかし、話のわかる県警本部長と見えて、何事もなかったのように扉を閉めて立ち去ったので、一堂ホッと胸をなでおろした、ことがあった。若かりし頃の古き、良き(?)時代のいまとなっては笑い話だが、今、同じようんな状況が起きたら、一大スキャンダルに発展したに違いない。
 明治は遠きなりにけり、とは司馬遼太郎の言だった、と思うが、昔を懐かしむのはいいが、だからといっていまも同じように通用する、と思うのは大間違いだ。時代とともに変わるものがあり、そこを弁えておかないと、とんでもないことになる。
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物足りない芥川賞

2006-02-11 | Weblog
 第134回芥川賞に決まった糸山秋子さんの「沖で待つ」を昨日発売された文藝春秋で読んだ。芥川賞は毎回欠かさず読んでいるが、大体は文藝春秋社の話題づくりの賞程度でがっかりすることが多い。今回も芥川賞で抱いている純文学の新しい方向を感じさせるものにはやや遠い、と感じた。2年前に若手の金原ひとみの「蛇にピアス」と綿矢りさの「インストール」でダブル受賞した時には新風を感じさせたが、またまたもとの芥川賞に戻ってしまった。
 「沖で待つ」は同期入社の男女の交流を女性の側からさらっと描いているいわゆる企業小説。主人公の女性が会社の中で伸び伸びと仕事をしながら、同期の男性社員が結婚後も爽やかな付き合いうをしていくさまをうまく綴っている。しかし、ある日、事故でその男性社員が亡くなってしまい、生前に約束していたパソコンのハードディスクをアパートに忍び込んで破壊するが、破壊したデータが未亡人となった奥さんに対する強烈な愛の詩であったことに感動する。タイトルの「沖で待つ」はその愛の詩の一節から取られた。
 よくある企業の青春物語で、女性社員から見た点に新奇性があるのかもしれない。その女性が男性社員と同等以上の仕事をこなし、性格もカラッとしているのがこれまでにない味があるのかもしれない。新三等重役ならぬ新人類社員かもしれない。選評を読むと、選考委員の全員が推したようではないが、企業勤めをしたことのない小説家にとって最近の企業小説は新鮮に映ったのだろう。特に女性の戦力化が著しい会社の実態をあっけらかんと描写したことがアピールしたのだろう。でも最近の企業のなかで、仕事ができる女性は珍しくもなんともない。そこのあたりが選考委員の作家先生には全くわかっていないからこそ授与が決まったのだろう。
 それでも選考委員の全員が満場一致で推したわけではない。やはり、芥川賞に求められるストリーを超えた人生の深みや意義といったものがいまひとつ伝わってこない。文章そのものはハキハキしていて、明快でまるで男性作家が書いているようなタッチである。しかもこの作家、糸山秋子さんは芥川賞の賞金100万円の半額を即座に寄付してしまった。過去の芥川賞受賞でこうした例はない、という。こんなことで男女を論じるのは男女差別になりかねないが、以前なら気性はもう男以上である。そんな気っ風のよさに惚れたこともあって、真っ先に受賞作を読んでみた。
 受賞作「沖で待つ」のなかで、主人公の男友達が不慮の事故でなくなる件がある。それが、ビルから自殺者が飛び降り、その下敷きとなって死んでしまうのだが、どうせフィクションならもう少し違ったロマンチックな死に方があったのではなかろうか。いかにもマンガチックで、まるでユーモア小説ではなかろうか。
 単に現代の世相を切り取っただけの企業小説では芥川賞の名に値しない、と思うがいかがなものか。
 
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日本経済新聞社の改革

2006-02-10 | Weblog
 日本経済新聞社が3月1日付け人事で編集局長に産業部出身の記者が就任する。今年創立130年を迎えるが、同社の歴史上初めてのことである。同社の編集局長はずっと経済部と政治部出身者が務めてきて、経営陣も両部の出身者でほぼ占められてきた。鶴田卓彦前社長がワンマン経営者として権力を振い、手形乱発で巨額の損失を発生したTCワークス事件を発端に株主代表訴訟を起こされ、結局は退任したのも経済部出身者で周りを固めてたのがその温床となった。それを改革しようというのが今回の人事とすれば、日本経済新聞社の再生も見えてくる。
 3月人事で新たに日本経済新聞社の編集局長に就任するのは高橋雄一氏。1975年入社で、直前の役職は編集総務。高橋氏はかつて公正取引委員会の委員長時代にゴリポンの愛称で名を馳せた高橋某のご子息である。序列から言えば、1つ繰り上がっただけの順当な人事であるが、新局長の高橋氏は民間企業を担当する産業部の記者を長く務めてきた産業部生え抜き。
 日本経済新聞社は一般紙と違って経済専門紙なので経済部といっても重層な体制をとっている。日銀、財務省などいわゆるマクロ経済をカバーする経済部と、民間企業・産業界を担当する産業部があり、数からいえば圧倒的に産業部の記者のが多い。しかも経済部の記者の書く記事は日本経済全体に関わる内容であるとのことから一面トップは常に経済部の記事が掲載される。ごくたまに産業部の合併スクープが一面トップを飾ることもあるが、総じて官庁関係の記事で埋められている。ということから、経済部出身者はエリートとのレッテルが貼られ、社内の枢要なポストは概して経済部出身者で固められてきた。特に記者の頂点である編集局長は歴代、経済部、もしくは政治部出身者が務めてきた。だから、産業部出身者が編集局長になる、ということは画期的なことである。
 日本経済新聞社は官庁や相撲の世界と同様に年次を考えて人事を行うことになっており、高橋新局長の同期入社組に経済部出身者はいないわけではなかった。株主代表訴訟を起こし、一時退職して復帰した大塚将司氏も同期の経済部出身者であった、という。
 日本経済新聞社に限らず、一般に人事を特定の出身者で固めたり、気に入った者ばかりを取り立てたりすると、企業はおかしくなる。人というのは仕事を通じて成長もし、変わってくる。その成長ぶりを見て、適材適所の人事を行うことが経営者の責務である。本来、能力ある者がそれにふさわしい職務に就くのが一番いいのである。
 高橋新局長に能力がある、ということなのだろう。出身のレッテルを外して人物能力を評価してのことなら、当然の人事である。当然の人事がこれまで行われてこなかった日本経済新聞こそ問題だったといえよう。
 今回の人事が日本経済新聞社の再生につながることを期待したい。インターネットの出現で新聞経営が問われているいま、あるべき新聞社に向かって邁進してもらいたい。
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9回裏二死満塁の大飛球

2006-02-09 | Weblog
 秋篠宮紀子さまご懐妊の兆候が発表となり、世はすっかりお祝いムードに包まれている。このところ靖国問題に耐震偽装、ホリエモン・ショック、防衛施設庁の談合問題、さらには埒いかぬ日朝間協議でまさに四面楚歌状態に陥りつつあった小泉首相に覆いかぶさっていた暗雲を一挙に取り払った感がある。しかもこれも小泉首相の命取りになりかねないと見られていた皇室典範改正も昨日、小泉首相が「慎重に判断する」と発言し、今国会成立を見送る身通し、となってきた。もうひとつ、皇太子ご成婚以来、すっかり皇太子妃雅子さまの影に隠れて、スポットライトのあたることのなかった秋篠宮紀子さまにとっても起死回生の大飛球であるのは間違いない。果たして逆転のホームランとなるのか、ファールとなるのか、だれにもわからないが大観衆を沸かしたのは事実で、知恵者がいればいるものだ。
 もともと皇室典範改正問題は皇太子のお子さま愛子さまが誕生し、雅子さまに次のお子さま誕生の見通しがないことから起きてきた。秋篠宮の出来があまり芳しくないこともあって、にわかに議論が沸騰し、女性、もしくは女系にも皇位継承を認めよう、との動きとなってきた。それが、今回の紀子さまご懐妊の兆候で一挙に吹き飛びそうな感じになってきた。
 ご懐妊の兆候は秋篠宮に伝えられるより早くマスコミに伝わり、号外まで出る異例の報道ぶり、となった。男子誕生となれば、皇位継承順位は皇太子、秋篠宮、に次いで3番目になる、といまにも誕生せんか、とばかりの熱気ですらある。紀子さも一躍時の人となり、逆に皇太子妃雅子さまとの形勢は逆転してしまった。
 だが、待ってほしい。秋篠宮の次女である佳子さまが懐妊、誕生した時には少なくともこんなには大騒ぎした記憶はない。皇太子のお子さま愛子さまが生まれたことが発端といえば、そyだが、それにしても今回の騒ぎ方は尋常ではない。出来の芳しくない秋篠宮のお子さまの出来も同じではなかろうか。基本は変わっていないのである。
 とはいえ、赤ちゃんが誕生するということは皇族であろうがなかろうが、明るい、おめでたい話である。不謹慎なことかもしれないが、仮に数カ月経ってから、「実は流産しました」と発表されても話題を提供した事実は残るし、だれも害を受ける人はいない。トリノオリンピック開幕まであと数日というこの絶好のタイミングで放たれた9回裏二死満塁2ストライク3ホールで放たれた大飛球がどうなるのか、だれもわからないが、知恵者「してやったり」とほくそ笑んでいるに違いない。
 そのせいか、昨8日の東証株価の日経平均は今年3番目の下げ、前日比448円31銭安の16272円68銭で引けた。米国の大幅安の影響と言われているが、案外ご懐妊の兆候の空騒ぎ(?)を見越してのことかもしれない。
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