鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

国宝物の灰皿

2006-02-05 | Weblog
 叔母が亡くなって,従兄弟が我が家がかつて喫茶店を経営していた時に3周年記念に配布した陶器の灰皿を送ってくれた。もう半世紀以上も前のもので、もちろん見た記憶はない。叔母が大事にとっておいてくれた訳で、亡くなる数カ月前に引越をし、荷物を整理していたら、出てきた、という。
なんと物持ちのいい叔母だ,本当に頭が下がる。
我が家の喫茶店は名古屋のJRの駅前に戦後まもなくの昭和20年代に開業した。いまはもうないが、当時としては戦後の世相を反映して、読まれることもない英語のLIFE誌やLook誌を置くなどモダンな経営手法をとっていた。コーヒーも米国仕込みなので、店内に米国の雰囲気をあふれさせようとしたのだろう。初詣でで有名な神社が近くにあったことから、正月などはかなりの客が入り,コーヒー一杯で30円の頃、1日で3万円売り上げたこともある。
だから3周年記念で灰皿など作り,お得意さんなどに配ったのだろう。洒落たデザインで店名のロゴが入っている。叔母は亡き母の姉にあたる。小さい時にはよく遊びに行き,泊まりもした親戚である。昨年亡父母の墓を作った折りにはお花でもと言って、お金を包んで、送ってくれた。よく気がつき、可愛がってもくれた叔母であった。
この灰皿を見ると、亡き父母と叔母を思い出す。もらう時には「家宝にします」と言ったものの、正直、見ると胸がつまってくる。
それでもこの灰皿が我が家の宝であるのは間違いない。日本全国どこを探してもこれと同じ物はない、と断言できる。テレビ東京の「なんでも鑑定団」に出品する気なんてさらさらないものの、鈍想愚感子にとっては父母、それに叔母の愛が詰まった”国宝”級の灰皿である、と誰に対しても威張って言える代物である。
コメント
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