鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

実力増す家電量販店

2006-02-03 | Weblog
 1日から東京・ビッグサイトで幕開けした省エネルギーの展示会「ENEX2006」を覗いたところ、東京電力、東京ガス、新日本石油、オムロンなどエネルギーに関連したお馴染みの企業のなかにヨドバシカメラ、ビッグカメラ、ヤマダ電機、上新電機のいわゆる大手家電量販店が出展していたのに驚いた。当然出展していていいはずの松下電器産業や、シャープなど家電メーカーの姿がみえなかっただけになおさら驚きであった。
 この展示会は経済産業省の外郭団体、省エネルギーセンターが毎年東京、大阪で開催しているもので、今回で30回目。恐らく出展料はただみたいなレベルで、出展する側としては小間の装飾費と人件費で、10小間(90平方メートル)で300万円から500万円くらい費用がかかる。ヨドバシカメラ、ビッグカメラ、ヤマダ電機、上新電機とも展示している内容は省エネタイプの家電製品を展示して、効果的な省エネ策をいかにとるか、をアピールしていた。
 大手家電量販店は年間売上高一兆円を超える規模にまでなっており、下手な家電メーカーより力をもっている。かつてスーパー、ダイエーが松下電器産業と販売価格をめぐって対立し、中内功対松下幸之助の闘いとしてもマスコミの話題となった。でもこの時は、最後はダイエーが松下の軍門に下り、ダイエーは結局家電販売から手を引き、凋落への道を辿ることになった。その後時代が代わって、台頭してきたのがヨドバシカメラを代表とする家電量販店勢だ。ダイエーが戦った当時は消費者の味方とはいいながら、マスで仕入れてマスで売るいわゆるマスセールだけが取り得だけで、価格支配力をもつには至らず、どうしてもメーカーには勝てなかった。
 ところが、いまや低価格を売り物とする家電量販店は販売力を背景に価格支配力を持ち始めている。昨秋、秋葉原にヨドバシカメラが出店した際に初日に25万人もの人がつめかけ、業界の度肝を抜いた。家電製品だけでなく、パソコン、カメラ、ソフトウェアまでとりそろえ、単なる家電量販店のワクを越えている。耐久消費財のスーパー店舗とでも称したらいいのかもしれない。家電製品の生産は中国はじめアジア各国に広がっているが、そのうちにヨドバシカメラブランドの耐久消費財が市場に出回り出すことだろう。一兆円という購買力は確実にそうしたことを可能にすることだろう。
 松下電器産業が昨日、06年3月期の営業利益と当初予想の3300億円から4000億円に上方修正した。昨年来の石油温風機による一酸化炭素中毒事故対策費240億円を費やしてもそれだけの収益が上がる、ということだが、それでも省エネルギー展「ENEX20006」には出展しなかった。たかが、展示会であるが、なにやら今後の趨勢を象徴する出来事に思えてならなかった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする