鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

庶民は強い?

2006-02-01 | Weblog
叔母が亡くなったので通夜、告別式のため名古屋へ帰った。亡き母の姉で、長生きしたといっても89歳、これといった病気もせず、死ぬ前の日までなんともなかった、というのだから大往生である。通夜の始まる前に会場に着き、安置され棺に入って、正装姿の遺体に直面し、お祈りしているうちに自然と涙がこぼれてきた。母によく似ていて、母を思い出させてきれたのと、よく可愛がってくれたのを改めて実感できたからのなのだろうか。自分でもこのあたりはよくわからない。これが愛する人を失った気持ちなのかもしれない。、この世の別れ、とはこんなにも悲しいものなのか、とも思った。小さい時からよく泊まりに行った一番親しい親戚の叔母であった。昨年、亡き父母のお墓を作った、と連絡したら、お花でもと言って供花料を送ってくれた心優しい叔母でもあった。叔母の遺言だから、と言って、喪主の従弟は香典を受け取らなかった。考えてみれば、すでに従弟も隠居の身で、香典をもらっても後のお返し等のことを考える、といっそ貰わない方がすっきりしる、という考えにもなることだろう。最近はそういうケースが増えている、ともいう。それで、会場を見渡してみると、肩書きのない名前だけの花輪が20本くらいと、これも肩書きのない名前だけのお供えが数個あるだけの簡素な祭壇まわりである。会社関係の仰々しい葬式を見慣れた目からすると、簡素でやや淋しい気もしないでもない。核家族化、高齢化の進展でこれからは本当に親しかった親類縁者だけの簡素な葬式が主流になっていくのかもしれない。
 通夜が終わり、翌日の告別式に備えて、宿をとることにし、会場に近くの宿泊施設の紹介をしたら、3つのホテルを示し、会場に一番近い、として「東横イン」を推薦してくれた。身障者用の駐車場設備の設計無断変更で問題ホテルとして、当局の摘発を受けているホテルである。一瞬「ええー」とは思ったが、葬儀場にも一番近く、ターミナル駅にも近い立地上の利点もあったので、迷わず予約して、行ってみた。ホテルに着いて、入り口に入ろう、とすると何やらテレビカメラクルーがいて、撮影していた。構わず「ままよ」とチェックインすると、料金はツインで8610円と驚くほど安い。部屋に入ると、ドアの正面にバストイレがあり、両面にベッドがある。寝ると、まるで、シングルみたいな感じにあるつくりで、ひょっとしたら、耐震偽装もしているのではなかろうか、とも思えてくる。
 夕刊も朝刊も毎日新聞と日本経済新聞は無料で自由にとれる。翌朝、1Fロビーでは朝食のおにぎりと味噌汁、それにコーヒーは無料のサービスである。もともとそういうサービスをしていたのか、今回不祥事を起こしたから無料サービスに切り替えたのかわからないが、宿泊料金は安いし、サービスはいいし、立地はいい、となれば利用しない手はない。
 朝のテレビでは昨日のテレビクルーが撮影していた風景を流し、朝刊で「東横イン不正改造、名古屋でも2件判明」とかなり大きめの記事で報道されていた。その渦中の当のホテルに宿泊していたのだから「アチャー」という気にはなるが、そうした気持ちとは裏腹に「そうはいっても安いし、便利だし」という気にもなる。経営者の記者会見での軽率な発言は言語道断であり、経営姿勢としてはけしからん、断固摘発すべきである。しかし、利用者としては別の話である。確かに朝食を摂っていると、結構若いビジネスマン、キャリアウーマンが利用しているようで、建築確認違反などどこのホテルのこと?、といった感じである。
 あんな経営者に的確なビジネスモデルが構築できるはずはない。恐らく経営総合研究所の内河健社長のようなコンサルタントが指導したうえで開業したのだろう。東横インという名前も誰もが東急グループの一員と思ういい命名だ。今後、叩けばもっともっとホコリが出てくることだろう。経営指導した告発側からすれば、叩く材料はいっぱいあるからだ。そうした経営指導に易々諾々と乗ってしまう経営者もだらしがない。恐らく、今回の摘発は耐震偽装問題で責められ、困っている関係者が問題の目をそらすため、めくらまし作戦として当局に告発したのだ、と思う。そうでなければ、こんなにタイミングよく出てくるはずがない。
 とはいうものの、都心の便利なところに、安くて、サービスのいいホテルあるのは大歓迎である。
 庶民感情と正義の士とは別物、としかいいようがない。
  
コメント
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