鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

社長解任

2006-02-07 | Weblog
 東証一部上場のセラミックコンデンサーメーカー、太陽誘電の社長が社費を使って宴会をした、ということで今月1日付けで取締役を退任した。わずか100万円程度の経費乱用で社長解任となったわけで、太陽誘電に一体何が起きたのか、話題となっている。百貨店の三越で82年9月22日に取引先との癒着と特別背任で当時の岡田茂社長が解任されたことや、96年7月31日に人材派遣大手のメイテックで社費で競走馬を購入した、として関口房朗社長がこれも解任され、新聞各紙で大きく報道されたことに比べるとスケールは小さいものの、経営に対する透明性を求める声が高まっている証拠、といえるのかもしれない。
 朝日新聞によると、太陽誘電の小林富次前社長は子会社の役員と昨年4月頃から8回にわたり、進出先の工業団地組合の責任者らと温泉宿に泊まり、コンパニオン同席の宴会を開いた。1回につき、社費で10数万から20数万円の支出があり、そのうち約100万円分が直接ビジネスと関係のない相手との交際だった、と認定れた、という。内部告発で監査役会が調査し、「不適切な支出」と判断した。
 太陽誘電は1950年に設立され、従業員2600人のれっきとした企業で、セラミックコンデンサーでは大手でもともと技術力と海外展開力には定評があった。ところが、ここ2年ばかり受注が低迷し、赤字決算が続いている。日頃の経営がどう行われていたのか、推測の域を出ないが、経営トップとして局面打開に適切な手を打ち得なかったのではなかろうか。しびれを切らしたメインバンクや取引先が経営者として見切りをつけた、というのが真相ではなかろうか。つまり、経営者としてのガバナビリティが問われた結果、経営者失格、と判定されたのだろう。本来、会社建て直しのため奔走しなければならない状況なのに呑気に気に入った部下を集めて宴会に耽っていれば、誰だって頭にくることだろう。
 昨秋、某マスコミの子会社の社長部下の女子社員にがセクハラ発言をした、との理由で引責辞任し、実質解任となった事件があった。これも聞けば、営業と称して交際費をかなりふんだんに使いまくっていたことや、前夜に深酒し、翌朝の会議を無断欠席したり、酒乱で前夜の発言の記憶が定かでないなど数々の減点があり、耐え切れなくなった役員陣が結託して引導を渡したという。この子会社は別に業績不振ではなかったが、このまま放置すれば、今後の経営に決定的なダメージを与えかねない、との判断から実質解任への運びとなった。
 企業というのは人と人との集まりで、上に立つ経営者は社会に貢献する事業の意義を社員に説き、利益を出して、会社を成長させていかなければならない使命を帯びている。そのトップ経営者が自らの悦楽、快楽だけを求めて行動するようなことがあってはまず社員からみ放なされてしまうだろう。経営者はまず何よりもクリーンでなければならない。でなければ企業の透明性は保たれないし、コンプライアンス(法令順守)のコーポレート・ガバナンスも徹底されないだろう。
 塀の中にいるホリエモンが断固、糾弾されなければならないのはこの点である。
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