鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

日米の差

2006-02-12 | Weblog
 毎日新聞によると、ニューヨークのブルームバーグ市長は勤務時間中にパソコンでトランプゲームをしていた男性職員を解雇した。日本ならそんな職員は全国どこの役所でもざらにいそうだが、これまで解雇され例は寡聞にして聞いたことがない。それだけ米国の社会の公務員を見る眼が厳しいのか、はたまた終身雇用でなく一年単位の契約で雇用関係が成り立っているので、簡単にクビを切り易い環境にあるのか。いずれにしろ、サラリーマンの世界も安閑として過ごせない状況になってきたようで、世のぐうたら亭主には格好の警鐘となりそうだ。
 毎日新聞によると、先月4日、ニューヨーク州オールバニにある市の行政機関を視察したブルームバーグ市長は事務職員のパソコンにゲームの画面が映っているのを発見した。その場ではなにも言わなかったが、あとで側近に指示し、解雇した、という。間近にニューヨーク市長の選挙でも予定されていて、ブルームバーグ市長が大向こう受けをならってのパーフォーマンスかもしれないが、それにしてもビックリである。件の職員の日頃の勤務状況についての報道がないので、なんとも言えないが、恐らく問題職員だったのだろう。どこの役所、企業でも就業規則なるものがあり、それには上司の許可を得ずに、勤務中に仕事に関係ないことをするのは違反であり、組織に迷惑、もしくは損害を与えた場合は解雇されても仕方がない、との項目がある。きっちり適用すれば、市長に目撃されただけで十分に解雇に値しよう。なによりも契約が優先する米国ではなおさらだ。
 翻って、日本で同じようなことがあった場合を考えると、なかなかこうはいかない。米国の単年契約で雇用契約を結ぶのと違って、終身雇用制を採っていることもあるが、勤務態度が不良だかrといって解雇するのはおいそれとはいかない。裁判で争っても多くの証拠、証言を揃えないと会社側はまず勝てない。かつて週刊誌がよく「お役人天国」とタイトルをつけて、全国各地の役所の職員がいかに仕事をしないか、を写真特集していたが、
米国の例に倣えば、即刻に解雇に値するケースがざらにあったように記憶している。
 昔、地方の県政記者クラブに詰めていた時に、新たに就任した県警本部長が挨拶に訪れ、記者クラブの扉を開けたところ、目の前で記者連中が賭けマージャンをしていて、卓の上に賭けの現金が散乱していて、まさに現行犯逮捕の瞬間であったことがある。件の県警本部長は平然と新任の挨拶を述べていたが、一瞬、お付きの職員や居並ぶ記者連中は驚愕の表情を浮かべ、どうなることやら、と不安げだった。しかし、話のわかる県警本部長と見えて、何事もなかったのように扉を閉めて立ち去ったので、一堂ホッと胸をなでおろした、ことがあった。若かりし頃の古き、良き(?)時代のいまとなっては笑い話だが、今、同じようんな状況が起きたら、一大スキャンダルに発展したに違いない。
 明治は遠きなりにけり、とは司馬遼太郎の言だった、と思うが、昔を懐かしむのはいいが、だからといっていまも同じように通用する、と思うのは大間違いだ。時代とともに変わるものがあり、そこを弁えておかないと、とんでもないことになる。
コメント
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