鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

王者ライオンを破った早稲田

2006-02-14 | Weblog
 早稲田大学が43回ラグビ^日本選手権で夜会人トップリーグ4位のトヨタ自動車を28対24で破った。大学チームが社会人ラグビーの上位チームを破ったのは実に18年ぶりのこと。しかも相手が世界の冠たるトヨタ自動車だけに価値があるというか、溜飲が下がる。日本一の高収益企業であり、会長が経団連会長を務め、日本の産業界を牛耳っているトヨタ自動車の鼻をあかしたのだから、面白い。トヨタ自動車の難波キャプテンは「言い訳なしの完敗」と語っていたようだが、心中は煮えくり返っているに違いない。会社に戻れば、冷たい目でみられ、監督辞任にすらなりかねないことだろう。
 テレビで観戦した試合は最初から早稲田が主導権を握る展開で、トヨタ自動車は反則を繰り返し、早稲田は立て続けにペナルティゴールを決めて、常にリードを保っていた。圧巻は前半中盤のトヨタ陣営にモールで押し込んでそのままトライとなった場面。戦前には善戦はするだろうが、ここまで圧倒するとは思わなかった。いつもなら、社会人チームがするようなことをやってのけたのだから、早稲田の清宮監督は凄い。
 それでもトヨタ自動車は巨漢の外人選手がボールを持って走ってトライした時は早稲田の選手は戦車に蹴散らされる兵隊のように彼我の差を見せつけられた。そんな場面が二回ほどあり、トヨタ側はまだまだ余裕を持って、選手はいつでも逆転できる、と思っているなと感じさせた。確か去年もこの同じ対戦で後半の半ば過ぎまで、互角に試合を進めたが、最後は28対9と圧倒的に差をつけられた。大柄な外人選手がトライするシーンを見て、昨年のことが頭をよぎった。
 ところが、今年は違った。前半のトヨタ自動車がスロースターターなのを見越して、多着々と得点を重ねたことが効を奏した。怒涛のように攻めてくるトヨタ自動車の押しを必死で守り、遂に4点の僅差で早稲田が逃げ切ったのだ。4点と1トライ以内の差とはいえ、勝ちは勝ち。
 トヨタ自動車の社内でラグビーがどのような位置ずけにあるのかわからないが、単に社会人リーグで優勝できず4位に終わったことと、今回の敗戦は全然違う。経済界に君臨するトヨタ自動車がたかがラグビーとはいえ、大学チームに破れるなんて恥ずかしい、との声が必ずや出てくることだろう。どうせトヨタ自動車のことだから、まずは監督の首をすげ替えて新しい監督に来年こそは日本一をめざせ、との指令が飛ばすだろう。
 そんな場面がすぐに思い浮かぶだけに今回の早稲田の勝利は痛快だ。近年はあまりにも社会人チームと学生チームの試合が一方的なので、日本選手権をやめてしまおう、との声が出ていたが、これでそうした声も出なくなることだろう。
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