弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

今度は弁護士が証人威迫罪で逮捕!!

2006年10月11日 | 経験談・感じたこと
同じ業界の人間として、ちょっと「う~ん…」と思ってしまうのですが、報道によると、某被告人の恐喝刑事事件を担当している刑事弁護人が、被害者に対し、某被告人が恐喝に関与していない旨供述するよう迫ったとのことです。

まぁ、確かに、某被告人は、恐喝事件について無罪主張を行っているようですので、弁護人としては被告人の意向に基づき、被告人に有利な証拠を求めて弁護活動をする必要があります。
従って、被告人に不利な発言をする被害者供述をつぶしていく(信用性がないことを証明する)という「立証活動」は必要になるのですが、それは、あくまでも刑事裁判の法廷で反対尋問という形で行うべき物であって、被害者に圧力をかけては意味がありません。

特に今回問題なのは、弁護士に認められている接見交通権(=被疑者・被告人と面談する権利)を濫用しているという点です。

刑事訴訟法では、弁護士は、被告人から正式に刑事弁護の依頼を受けていなくても、「刑事弁護人になろうとする者」という資格で接見することが出来るようになっています(厳密には、刑事訴訟法では「被告人・被疑者が弁護人を選任しようとする場合」とされていますが、実際には、被告人・被疑者は弁護人を選任する権利がある以上、弁護士が申し出れば、接見が出来ることになっています)。
本件は、被害者も別件で逮捕拘留中だったようで、上記弁護士は、「弁護人になろうとする者」ということで、接見を申し出て、接見中に、恐喝事件について供述を迫ったようです。

刑事弁護に熱心すぎて…という一言では済まされない事件だと思います。


関連するニュースへのリンク
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006101101000232.html

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