北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

最後の眠れる観光資源

2006-09-04 23:15:35 | Weblog
 今日から職場はエアコンが入りません。窓を開けると十分に涼しくなりました。過ごしやすい季節になって、年度後半の仕事の仕込みをしなくては。

【眠れる観光資源】
 年度の後半に向かって仕事の態勢を整えているときです。

 話が観光に及んで、今後我が組織として観光をどのように支えて行くか、ということが話題になりました。

 「観光」という二文字は、霞ヶ関的に言うと国土交通省観光部の系列の仕事ということになっていて、その他の官庁は所掌出来ないというのが役割分担のルールです。

 公共事業を所管する我々としては「観光」振興や「観光」業界の支援などはできないのですが、「地域振興」や「観光社会資本の整備」ならできるという、ある意味では役人的なとらえ方をしながら、地域にとって役に立つ仕事をしたいと思っているのです。

 さて、まともに観光を扱えない私たちですが、そこで私が述べたのは「社会資本形成過程の観光資源化の可能性」という話です。

 随分難しい言い方をしましたが、要は「工事現場って観光資源にならないのかな?」ということです。 

 私も「他と違う事こそ観光資源になる」といつもは地域の皆さんに説いていて、「地元が見慣れてしまって、『こんなもの』と捨ててしまっている事の中にこそ他と差別化出来る要素が含まれている」と言い続けているはずです。

 その私たちが一番見慣れていて、「こんなもの」と思っているのが工事現場なのではないでしょうか。工事など見た事もない人にとって、大型機械が動いたり、営々と積み上げた土木技術の粋が小さな機械にこめられていたりすることを知るということには、たくさんの「びっくり」が詰まっています。

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 既に、少しは話題になった工事現場もあります。知床の国道334号では、冬期間通行止めの知床峠を開通させるために雪が最大6mも積もっているところにロータリー車を始めとする除雪機械を投入して春先の交通を確保します。

 この最大6mという直角の雪壁の間を歩いて独特の風景や知床の自然の厳しさを味わうという実験ツアーが人気を呼んでいます。

 道路は通れればよい、ということだけではなく、通れるようにする努力や工夫、その生の姿は面白い観光資源になる可能性があります。

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 札幌でも除雪の姿を観光資源化するという試みがなされましたが、特に南国で雪のない外国人の人たちなどは、雪だけで珍しがるものなのに、それを大型機械で除雪する姿などというのは初めて見る事でしょう。

 バックホウのような建設機械であれば世界中どこにでも目にする事はありますが、除雪のためだけのロータリー車などは雪をはね飛ばすためだけの機械であり、雪のためにつくられたロボットとも言えるでしょう。

 以前中国の瀋陽とハルピンへ出張したときに、現地で20センチほどの雪に降られたのですが、そこではとにかく作業員がたくさん出て人力で雪をはねて車に積むという作業を目にしました。
 ここには日本の除雪作業車のようなものはなかったのです。

 日本の北海道だけでしかみられないというものには観光資源になりうる要素があるということです。

 この考えを押し進めると、我々が見慣れている工事現場の中にも普通の人には物珍しい要素がたくさん詰まっているのではないでしょうか。

 トンネルや橋など、技術の粋を集めたものには知恵がたくさん詰まっているはずです。そこに自信と誇りと珍しさを見出して観光資源にできないものでしょうか。

 私たちが見逃している最後の資源はそこにあるのかもしれません。現場の安全や工程管理と、観光資源化が上手に折り合いをつけられるようなことにならないものでしょうか。

コメント (3)
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