北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

開発セミナーで地域通貨を考える

2006-09-07 23:21:57 | Weblog
 朝は雨でも夜はすっきりして満月がきれいです。今日の深夜遅くに部分月食があるとのことですが、さすがに起きてはいられません。

 旧暦八月十五日は仲秋の名月ですが、これは旧暦七月を初秋、八月を仲秋、九月を晩秋というなかで、八月十五日の満月を指す言葉です。今年の十五夜は新暦では十月六日です。ちょっと時期が遅いかな。

【地域通貨を学ぶ】
 月曜日のことでしたが、職場で開発セミナーという勉強会の機会があって、そこで北大の西部忠(まこと)先生から地域通貨についてお話を聞く事が出来ました。

 地域通貨については少しブームになりかけていた掛川時代にも、「やりませんか」という声を何人かから聞いたのですが、そういう方に「なんのためにやるのですか?」と訊くと、必ずしもはっきりした答えが返ってくる事がなくて、どうもスッキリしないイメージを抱いていました。

 それはある人は、地域内でしか使えないお金で品物やサービスを交換する事で、経済を域外に出さず地域内で循環させるためだ、と言い、そのことで地域内の経済効果が増すのだ、ということを言います。

 またある人は、ボランティアをタダではなくてお金の形にしてみせて、自分が出来る事を人にしてもらいたい事と交換する手段として地域通貨を使うのだ、と言います。

 この両方についてどう理解したらよいのか、ということがずっと疑問だったのです。

 今日の西部先生の講演では、まずその点について「地域通貨は貨幣的な『経済メディア』と言語的な『社会・文化メディア』の二つの側面を併せ持つ統合型のコミュニケーション・メディアなのです」としっかりと位置づけられました。

 そして、上手に扱う事で地域経済の振興・活性化という経済的目的と、地域コミュニティの保全・創造という社会・文化的目的を同時に達成する事が出来るのだとおっしゃいます。

 ただし、各地で行われている地域通貨がこの両方の側面をどの程度含むものかがシステムのタイプや導入するコミュニティによって異なり、いろいろな姿を見せるのだともおっしゃいます。また、唯一絶対のやり方がなく、それぞれがいろいろな形のものを試しているところでもあり、バリエーションに富んだスタイルのものが見られるのが現状なのです。

 地域通貨の経済的側面の一つとしては、「あまりもちたくない」という要素もあるのだと言います。それは貨幣については、我々はそれを使うためではなくただ持つ事で単なる「金持ち願望」を満たすという機能も持っているために、預貯金をしてしまって動かないお金になるという面を持っているという事です。
 お金は使う事で経済の流動性を高め、経済が活発化すると言われていますが、投資もせずにただ持つ事で満足する単なる金持ち願望は経済のブレーキになるのです。

 その点、地域通貨は有効期限があったり、使途に制限があったり、なにしろインチキ臭いということからもらった人がいつまでも持っている事が心地よくないということから、すぐに手放したくなる傾向があって、それが経済の活性化に繋がるだろうという期待があるのです。

 しかし、ボランティアなどに限定されるとボランティアを積極的にする人はどんどん貯まるものの、使い道がなくて結局その人に貯まってお終いということになりがちですし、やはり参加者が少ないというのが悩みの種になります。

 西部先生は北海道の苫前町での実験に深く関わっておられ、地域全体のなかで商品券としても使える機能を強化し、地域通貨の使われるて行く道筋を把握する事で、地域のなかの経済の動きが分かるようになってきたとおっしゃいます。

 国では「紙幣類似証券取締法」というのがあるそうで、これによりいくつかの条件をクリアすれば地域通貨として使って良いという見解を示しています。国自身も地域が自ら社会実験を行う事に対して総論では推進する立場であり、次第に拡大の機運もありそうです。

 私は個人的には、現実として市民や商店の皆が皆意欲的ではないので市民全体が参加出来ないことや、地域通貨の費用や情熱が冷めるととたんにうまく行かなくなるとことで、都市規模での導入にはやや懐疑的なのですが、過疎に悩む地域が住民と商店が一体となって取り組むまちづくりの実践活動としては面白いのかも知れないと思うようになりました。

 合併しない宣言で有名な福島県の矢祭町では、地域通貨で税金も払えるようにするとか。小さな町の歯を食いしばるようなまちづくりのツールとしての成果にも期待してみたいと思います。

 地域通貨はネーミングも面白いので、軽ノリの遊び半分的な要素も見逃せないのですがね。
 
コメント
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