北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

第13回幌加内新そば祭りで打つ!

2006-09-03 23:44:58 | Weblog
 昨日今日と、幌加内では新そば祭りが開かれています。今日も快晴で、お客さんがたくさん来そうです。

【幌加内町の新そば祭り】
 昨日と今日の二日間は、幌加内町の新そば祭りです。

 この祭りでは、道内有名そば愛好会は勿論のこと、内地の名のある蕎麦処から多くの愛好会が集まってきて、それぞれが蕎麦の販売ブースを開いてお客さんに新そばを食べさせるのが人気となっているのです。

 私は例年、「北海道蕎麦研究会(通称:蕎麦研)」としてこのイベントに参加して、この賑わいを楽しんでいます。昨年は土曜日の朝から駆けつけて、現地に一泊して土曜日と日曜日にまたがって蕎麦の販売を手伝ったのでした。

 今年は昨日が参加できなかったために、今日の朝から参加することとしました。朝2時半に起きて、3時に家を出発したので、現地には5時半に到着することができました。

 現地に5時半に着いてみると、もう蕎麦研の仲間の皆さんが起きていて、温かい蕎麦用の汁を学校給食用の大きな鍋で作っている最中でした。

「お早うございます」
「お、久しぶり、早いね」

「いやあ、僕にとってはたくさんの知り合いに一遍に会える機会なので同窓会みたいに楽しみにしているんですよ」
「それはいいや、今日もよろしくね」

 こんな会話をしながら、互いの仕事や職場が全く関係ない人達が「蕎麦を打つ、食べさせる」という一つの目的で集まって、協力し合ってイベントを成功させるということが実に面白いことなのです。

 わが蕎麦研は、例年天ぷら蕎麦に力を入れていて、今日も大きなエビを会場で揚げながら提供するという本格的な準備をしていました。蕎麦研の会長は現役のプロのお蕎麦屋さんのご主人なので、天ぷらの揚げ方指導はまさにプロの技。エビ天のコロモに花をつける技には感心しました。

「ええっと、こちらにはたくさんいるようなので、少し打たせてもらって良いですか?」
「良いですとも、じゃんじゃん打ってくださいな。今何人か行っていますから手伝ってください」
 なんといっても、こういうイベントの会場で嬉しいのは1kg以上の大玉と呼ばれるようなたくさんの量の蕎麦を打てることです。

 大体において粉ものは100gが一人前といいますから、家では1kgなど打っても絶対に食べきれる量ではありません。食べるだけなら5~600gもあれば良いので、家では大玉を打つ練習ができないか、打ってみても残りは棄てるという悲しいことになります。

 それがこういうイベントでは1.5~2kgの大玉を、それも何個も打つ練習ができるというのですからたまりません。失敗を恐れずに練習できる格好の機会なのです。

 蕎麦打ち会場の体育館には、参加している各団体がみな一角に自分たちののし板やらこね鉢などを広げてもう戦争状態で蕎麦を打っています。

 ところが我が蕎麦研は、と言えば、粉を練って玉にする人が一人と、打ち手が一人と、なんともしょぼい体制でほそぼそと蕎麦を打っています。

(え~、これじゃお客さんが来始めるとすぐに蕎麦がなくなってしまう)という状態です。そこで慌てて緊急参戦して、1.5kgの玉で蕎麦を打ち始めました。

 1.5kgなんて大玉は久しぶりなので、最初は少し乱れもありましたが、やがて慣れて来ました。やはり蕎麦イベントの裏方は良い練習になるのです。 

 やがて押っ取り刀で何人かの打ち手が登場してきましたが、スタートダッシュが遅いために、蕎麦がなかなか打ち上がりません。

 もともとこういう大量消費型の蕎麦イベントでは、粉をこねて玉にする人と伸して切る人を分けて作業をするのが効率的です。やっと9時過ぎから水回し専門の人が来てくれて、そこからは玉がドンドンできてくるのですが、打ち手が少ないために皆休み無く打たなくてはなりません。だんだんしんどくなってきた~。

 昼ご飯もまかない食の俵おにぎりを2個ほど頬張りながら、どんどんどんどん蕎麦を機械のように打ちまくります。うーむ、だんだん腰が痛くなってきた~。

 途中からは「一度に1.5kgじゃ時間がもったいない」ということで、玉の大きさを2kgに増量。次第に「お客さんが待ってるけど、蕎麦がない!早くして~!」という、現場からの悲痛な声が聞こえてくるようになりました。

 こちらも必死に打つのですが、いかんせん作業時間の限界があります。とうとう、今日の私は、朝6時から午後3時までの間に1.5kg×6玉+2kg玉×4玉=17kgを打ちあげました。
最後は腰が痛いのをこらえていましたが、それを超えるともう腰が痛いのも忘れて打ち続ける蕎麦打ちマシンになりきっていました。

 本当に久々に腹一杯打った~!という感じがして、最高の気分でした。あー、スカッとした。

    *   *   *   * 

 おかげで会場で催されているいろいろなイベントには全く顔を出せず仕舞いでした。ご夫婦で遊びに来ていた知人のSさんは、「名人戦を見てきましたけど、歴戦の強者の参加者の手が震えていたりして、緊張感が漂っていましたよ。今年は名人は該当者なしという審査委員の発表があって、会場からどよめきが起きていましたよ。委員長が『皆さん確かに上手です。しかし、これが名人だ、というオーラが感じられなかった』と言っていましたよ」と教えてくれました。

 昔からの蕎麦打ちの知人は「最近は出てくる顔ぶれが変わったね。ちょっと前なら『ああ、あの人か』と分かっていたけれど、最近は『あの上手な人は誰だろう』と思うようになったもの」と言っていました。

 次々に新しい人材が登場してくるのは、古くからこの世界を支えたり楽しんでいたものからすると、寂しいような追われ追い越される怖さがあるかもしれません。
 しかし、新たな参加者が増えるというのは活気があって良い事です。先人たる者、単に長くやっているから上手というだけではなく、「その人を見たい、その人に会いたい」という独特の世界を持つ事で一目置かれる存在になりたいものです。

    *   *   *   * 

 蕎麦を打つ様子を見に来ていた一般のお客さんと話をしていると、一人で3~4杯は食べている様子。何店舗も出店していましたが、来場者が一人で数杯も食べるのでは、出す方も必死に打たなくてはならないわけです。

 今日の蕎麦研は全部で750食を売り上げたそうですが、現場では「あれで750食かい、1000人は来たと思ったな~」という感覚なのだそうです。。

 天気が良くて千客万来で良かったですね。

 蕎麦研では、この次は16~18日で札幌さとランドでの出店、24日は浦臼町で鶴沼祭り、30~10月1日は滝野公園での蕎麦打ちが予定されています。
 
 秋は新蕎麦の季節。北海道は蕎麦の島、地元の食材である蕎麦をもっと食べてくださいな。
コメント
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