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「田中氏道中記」を読む 3


裏の畑のアジサイ
早々と梅雨も明けて、アジサイの季節は終わってしまった

「田中氏道中記」の解読を続ける。

  五日泊、晴、暖
      大野
有川より大野まで二里、道よし。東西広

野あり。大野、家数弐百軒余、在る躰(てい)なり。
梨、李(すもも)など多し。この日、暖かにて、毛織縫い包(くる)
み脱ぐ、残念。この日、在々馬持ちの者ども、勝手に
乗り競う、所々にあり。大野にも銘々乗り居り。右
の処、只一騎、先駆け乘り込み、馬術の心なく
恥入り候えども、只管(ひたすら)走らせ、宿へ着く。追々、跡(あと)人数、
着の上、咄(はな)し合う。一同一笑致し候。

  六日昼、晴
      宿野辺
※ 宿野辺(しゅくのべ)➜ 現、茅部郡森町字駒ケ岳。
大野より四里、この間に峠二つあり。雨天なれ
ば上り道にて難処(なんしょ)。峠下に大沼、小沼あり。
海に続き、秋味(あきあじ)とれるよし。この節、鯡(にしん)の干物(ひもの)
※ 秋味(あきあじ)➜北海道や東北で、秋に産卵のため川をのぼってくるサケ。
も見ゆ。左右、木立原、高山あり。駒嶽(こまがだけ)、また

佐原嶽というよし昼処一軒家にて、大
※ 佐原嶽(さはらだけ)➜ 現在、駒ケ岳の三つのピーク、剣ヶ峯、砂原岳、隅田盛にその名が残る。
野より弁当持参の処、甚(はなは)麁茶(そちゃ)、ここ
※ 麁茶(そちゃ)➜ 粗茶。
にて豆腐汁あり。これにて支度
※ 支度(したく)➜ 食事をすること。

(つづく)

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