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「田中氏道中記」を読む 4


裏の畑のクササンタンカ

「田中氏道中記」の解読を続ける。

  六日泊、晴
      鷲の木
宿野辺より鷲の木まで四里十八丁。この間、
※ 鷲の木(わしのき)➜ 現、茅部郡森町字鷲ノ木町。
道至極よし。馬場のごとし。左右木立
原、追分あり。右は佐原、左は鷲の木道。
山上に桜満開。駒止めて空見る。山の桜
かな。それより海岸へ出、森村あり。蝦夷(えぞ)家交じり、
所々蝦夷見ゆ。男は髭を長くし、女は口の
ぐるり突きあざ致し候。海岸通り鯡(にしん)煮立て、油を
取り、右殻を海岸通り一面に干し立て、その臭気
強絶(きょうぜつ)、これには一同困り候。これより段々右の通り。
※ 強絶(きょうぜつ)➜ 他をはるかに超えて強い事。
鷲の木は家数七拾軒、蝦夷(えぞ)家も入り組み会う
処、大家(たいか)なり。至極よろしく、膳(ぜん)・器(うつわ)、もっともよし。
※ 大家(たいか)➜ 大きな家。りっぱな家屋。

  五月七日昼食、晴
      落し部
鷲の木より落し部まで、海岸通り。所々乱(みだ)る処
※ 落し部(おとしべ)➜ 現、二海郡八雲町落部。
なり。馬にてよし。同村人家七拾軒位、昼
食所よし。今年七部通りの漁という。川あり。
馬にて相渡る。歩行(ほこう)立ては舟にて渡る。

  七日泊、晴。八日逗留、晴
      ユヲ井(由追)
ヤムクシナイ(山越内)泊の処、仙台の人数、同処逗
※ 山越内(やまこしない)➜ かつてここに蝦夷と別ける関所があった。
留に付、ここに止宿(ししゅく)。人家四軒、至って悪し。鯡(にしん)
の匂い甚し。何しも、用いる人馬、差支えにて、一日
逗留。海岸なり。

(つづき)

読書:「下町やぶさか診療所 沖縄から来た娘」 池永陽 著
読書:「三つ巴 新酔いどれ小籐次 20」 佐伯泰英 著

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