goo

事実証談 神霊部(上) 31、32 社木を薪として家を焼失した祟り

(第31話、山名郡大原村の水神社)

二日間、ブログの書き込みを休んだ。理由は7、8、9日と2泊3日で故郷へ墓参に帰っていたためである。ネット環境が整えなくて書き込みを休んでしまった。帰郷の話はまた日を改めて書き込もうと思うが、今日は7時間ほど車を運転しっぱなしで疲労困憊して、事実証談の31話、32話の紹介で書き込みに変えようと思う。この2話は社木を薪として燃やした崇りで、自宅を焼失した話である。

第31話
山名郡大原村、市三郎という者、文化三年、同郡大和田水神社の社木を、伐り取り薪にせし崇りにこそ有りつらめ、その年の十一月晦(みそか)頃、思いがけざる所より出火して焼失せし故、兄の家に移り同居してありしに、又十二月晦頃、兄の家も焼失して頼み拠るべき住所なきにより、とかくして己が家を造りて有りけるに、又翌年の正月、屋根の上に出火せしを見付けて打ち消したりしに、又二月の末の頃、出火してその家も焼失しかば、今は家作して住むべき力もなくて、こゝかしこの寺院によりて有りしと言えり。

第32話
長上郡美薗庄、住吉社の祠官、文化四年の冬、社木三本伐り取り、薪とせしを、翌年正月の初め、月役にて有りし女、誤りて別屋(これは国の慣わしにて、月役の女は火を忌み憚りて、別屋にて炊(かしき)するなり)の薪とせし事有りし故にや、二月三日、その家に積み置きし書籍の中より出火し、畳へ焼け抜けしを見付けて打ち消しけるに、また同月六日、庇より出火して神棚に焼け抜け、それより遠く、次の間、襖、障子まで焼け通りたるを打ち消しけるに、怪しくも丸く焼け抜けしさま、大筒にて打ち抜きし如く、自然と焼け抜けし様にはあらざりしと言えり。

また三日ばかり過ぎし頃、いづくよりか、烏(からす)火をくわえ来りて、外庭に寄せ置くる籾糠の中に入れしを見付けて、いとゞ怪しみ、これた只事にあらじと、その村挙(こぞ)りて、凶事を祝い直さんとて、二月十九日よりその年の正月事始めとせんとて、改め祝い、同廿一日、昼九つ時の頃、天竜川に出で、身そぎして有りし程に、ある家の二階より出火して、その辺、四十五軒焼失せしが、かの祠官の家はその時に免れしかども、三月廿日頃に至りて、雪隠、馬屋ばかり焼失せり。
※ 籾糠(もみぬか)- 籾米の外皮。もみがら。

これ等は穢れたる火に社木を焚(た)きし崇りなるべければ、慎み恐るべき事になん有りける。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )