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事実証談 神霊部(上) 33~35 さらに社木を伐って崇られた話

(豊田郡虫生村、熊野神社)

この暑さは何時まで続くのか。まだ二週間くらいはアラフォーの最高気温が続くのだろうか。当地は昨日、今日と昼間は暑くてクーラーのお世話にならずにはおれなかったが、夜は涼しく感じられるようになった。今夜から明日の未明にかけて、ペルセウス座流星群が見られるというので、先ほど外へ出てみた。今日の月齢は5.2、月も西に沈んで、暗いはずの星空が随分明るく、カシオペアのある北東の空は星が数えるほどしか見えない。これでは流星群も見えそうにない。ブログを書き終わったらもう一度見に出てみよう。

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事実証談 神霊部(上)第33話から第35話までは、社木を伐って崇られた話で、乱心自害したり(第33話)、疫病死したり(第34話)と、崇りは往昔の人々には恐ろしいことだったと思う。そんな崇る社木の中には、貉(むじな)を祭った社もあると、貉社の謂れを紹介したのが、第35話である。

第33話
豊田郡池田庄、諏訪社の鍵取、大橋家の祖父、元文年中、社木残りなく伐り取りて、その代りとして、杉木二本植たりしを、また天明年中、嫡男家作せんとて、かの二本の杉木を伐り取り、一本は大黒柱となし、一本は勝手方の柱として、家作をなしけるに、移福(わたまし)の夜、その家鳴動せし故、地震かと驚きて、隣家に問えども、地震ならずと言いける故、いたく怪しみしに、それよりかの嫡男乱心し、ただ自滅せん事をのみなしける故、番人をして守らしめしに、ある夜、密かに剃刀を出し自害せんとて、その箱を落したる物音に驚き、見付けて奪い取り、いよ/\厳しく守り居たりしを、昼夜の事にて、番する者も労(つか)れて眠りし隙(ひま)を窺い、忍び出で、その家の門先なる松が枝にて、縊死(くびれし)せしとなん。
※ 移福(わたまし、渡座)- 転居。引っ越し。

第34話
豊田郡虫生村、熊野権現社の社木を、同村庄屋善兵衛という者と、長勝と言える杣人と両人して、天明八年の頃、伐りたりしかば、それより両人の家にのみ疫病起りしによりて、神の崇りならんとて、かの社に苗木を移し植え、祈願せしかば、疫病の気、鎮まりしかど、かの善兵衛は疫病にて死せしと言えり。

第35話
同郡中部村に貉(むじな)社とて、いさゝかなる小祠有りけるが、その辺の木は枝葉にても薪とする時は必ず崇り有りと言えり。同村半次郎、儀八という老人に、如何なる由にて貉を祭しと尋ねけるに、往昔、貉を打ち殺せしが、崇りし故、神とは祭りしに、その霊、今に崇りある事、怪しき事なりと言いしが、かの両人も昔より言い伝えのみにて、神と祭りし事は何時の頃とは知らずと言えり。かゝる獣(けだもの)を祭りし小祠にても、崇りあれば、すべて山方にて山神、また社子神(しゃぐじ)などいう所には小祠とても無けれども、その辺の木を伐りて怪我する事の多きは、皆神の崇りなるべし。
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