ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

麻生太郎氏の講演再び2

2008-05-17 08:40:08 | 時事
(麻生太郎氏の講演大要の続き)

 今、日本に5回目の変化が来つつある。それは1990年代に始まった。
 まず冷戦が終わった。米ソ二極の冷戦が終わった。
 日本は第1次欧州大戦で戦勝国側に立っていた。しかし、それを正しく理解していなかった。そのため、1945年8月15日には敗戦国となっていた。時代の波を読みきれなかった。それは明らかに先見の明の不足であった。今回も冷戦が終わったということをきちんと把握していないとえらい目にあう。
 次に、近代工業化を成し遂げた日本は、工業化のトップに立った。しかし、情報化社会に変わっていった変化に対応したか。残念ながら、対応し切れなかった。大いに遅れた。E-Japanで少なくともブロードバンドでは世界最速になっているが、高齢者は携帯を使えていない。高齢者は、インターネットもメールも使えない。猛烈な勢いの変化に対応し切れていない。
 三つ目は、戦後数々の不況をやってきたが、デフレはやったことがない。高橋是清の時のみ。世界的にはフーバー大統領のウオールストリートの恐慌の時のみ。しかし、日本は1992年から間違いなくデフレになった。大失態があった。総量規制で、大暴落した。8割暴落した。日本は土地本位制だ。金融は土地にしか金を貸さない。100万円の土地なら7がけで70万円借りられたのが、土地が20万円に暴落したから、14万円しか借りられなくなった。経営者は対応できない。黒字でも倒産した。資金繰りがつかないからだ。黒字倒産という。
 自殺者が年間3万人いる。先進国で! おかしいよ。
 もう一つは、少子高齢化が来た。過去に全く例がない。
こういう四つの大変化がまとめて1990年以降に来た。これに対応する薬、対処法は、歴史から全く学べない。

 しかし、申し上げたいのは最初のこと。日本は過去の4回の変化において立ち直ってきた。それが日本の底力だ。
 石油ショックの時、日本はもうだめだといわれた。ドルが360円から240円になった時、もうだめだといわれた。1ドル80円になったこともある。それでも日本は繁栄してきた。日本はそれだけの力をつけてきたのだ。
 では、何が日本人のもとになっているか。日本の底力は何か。
 私は、一番は勤労だと思う。働くということの価値観、勤労の美学。これが他国と違うと思う。
 私は若い時、シエラレオネに2年、ブラジルに1年住んでいたことがある。その時、イギリス人が現地の人と一緒に働くのを見たことがない。ブラジルでもアメリカ人が、現地の人と一緒に働いているのを見たことがない。
 アフリカはヨーロッパ、中南米はアメリカ、アジアは日本が抑えた。やったことはほぼ同じ。技術を移転し、資本を投下した。その中でアジアだけが発展した。シンガポールは、一時イギリスの個人所得を超えた。
 どうしてか。日本人だけが現地に行って、現地の人と一緒に働いて見せた。それが理由だと思う。
 どの工場に行っても、必ず現地で額に汗を流し、手を油にまみれて働いているオッサンがいる。アフリカの鋳物工場に行くと、オジサンがいて、どこから来たかと聴くと、川口から来たという。埼玉県の川口から来ている。
 日本と付き合うほうがもうかる。金になるということが、わかった。一番付き合ってるのが、台湾。次が韓国、3番がシンガポール、4番が香港。その順に発展している。ミニドラゴンといわれた。
 我々の方にはそういう意識は全くない。結果として、日本と付き合うともうかるわかったのが、華僑の人たちだった。それで、タイやマレーシア等も日本と付き合うようになって、発展してきた。インドネシアもそう。一番遅れたのが、フィリピンだ。

(次回に続く)