ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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人種差別12~抗議デモの要求がエスカレート

2020-08-29 08:36:20 | 国際関係
●抗議デモの要求がエスカレートしている

 ミネアポリス白人警官黒人殺害事件をきっかけにした抗議運動は、一部が過激化・極端化している。抗議デモは、当初、人種差別に反対する「黒人の命は大切」(Black Lives Matter)というスローガンの下、暴力を振るった警官の厳正な処分や事件の再発防止に向けた警察改革を要求していた。黒人殺害事件を機に、警察官の行動規範改革や黒人差別の改善を求めるのは、正当な運動である。
 ところが、抗議運動は途中から、正当な要求から大きく逸脱し、「警察解体」や「警察の予算削減」が主な目標になりつつある。これらは、アメリカの極左翼や黒人武装組織が宿願としてきた目標である。警察組織を解体しないまでも、予算を削減するならば、雇用できる警察官の人数が減ったり、警備に必要な器具・機械等の質と量が低下する。
 事件の発生地・ミネアポリス市は、中西部の最北に位置するミネソタ州にある。カナダに近く、白人が多数を占める。黒人が多い南部の州の町ではない。地域経済の中心都市で、貧困が支配する町ではない。そういう都市で警察解体という極端な動きが高まってしまうところに、現在の米国の根深い病がある。
 同市の市議会では、議員7割弱が警察解体に賛成し、市長の拒否権を覆せる賛成数ゆえ、警察解体が実現可能性を持っているようである。市長が民主党、13人の市会議員中12人が民主党、1人が緑の党であり、共和党の市議は一人もいない。ミネソタ州では、民主党最左派で女性イスラーム教徒のイルハン・オマールが連邦下院議員に選出されている。このようにリベラル勢力が非常に強い地域だからこその警察解体の動きも見られる。
 ミネアポリスでの事件の後、南部ジョージア州のアトランタで、警察に従わずに逃亡を試みた黒人犯に銃を放って死亡させた警官が懲戒免職になり、重罪で告発された。6月12日夜、通報によって現場に着いたアトランタ市警の警官が黒人男性の飲酒運転を摘発しようと飲酒検査をした。基準値以上のアルコールが検出されたため、拘束しようとしたが、黒人男性が抵抗したため、スタンガンの一種「テーザー銃」を取り出して鎮圧を試みた。だが、黒人男性は警官からスタンガンを奪って逃走した。警官が追いかけると、黒人男性が振り返ってスタンガンを撃ったため、警官が発砲し、黒人男性は死亡した。翌日、市長は市警察署長が辞任すると発表した。事態の拡大を恐れての辞任だろう。
 似たような動きが米国各地に広がりつつある。これによって警官の職務モラルの是正が促進されるだろうが、その反面、警官が犯罪の取り締まりの手を緩めて、市民の抗議や市当局による処分を受けないように保身に走る恐れもある。
 わが国には、大東亜戦争の敗戦後、占領下で警察が機能しなくなった時期があった。三国人の一部が暴れまわり、土地の強奪、強盗、婦女暴行等が横行した。警察が取り締まれない状況で、対抗暴力をふるったのが、いわゆる暴力団だった。治安機構が機能しない状況では、暴力には実力で身を守るしかない。しかし、民間暴力は新たな問題を生む。闇社会の成長である。ギャングの横行は、警察の過剰警備以上の問題になるだろう。
 もう一つ、アナーキーな状況を積極的に作り出し、それを自らの目的に利用しようとする者たちがいることにも注意しなければならない。政治権力を奪取するために暴力を正当化し、革命を起こそうとする勢力である。革命運動は、しばしば無頼の徒の振る舞いと区別がつかない破壊・強奪・放火から始まるものである。

 次回に続く。

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