ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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改憲論7~武力、兵力、戦力、実力

2018-05-10 11:12:30 | 憲法
(9)力とは何か

 戦力、武力、実力等の概念は、それぞれ何を意味するのか。
 日本国憲法は、武力以外に戦力という言葉を用いている。またわが国の政府は実力という言葉も用いている。これらは、どれも力の概念に基づく言葉である。
 力とは何か。力は、物事を生起させる原因に係る概念である。日常的な言語では、目には見えないが人やものに作用し、何らかの影響をもたらすものを、力という。
 力とはまず身体的な力である。その典型が腕力である。腕の動きは、押す、掴む、殴る、奪う、投げる等、直接相手の身体に働きかける。その働きを力の観念でとらえたものが、腕力である。
 力とはまた物理的な力である。自然界の風や水等の動きや火・光等の働きを、力の概念でとらえることができる。人間においては、人間が自然の事物や仕組みを利用して作る道具は、手や腕の延長である。道具は、身体的な力を物理的な力に変える。道具が複雑な機構を持つ様になったものが、機械である。機械に動力を加えることにより、人間はさらに大きな物理的な力を生み出すことができる。
 力とはまた社会的な力である。人間は集団生活を送る動物であり、集団の行為によって、身体的・物理的な力は社会的に組織された力となる。こうした社会的な力が、武力、戦力、実力等における力である。

(10)武力と兵力

 (2)の戦争の項目に書いたように、武力は「軍隊の力。兵力」(広辞苑等)である。武力は、国家が有するものに限らない。国家以外も武力を持ち得る。民間の自治組織や独立を目指す組織、反政府組織等である。また武力を発揮するものは、軍隊とは限らない。武力の発揮を目的として組織された集団であれば、それを軍隊と見なすかどうかに関わらず、武力の担い手となる。
 武力に似た言葉に兵力がある。兵力は、武力より具体的に定義される。広辞苑は、兵力を「軍隊の力。戦闘力。兵員数・軍艦数・兵器数の総体の力」とする。デジタル大辞泉は、「1兵員数・兵器数などの総合力。戦闘力」「2 国際法上、戦闘に従事できる資格を有する人々の集団」と定義する。日本大百科全書(ニッポニカ)は、さらに詳しく「広くは兵員のみならず兵器、軍艦、航空機などの性能や数量から引き出される直接戦闘力をさすが、国際法上は交戦資格を有する人々の集団を意味する」と説明している。
 ここで国際法上、「戦闘に従事する資格を持つ人々」「交戦資格を有する人々」の集団は、軍隊以外に民兵、義勇兵団を含むことに再度留意したい。

(11)戦力と実力

 武力、兵力と戦力の違いは何か。戦力は武力であり、また兵力でもあるが、これらとの違いは、「戦争を遂行するための力」(デジタル大辞泉)「戦争を遂行しうる力」(大辞林)などと定義される力であることである。
 日本大百科全書(ニッポニカ)は、戦力を「対外的な戦闘を行う手段となるいっさいの実力」としている。「対外的な戦闘」は、主に戦争を意味する。この定義では、単に力ではなく実力という言葉が使われている。実力とは何か。広辞苑は「①実際の力量。ほんとうの力量」「②武力。腕力」と定義する。①は日常語で使用される意味であり、本稿に関わりのあるのは②である。②に関して、デジタル大辞泉は「目的を果たすために実際の行為・行動で示される力。腕力・武力など」、大辞林は「実際に行使されることにより示される力。武力・警察力など」と定義している。これらの定義に使われる腕力は、個人的で身体的な力である。戦力の定義に使われる実力は、武力の一種であり、特に目的を果たすために実際に行使されることで示される武力をいうものである。
 実力を行使する目的には、治安維持、犯罪の鎮圧、国家の独立と主権の守備、他国への侵攻等が考えられる。それぞれの目的に応じて組織され行使される実力は、国内の治安維持等であれば警察力、外敵からの独立と主権等の守備であれば防衛力、他国への侵攻であれば侵攻力と分類することができる。

 次回に続く。
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