ほそかわ・かずひこの BLOG

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改憲論4~9条1項の戦争・国際紛争・武力行使、軍隊

2018-05-04 19:21:30 | 憲法
(4)9条1項の戦争・国際紛争・武力行使

 平成14年(2000年)2月5日、政府は「戦争」、「紛争」、「武力の行使」等の違いに関する答弁書を閣議決定した。この答弁書は、9条1項における「戦争」とは、「伝統的な国際法上の意味での戦争、すなわち、国家の間で武力を行使し合うという国家の行為」とした。また、「国際紛争」とは「国家又は国家に準ずる組織の間で特定の問題について意見を異にし、互いに自己の意見を主張して譲らず、対立しているという状態」とした。また、「武力行使」とは「基本的には国家の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為」であり、「同項の『国権の発動たる戦争』に当たるものは除かれる」とした。
 答弁書の主要な部分は、次の通り。
 「憲法第九条第一項の『国権の発動たる』とは『国家の行為としての』という意味であり、同項の『戦争』とは伝統的な国際法上の意味での戦争を指すものと考える。したがって、同項の『国権の発動たる戦争』とは『国家の行為としての国際法上の戦争』というような意味であると考える。もっとも、伝統的な国際法上の意味での戦争とは、国家の間で国家の行為として行われるものであるから、『国権の発動たる戦争』とは単に『戦争』というのとその意味は変わらないものであり、国権の発動ではない戦争というものがあるわけではないと考える。」
 「憲法第九条第一項の『戦争』とは、伝統的な国際法上の意味での戦争、すなわち、国家の間で武力を行使し合うという国家の行為をいうのに対して、同項の『国際紛争』とは、国家又は国家に準ずる組織の間で特定の問題について意見を異にし、互いに自己の意見を主張して譲らず、対立しているという状態をいうと考える。」
 「憲法第九条第一項の『武力の行使』とは、基本的には国家の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうと考えるが、同項の『国権の発動たる戦争』に当たるものは除かれる。」
 ここに国際法への言及があるが、国際法は主に、条約法、慣習法、法の一般原則によって成り立つ。条約法は、国と国が条約によって相互に拘束されるものである。慣習法は、国際社会で法律として受け入れられている一般慣行である。法の一般原則は、各国の法律に共通する法の原則を適用することである。国際法は戦争について詳細な決まりごとを定めている。その決まりごとには、条約法によるもの、慣習法によって定まったものがある。それらを総称して、戦時国際法という。先の政府の答弁書は、戦時国際法を踏まえたものとなっている。

(5)軍隊

 広辞苑は、軍隊を「一定の組織で編制されている軍人の集団」と定義する。また軍人を「①いくさびと。軍士。兵士」と定義する。兵士は兵器を用いて戦闘を行う人間である。
 国家が保有する軍隊は、主に外国の軍隊への対応を目的とする実力組織である。外敵の侵攻からの防衛または外国への侵攻を行う能力を持ち、警察では対処できないほど治安が悪化した時には、武力を以て治安の維持・回復に当たる。
 軍隊は、広義では広辞苑のように定義され得るが、狭義では戦時国際法に定められた組織である。平成27年(2015年)4月3日に閣議決定された政府の答弁書は、「国際法上、軍隊とは、一般的に、武力紛争に際して武力を行使することを任務とする国家の組織を指すものと考えられている」としている。
 戦時国際法の一部を構成するジュネーブ条約は、軍隊について、1949年8月12日の追加議定書〔議定書Ⅰ〕)に、次のように規定している。
 「第四十三条 軍隊
1 紛争当事者の軍隊は、部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある組織され及び武装したすべての兵力、集団及び部隊から成る (当該紛争当事者を代表する政府又は当局が敵対する紛争当事者によって承認されているか否かを問わない。)。このような軍隊は、内部規律に関する制度、特 に武力紛争の際に適用される国際法の諸規則を遵守させる内部規律に関する制度に従う。」
 ここで軍隊は、国家が保有する組織に限らない。民兵隊、義勇隊を含むことに注意しなければならない。
 同じく戦時国際法を構成するハーグ陸戦条約の附属書「陸戦の法規慣例に関する規則」は、交戦者の資格につき、4つの条件を定めている。
「第一条 戦争の法規および権利義務は、単にこれを軍に適用するのみならず、左の条件を具備する民兵および義勇兵団にもまたこれを適用す。
 一 部下の為に責任を負う者その頭に在ること
 二 遠方より認識し得へき固著の特殊徽章を有すること
 三 公然兵器を携帯すること
 四 その動作につき戦争の法規慣例を遵守すること
民兵または義勇兵団をもって軍の全部または一部を組織する国にあっては、これを軍の名称中に包含す。」
 4つの条件の項目を現代語で言い換えると、大意次のようになる。
 「一 部下に対して責任を負う指揮官がいること
 二 遠くからでもわかりやすい特殊徽章をつけること
 三 武器を隠さずに携帯すること
 四 戦争の法規と慣例を遵守して行動していること」
 国家が有する軍隊が闘争する主たる対象は、別の国家が有する軍隊である。しかし、ジュネーブ条約やハーグ陸戦条約に定めるように、国際法にいう軍隊は、国家が保有する軍隊だけでなく、民兵及び義勇兵団を含む。国家が保有する軍隊は、非国家的な政治集団が保有する軍隊と戦闘を行うことがある。特に現代の世界では、過激武装集団やゲリラとの戦いが重要な任務の一つとなっている。

 次回に続く。
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